第1301話
その報告だけだったのか、すぐに現世に戻されるのだった。そして、ケットシーが猫として化けていたところにはそれを現実と不具合が出ないように別の猫が補填される。現世の干渉だ。こんなちっぽけなものだとバレないのだろう。
座っている横にいた猫が立ち上がり、どこかに歩いていく。暇つぶしにちょうどいいか。そう思いながら猫の跡をつけていく。猫の集会を見ることができるのではないか?その気持ちでいっぱいだった。
そこにいるのは、小さい小人だった。
「おーよしよし、ここがいいんですか?気持ちいいでちゅねー」
と幼児に使うような言葉を猫にかける。小さいおっさんか?猫が一鳴きするとその辺りにいた猫が一斉に俺の方にくるのだった。そこで猫に埋もれていた小さなおっさん、その正体は天使だ。
「あ、猫ちゃんたちが、げっ人間」
逃げようと走り出した。背中についているのは飾りの羽かよ。天使を見ることができてよかった。というか、あんな人間を毛嫌いしている天使でいいのか?よっぽど悪魔とか魔王に向いているような気がするけど・・・。どう考えても面白そうな生き物だ。実験生物として捕まえていいだろう。
擦り寄ってくるため、その猫を撫でつつ、魔力形質変化でその天使の首根っこを掴む。
「ぐへっ」
とカエルが踏み潰されたかのような声を出し、引きずられるのだった。そして、猫には舐められている(物理)。
「やめろ、やめるんです」
と抵抗している声を出してはいるものの、受け入れようとしている。猫好きに悪い奴はいない。・・・天使だったなこいつ。ぐるぐる巻きに縛り付けながら手元に引き寄せる。役目放置の天使ゲットだぜ。夕方になり、家に帰る。いつも、穏やかな顔をしている悪魔が少し、目を見開いている。
「天使の匂い?」
「こいつでしょ?新しいペット」
「そんな泥汚い動物、元いた場所に返してきなさい」
なんだ、この母親と捨てられた犬を飼いたいって持ってくる子供みたいなやりとりは・・・。
「猫が・・・」
まだこの天使は猫のことを嘆いていたのかよ・・・。マジックキャットを室内に召喚した。
「でかい猫だ!」
そう言いながらマジックキャットの方に走り出し、ジャンプし飛びつこうとしていた。だが、猫パンチで地面に落とされる。このうちに扉と鍵を閉め、脱出不可能にしておいた。
「堕天使になる方法知ってるか?」
「堕天使ですか・・・。空想上の話ですからね・・・」
「とりあえず、欲望に埋めてみるつもり」
羽が少し黒ずんでいるように見える。天使であれば、飛ぶことができると想像ができるのだが、飛んでいないことから堕天に近づいているのだろう。あと一押しだな。
「まずは好物を探すこと。このまま猫は召喚しておくから、情報も抜き取れるでしょ?」
「見つけた好物を餌にして、情報を抜き出しますね」
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