第14話

 2階に潜ろうと思う。随分と、回復はした。だが、今の状況であれば、元は取れない。急いで下の階層に潜る必要がある。だが、問題は金目のものが次の階層には少ないことだ。


 定番のモンスターゴブリンだ。人型のこともあり、スライムと違い倒せずに冒険者をやめていく人が多く生まれてしまうのはこの階層だ。この次の回にはコボルトがくる。その次には複数の敵を相手に戦うことになる。


 だが、この階層から複数対との戦闘の可能性がある。ゴブリンと言っても人型で鼻もあれば耳もある。一番の問題は武器を持っていることだろう。武器を持っている個体は位置がわかると武器を振り回しながら近づいてくる。当たればそれなりにダメージになる。中には金属製の武器を使っている個体もいる。その武器が落ちれば今回は勝ちだ。


 この階層の目玉はそれだけだ。魔石もあるのだが、スライムよりも価値がないとされている。正直スライムよりも小さい。その次の問題だが、仲間を呼ぶ可能性があることだ。人型で耳や鼻がついている。そのため、音がする方によってきたり、そこに匂いがあれば近づいてくることが多く起こってしまう。


 この階層では遠距離で戦うか、一撃で仕留めるかが勝負の分かれ目と言われている。ここで死ぬと来世はゴブリンになるぞ。と脅し文句で言われている。それほどまでに危険が高いということだ。気を引き締めてかからなければならない。


 2階に行ってすぐにゴブリンを見つけた。だが、こちらの気配は完全に消えているためバレてはいない。そのまま背後にゆっくりと近づき短剣を突き刺した。だが骨が硬く、思っていたほど深くは刺さらなかった。さらに、わからない存在に刺されたせいか武器を振り回している。幸いにも武器は木剣だったこともあり、一撃で殺されてしまうということはないだろう。短剣は回収ができている。


 だが、これ以上近づくことができそうにない。仕方ない。魔法を使うことにするか。アースボールの魔法を唱える。3キロぐらいの質量の塊が襲い掛かる。そのまま、頭を飛ばしてゲームセットと思いきや避けてきたのだ。タイミングが奇跡的にあい。ちょうどしゃがんで避けられた。(こけただけです)追い討ちをかけてすぐに倒さなければならない。暴れ過ぎている。音が大きいため、近くにいるものが追加で参戦してくるかもしれない。バレてはいないが多くなればなるほどバレる可能性が大きくなる。


 まだ倒れているそのうちに一撃を与える。アースボールを頭めがけて打ち込む。今回はヒットし、倒すことができた。もしこれで俺の位置がバレていたらと思うと心臓がキュッとした。


 まだ、ドロップに変わらない。紫色の血が地面のシミになっている。頭を潰されたことから、目玉が少し出てきているのが見えてしまい。吐き気が込み上げてくる。だが、なれなければ次の階からもっと苦労することになる。じっと見ているとドロップ品に変化し始めた。


 ゴブリンの腰布。ゴミだ。一円の価値もない。ただの出てきたら困るものだ。嗅覚の強いオオカミ系統だとこれの匂いで怯むものも入れば、敵だとわかり詰めてくるものもいる始末だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る