第289話

 今戦闘に参加しているのはオーク3体だ。鎧か・・・。死んでいるオークを見る感じ、素材は鉄かな?それならやりようがあるな。火系の魔法を当てれば勝ちは確定する。全身火傷で苦しみながら死ぬがいい。それともその鎧を脱いで裸になるのかの2択だ。


 当てるために、俺も前線に上がる。やっと無属性魔法に慣れてきたところだ。いつも無属性魔法を使わずに倒してしまうものだから、まだ慣れていなかった。だが、意識して使うようにしたおかげで、少しずつではあるものの、使うのに違和感が減っている。


 片手剣での戦い方は、基本体を隠すように盾を出し、カウンターをする形での攻撃だ。要するにカウンターをさせなければいい。それだけの話だ。俺の接近に近づいたのか1体が俺の方に流れてくる。はじめから首を狙ってもいいのだが、鎧によって弾かれたり、警戒されていたりする。


 それなら一番最初に狙うのは・・・、手首だ。手首に傷が入れば、武器を使うことができなくなる。シールドで身を固めるオークに対して、俺は右に飛んだ。オークが持っている盾は左手に装着しており、一番厄介となるその盾を持つ手首を落とすつもりだ。


 鈍足なため反応ができても対応はできない。俗に言う脳が反応できているが体が追いついていないと言うやつだ。魔力を込め、両手で刀を振り下ろす。ドスっと音を立て、地面に盾を落とす。あと少し手前であれば、足に当てることができたのに・・・。


 少し下がり、切られた手首のあった場所を押さえている。出血の影響で呼吸も荒くなってきているようだ。腰から紐を取り出し、手首を結ぶことで出血を抑えようとしている。だが、そんなことを許すわけがない。


 俺の方を警戒しているが、縄を巻きつけるため目線が下に入った。今のうちに詰め寄る。剣を横に寝かせガードをしている。


「シールド」


 剣を上に動かすことができにくくなるように剣の上側に設置した。俺は、剣を持っている方を目掛けて走り出す。予想通りだ。攻撃を防御するだけなら体を動かせばいい。だが、これは反応ができる相手の話だ。反応ができない相手ならばどうするのか、それは剣のみを動かしてガードをすると言うのが正解だ。


 手首を捻ってガードをするより、上へ動かしてからガードをする方が力が入り成功率が上がる。そう俺と相手のオークも考えている。だが、その上側にあるのはシールドだ。下に落とすのより、上に持ち上げる方が、最初のスピードは遅い。


 そのため、シールドを割ることができていない。早くガードをしたいのか必死に剣を上に上げようとしているのだが、割れた時には俺はもう懐に潜り込む。


 そして切り上げる。これで剣を持つこともできなくなった。もう諦めているのか抵抗もしてこないので、近づき首を刎ねた。

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