第33話

 タンクと盗賊の戦いが始まる。オッズ的にタンクくんが優勢といった感じだ。攻撃力が低いのがネックだ。足が速い分撹乱をすることができるのだが、それはモンスターのみに有効で、人間には対して有効ではない。ましてや、防御力が高い相手や、自分よりステータスが勝っているものにはきつい戦いになる。




 攻撃力が低いということは、その防御を突破できないということが多くなる。その分タンクにとってカウンターをしやすくなる。大楯から避けることができればすぐに決着がつくが、そうなりにくい。これはタンクの勝ちだ。そう判断し、イヤフォンをつけてゲームを始める。




 先ほどまでと違いすぐに止めることができるゲームをするつもりだ。この歓声の中ゲームをするのはうるさいし、集中はできないが、ログインとデイリーをこなすことができる。やっと集中ができるぞとなった時には既に俺の番だった。




 勇者一行の一人のタンク君が相手だ。殴りに行こうとしたが、それよりも魔法を使ってみたくなった。タンクというのはどちらかといえば、物理防御系だ。魔法防御系の職業は魔法職になる。ということは魔法系の防御が紙のはずだ。




 ということで魔法を使うつもりだ。




 何やら言っているが、あの不正を暴いてやるとか、化けの皮をとか言っているが何を言っているのかわからない。たまに気狂いの如く、そのようなことを言ってくるような場面はアニメや漫画のようなものでしか聞かないが、現実で聞くとぶん殴りたくなる。




 そんなことより集中しろよ。そう思ってしまう。開始の合図がなる。様子見としてアースバレットを放つ。純粋な物理攻撃だ。だが、詰めてくると考えていたのか、目が飛び出るかのように見開きこちらをみてくる。その目は、お前魔法職なのかよとでも言っているようだ。




 急いで大楯を構えているようだ。カン、カンと弾が弾かれるようにして普通に耐えられた。それなら少し強化したものを繰り出す。どちらかというと跳ね返してくるのであれば貫通力だ。ということで、アースジャベリンをくりだす。土魔法レベル3の技だ。さらに回転を加えることでその威力も底上げされる。さらに先端には溝を入れているので、摩擦力で止まることはない。威力の高いもので迎え撃つか、受け流すかして壊さないと間違いなく当たる。




 タンクということもあり鈍足だ。そのため、俺に近づき攻撃を当てることができない。というか半ば諦めているように感じる。大楯を構えカウンターを入れることに特化しているが、近付かれない時の対処ができていない。というか、しなくてよかったのかもしれない。




 殺しはしないように、足を狙う形で放った。大楯のこともあり、足元までカバーされている優れものだ。




 避けられずにそのままジャベリンが当たった。威力が気になっていたので、そのまま見守る。ガガガッという音から盾が削られているのがわかる。タンク君はそのまま迎え撃つつもりだ。馬鹿だなー。そう考えながら、見守る。受け流せばいいものをそう思っても仕方がない。たての無駄な消費だ。そんなことも束の間、結果がわかる。と思っていたのだが、強制的に魔力が解かれた。審判である部長が負けの判断をしたようだった。




 防御力が足りていないことから、あれは下手すれば死ぬらしい。魔力を4消費した技だ。連発をすることができるがあまり人前で使わない方がいいだろう。なんだか静まり返っている。まるで俺が悪者かのようだ。普通に相手は生きているのに。なぜそんな目で見られなければならない?




 やっぱり人前に出ることはストレスだし、イライラが溜まる。そんな目で見るのであればお前らが出てきて戦えよ。そう感じてしまう。

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