第869話

 これ以上はスナイパーライフルで攻撃しても意味がないだろう。盾としても使うことができるとわかれば、もう遠距離武器は役に立たない。第1関門は突破されてしまう。なら次だ。第2関門は魔法だ。地面に設置していたアースランスを発動させる。


 バックステップで当たるギリギリを回避し、大剣でへし折り俺の方に一直線でやってくる。・・・結構太くしたはずなんだけどな。練度と力なのか。万能型よりも特化の方が強いのかな?ここ最近そう思ってしまう。回避用に分身体を2体出しておく。


 危険察知ってどんな感じに作用しているのか?まあ、試すか。地面から生えてくるアースランスは前方向に回避をするのではなく。基本バックステップで下がってから回避するようにしているようだ。そっちの方が安全で、目の前の障害物を破壊できるほどの力を持っているからできる戦い方だ。


 だが、その間に一瞬だけ俺を見失うタイミングがある。生えている途中に切り落としても、まだ伸びてくるのなら意味がないと考えているようだ。そのため、攻撃が終わるまで切り倒すことはしないようだ。バックステップをとったタイミングから、切り倒すまでの時間が見失うタイミングとなる。


 そのタイミングを作り、空中にシールドを使いながら上昇していく。そこからアースランスを飛ばしていく。危機感ちが警告を出しているのは、このアースランスの方だろう。バックステップを再びとり、距離が開く。その行動でおよその内容を知ることができる。


 危機感知の方はおそらく方向とかでもなく、ただの合図のようなものだろう。自分自身に危機が迫ってきていることを使用者に伝えるための装置だ。そのため、どこから攻撃がやってくるのかやどんな攻撃かもわからない。ただわかるのは自分が攻撃されることだけだ。


 なら簡単だ。今いる場所で攻撃を受けるのなら、そこから動けばいい。それが理由でバックステップを取っていたのだろう。大剣で防がれたのは、近くに罠があるとか遠距離ならそこが撃ちやすいとかをあらかじめ探っていたのだろうと思っている。


 この場合の弱点となるのは、攻撃をするときの少し後ろだ。そこに設置している魔法はない。あらかじめ気が付いていれば、魔法を残していたのに・・・。最初のアースランスで気がついたため、俺の位置はもうバレている。そのため、上を見上げ俺を警戒している。


 分身体の命令を変更だ。1人の全ての魔力で俺の前にアースピラーを作り出す。これで俺が隠れることになった。そして、もう1人の分身体でオークの動きを封じ込める。連続して放たれる魔法に弱く。盾のアーツで受けることができる範囲を広げ、魔法攻撃を防ぐ。


 オークの視界が、今は下に向いている。その目の前に伸びている柱を、2箇所を刀の斬撃で切り落とし真下にいるオークめがけて落下させる。危険察知の警告はまだ続いている。分身体の攻撃への警告なのか、俺の攻撃の方なのか。それはまだわかっていない。


 分身体の方に斬撃を放ち、砂埃と共に隠れ後ろに下がりながら上を見る。そこには落下してくる岩石だ。さらに後ろに下がることでこの岩石から避けようとしている。それを上から観察しながら、魔力で作られた針を切り落とした物の上部分に突き刺す。


 それを木が根を張るように動かし、完全に操作ができるようにした。その針を太くしながら、伸ばすことでハンマーが完成した。もう気力と魔力をフルで回していないと、持つことができない重さだ。正直これを再びしろと言われてもしようとは思わない。


 その岩を避けようとしているオークを目標に自由落下を開始する。大きさは、岩のほうが大きいため、自由落下をしてもそっちの方が先に到着することになる。そして砂埃をあげ、地面と岩がぶつかる。その後ろにいるオークにハンマーを振り地面に叩きつける。


 避けてすぐだったため、盾のアーツや大剣に気力を回すことはできていない。受け止めた大剣ごと折れ、刃が飛んでいっている。叩きつけた時に地面に足がつかなくて焦ってしまった。そのハンマーから手を離し、シールドの上に乗ることで安全に着地する。


 一応死んでいるかの確認をするために再びハンマーの柄を持ち、深々と刺さっている根をさらに深くすることで、ハンマーの素材となっている土魔法を破壊する。その土魔法を操作し、下のオークめがけて落下させた。当たっても動いていないため、本当に死んだことを確認することができた。

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