神様からの督促

 〜時間が止まる〜


 「やぁ、我が兄弟!呼ばれた気がしたんだなぁ」


 「お久しぶりです!ちょうど良かったです!実は聞きたい事が──」


 「その事の答えは何回も言っているんだなぁ。我が兄弟の好きな様にすればいいんだなぁ」


 農業神様が教えてくれた。基本オレが知ってる歴史に進む様に眷族の人が頑張っているが、オレに好きな様に生きて欲しい為、この農業神様が有利になる様に色々改変してくれているらしい。


 「我が兄弟の時間軸で言えば、先日の我が兄弟の眷族がこの時間軸で作った大砲を撃てば、本来なら偽者の神を敬う者達が攻めてくる筈だったんだなぁ」


 長島の事を言ってるのか!?やっぱりあそこで撃つべきじゃなかったのか!?


 「おいが我が兄弟に有利になるように世界線を作ってるんだなぁ」


 やっぱ農業神様よ!唯一無二の神様とは農業神様よ!


 「そこまで思ってくれるのは嬉しいんだなぁ」


 いやまた心まで読むのか!?


 「農業神様にお願いすれば何とかなる。助けてくれるとは思ってしまってます。忙しいとは思いますが、わざわざ来て頂いてありがとうございます」


 「お客様のニーズに合わせた商品開発をし、アフターサービスするのは当たり前なんだなぁ」


 いやどんだけ凄い企業なんだ!?


 「直近開発して欲しい物は無いのかな?」


 「そりゃ欲しい物だらけですよ。無煙火薬も欲しいし、船も欲しい、あのイージスは素晴らしいですけどやはり時代に似合った私も乗れ、賢い馬が私は欲しいです」


 「分かったんだなぁ。また開発してみるから少し待っていてほしいんだなぁ」


 「できれば私も買えるくらいの値段で、変な装備はいらないのでよろしくお願い致します!あっ、あと次会ったら渡そうと思ってた、農業神様が出してくれた物を使い、この時代の物だけで作ったイチゴの砂糖漬けです。甘いだけの物ですが良ければどうぞ」


 「・・・・・うぉぉぉぉぉぁぁぉ───────ん」


 おいおいおい!?いきなり農業神様が泣き出したぞ!?しかも、なんちゅう泣き声だ!?


 「おいが手を掛け助けた人間は数えきれない程居たが、これ程のお礼をされたのは初めてなんだなぁ。うぉ───────ん」


 うん!?お供え物とか今までされなかったのか!?そもそもこんな物でも良いのか疑問だったが・・・。いや、喜んでるの見てると良いんだろうな。


 「神界では助けたり助言したりした者からの物しか、おい達は口にしてはいけない決まりがあるんだなぁ。我が兄弟のお陰で最近はおいも食べる物が増えたんだなぁ」


 いやどんな神界だよ!?神様も腹減るか知らんけどマゾか!?


 「ならこれからも新しい物作ったりしたら、例の木像の前にお供えしますね。それと芸術神様でしたかね?あの神が作ったお椀も見事で、渡した人が喜んでいたので助かりました!お礼言ってもらえませんか?」


 「分かったんだなぁ。おいは芸術神に嫌われてるから近寄れないけど、ちゃんとした用事があるなら大丈夫なんだなぁ。ではまた暫く待っててほしいんだなぁ。さよならなんだなぁ」


 やっぱ農業神様バンザイだな!でも肝心な事教えてくれなかったんだけど・・・。けど農業神様が有利になるようにしてくれてるみたいだから、大丈夫・・・かな!?それに1年や2年で信長さんが日本統一できる訳ないしな。


〜時間が動き出す〜



 「決められた事なんかありませんよ。信長様の思う様に事を進めて下さい」


 「急に自信ありという感じになったな。元よりそうするつもりだ。勝家が明日到着し、丹羽とサルに調略を任せておった、美濃三人衆からいい返事を貰った。ここ数日で動くぞ」


 「分かりました。私もいつでも動けるように準備しておきます」


 「貴様には残念だが竹中はもう出てこぬぞ。いや、案外貴様の前に現れるやもしれぬな」


 「怒りのあまりに私が竹中を殺してしまえば怒りますか?」


 「ふはははは!そんな度胸、貴様には無かろう。だがそうだな・・・。もしそのようになるとすればそれはそれで一興ではあるな。なんせ書状のやりとりで竹中は貴様を褒めておったからな」


 「うん!?どういうことです!?」


 稲葉山乗っ取り事件・・・。普通に斎藤龍興に城は返したらしいが、竹中半兵衛はもう戦に出ないらしい。その時の信長さんと数通の手紙のやりとりで、オレの話が出たらしく料理ご意見番とはどの様な立場なのか?とか聞いてきたらしい。『詳しく聞きたければ本人に聞け』と信長さんは返事したらしい。それともう一つ付け加えたのが『お主が織田に降りご意見番の前に来れば、この世の物とは思えぬお主にすら考え付かぬ事が山程あるだろう』とオレの技を匂わせて返事を書いたらしい。


 「あいつはやる男だ。貴様の前に現れるだろうよ。剣城の小姓!」


 「はっ、はい!」


 「直答を許す!貴様、名を何と申す?」


 「金剛と申します」


 「金剛!貴様は剣城を見張っておけ!くれぐれも短絡的な行動を起こさないようにな」


 「分かりました」


 「いやさすがに、殺したりはしませんよ。ただどうしても自分の踏ん切りというか、一発くらいは殴るかもしれませんが、それも今となれば戦ならしょうがなかったと思いますし」


 「ふん。成長しておるようだな。とらんしーばーで他の部隊には言うておるが先陣は貴様ぞ。貴様の部隊には期待している。貴様が差配してみろ。その後サル、勝家、ワシの部隊にと交代。まずは稲葉山と尾根続きの瑞龍寺山から攻める」


 「分かりました」






 この日の夜、信長さんの陣の横・・・。今この日の本一落ち着かない場所でタブレットを開く。すると画面の横にビックリマークが点滅してる事に気付く。うん?何だ?ヘルプでもないよな?

とりあえずタップしてみる。



《いつもご利用頂き誠にありがとうございます。さて、先日お買い物頂いたレディース服及び婦人服並びに数々の女性物の数々のお支払い100万円(令和軸計算)が確認できておりません。お支払い頂けない場合は大変不本意ではございますが、神法上の手続きにて償還請求の措置へ移行し、魂でのご精算となる場合もございます。ご対応願います》





 「はっ!?100万の延滞金がありますだって!?意味分からないんだけど!?神法って何ぞ!?それに魂の精算って何だよ!?オレ殺されるのか!?」




 「剣城様!どうしましたか!?」


 「あっ、金剛君ごめん。思わず声が出てしまってたな」


 「はい。今、菊殿と奏達で剣城様を守るフォーメーションを考えてるので、某が護衛です」


 フォーメーションて・・・。別にオレはそんなに守られる程VIPじゃねーけどな。まあでも助かるな。


 「そうなんだ。オレの護衛ばかり悪いね。とりあえず何ともないから大丈夫だよ」


 「はっ。分かりました」


 いや何で延滞金が・・・・・?まさか・・・天上天下唯我独尊さんの妹か!?あぁぁぁ・・・・。支払いだけオレって・・・。しかも100万も使うとか尋常じゃねーだろ!?


 まだ会った事ない浅井長政様へ・・・。貴方のもう少ししたらお嫁さんになる人は、物凄く金使い荒い人です。破産しないように気を付けて下さい。


 オレはそこら辺に生えていた高価な花とか頑張って摘んで売ってお金にした5分の1をお市さんの支払いに回した。


 あぁ〜・・・。女は魔性だ・・・。

 

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