50貫の使い道

 「それでこれなんだけど・・・って、デカっ!!こんな大きかったの!?」


 「おぉぉ!!これは!!!?」


 「これはM4A1トライフォース盤と言って──」


 「分かる!分かりますぞ!!このサンダーの突起を押すと刃が変わるのですね!?そしてこっちが…」


 いや芳兵衛君!?説明書見るの早過ぎじゃないか!?それにオレより既に詳しそうなんだが!?芳兵衛君は、本当に現代兵器に近い物を作ってくれそうだな。


 「え〜と、もう一つあるんだけど。こっちのこの筒なんだけど、ロサンゼルス級H252タワーって名前の物なんだけど、分かりますか?」


 「この少し見えるコイルはどうやって!?どうやってこんなに長く均等な長さに!?いや、これを自分で作ってみせます!剣城様!!ありがとうございます!!!ありがとうございます!!!」


 なんか一人で納得した件。

 

 まあ、ただ発電が出来ても蓄電する設備なんかが無いと、これも宝の持ち腐れだしな。

 ただ・・・流石の芳兵衛君でも現代のような物は作れないだろうな。

 クソ長いケーブルでも作ってもらって、あの発電モーターに直で繋いで城まで引っ張るか!?今はまだ暑くないけど、夏のエアコンは欲しいからな。あのジオラマに籠もりっきりにはなれないしな。


 「芳兵衛さんには期待しています!水力発電が出来れば応用で風力発電とか色々ありますので、年単位ほど掛かってもいいのでよろしくお願いします!夜道が暗いのは危ないので、尾張を日の本一明るくしましょう!」


 「頑張ります!また欲しい物や必要な物があれば言わせていただきます!」


 とりあえずはこれでいいな。次に岐阜城に戻った時に、カーチススピットファイヤジオラマを出そうか。


 「お菊さん居る?」


 「はっ!」


 「この村の警備を、特に国友親子の場所をかなり重警備にしてほしい。これから国友親子がかなり重要になるから」


 「申し訳ありません。人手が足りません・・・」


 「甲賀の人で移住したい人ってもう居ないの?」


 「居るのは居ますがその・・・・」


 お菊さんが言ったのは老人が多いとの事。動ける人はやはり六角の仕事をしたり山中何某に従う者ばかりだそうだ。後はやはり子供。8歳前後の捨て子が多いと。


 「あぁぁぁ!!もう!!やってやるか!お菊さん?オレの給金は後どのくらいあるの?」


 「50貫ほどございますが・・・」


 「全部使ってもいいから老人でも子供でもこの村に来てもらえない?家はかなり余ってるし」


 「良いのでございますか!?」


 「良いも悪いも元から甲賀の人を雇えるだけ雇って、最強の忍者軍団作る予定だったし、子供は今の内から教育していく!老人達にはとりあえず、オレの技で出した栄養ドリンクでドーピングして、飯屋とか服屋とかしてもらうから!それにこの村を甲賀の人だらけにすれば、最強の警備じゃない!?芳兵衛さんの弟子にもなる人見つけないといけないし、国友さんももっと活躍してもらわないといけないから」


 「ありがとうございます。人選は任せて下さい」


 「よろしくね〜」


 信長さんに松平さんもと言ったけど、松平さんに利があるような事して怒られないのだろうか。それにあそこも今川領に攻めるか攻める前だったよな?大丈夫なのかな・・・。もう一度聞いてみよう。





 「ワシは貴様に任すと言ったが?」


 「仮にそれで松平様に利が出ても良いと?」


 「ふん。知れたものよ。たかが綿が増えるだけの事。なんなら少しの投資で綿を量産させ尾張で、岐阜で、無煙火薬なる物を作りワシがそれを戦で使う。狸も東を攻めるのに鉄砲を買う。鉄砲を買えば無論火薬が要る。回り回って銭は倍以上になって返ってくる」


 いや流石だわ。そこまでオレは考えられなかったわ。


 「それに武田の抑え役になってもらわねばならん。ある程度の利は与えてやる方がよい。ただ、火薬の製造方法は教えるな」


 「それは大丈夫です。お市さんの輿入れまでには戻りますので、明日から少し出払います」


 「ふん。良きに計らえ」


 よし。信長さんから了解は得たから次は人選だ。


 「お菊さん?」


 「はっ」


 「八兵衛村長に言って綿花の栽培をするから、ある程度、人選を決めておいてほしい。オレが明日、松平様の所に行ってどれだけ稼げるか言うから。それと良ければ先触れをお願いしていいかな?」


 「了解致しました」


 この日の夜に、金剛君のトランシーバーから連絡を貰う。


 『松平家康様の面会叶いました』


 「随分早いね?怪しまれなかった?」


 『はっ。実は少し悶着がありましたが、剣城様が甘い物持って行きなさいと言ってくれたお陰で、事なきを得ました』


 「分かった。またその事は追々聞くから帰っておいで!お礼は・・・どら焼き10個でどうかな?」


 『どら焼きですかッッッ!?!?すぐに戻りますッ!!通信終わり』


 どら焼きでそんなに喜ぶか?まあ金剛君も普段から頑張ってくれてるからな。


 「お菊さん?」


 「はっ」


 「明日、岡崎城に向かいます。人選はお菊さん、ゆきさん、金剛君、琴ちゃんを予定してます。服装は正装の方がいいよね?」


 「分かりました。伝えておきます。そうですね。服装は正装が間違いはありませんが・・・」


 「どうしたの?」


 「その・・・我らはその正装は・・・」


 「いや今から買う予定だから大丈夫だよ。それに手土産も用意しないといけないしね」


 オレはこの時のために芸術神様の眷族が作った服を買おうと思っていたのだ。

タブレットを起動し画面一杯・・・・ってか全部のバナーが芸術神様のバナーだけど、その一つを押す。


 《芸術神見習い眷族が作った着物一着》¥200000


効能・・・・芸術神見習いの眷族が仕立てた女性用着物。生地は天界にのみ生息する伝説の蜘蛛神、アトラクナクアの一族の糸を使用した着物。汗の匂い、汚れなど一切付かない。着心地は良。オート温度調節機能付き。



 《芸術神見習いの眷族が作った男性用着物羽織り付き一着》¥250000


効能・・・・芸術神見習いの眷族が仕立てた男性用着物。生地は天界にのみ生息する伝説の蜘蛛神、アトラクナクアの一族の糸を使用した着物。汗の匂い、汚れなど一切付かない。着心地は良。オート温度調節機能付き。


 オレは服のカテゴリーを見ていたけど高っ!!着物は高いのか!?オート温度調節機能とは何ぞ!?蜘蛛の神とか居るのか!?

 高いけど揃えてあげないといけないからな。オレは人数分の着物を買い、お菊さんに明日はこれを着るようにと渡した。


 「こ、こ、こんな上等な着物を良いのですか!?この手触り・・・き、生地も上等な・・。この刺繍は何を──」


 「いいからいいから。少し高かったけど良かったらこれからも、たまに着てほしい。生地はオレも分からないけど悪くない筈!なんか温度調節が付いてるらしいよ?」


 「ありがとうございます!一生大事に致します!残りの着物も渡しておきます!!」


 一生は大事にしなくてもいいけど。お菊さんの笑顔は可愛いな。お菊さんには迷惑かけてばかりだからな。たまに報いてあげないと。

 お菊さんも居なくなったし・・・手土産は何にしようかな・・・。甘い物と酒で間違いはないけど・・・。あっ!どうせなら森さんが作った、酒と醤油を持っていこうかな!?


 「ゆきさん居る?」


 「お待たせしました!!」


 《芸術神見習いの眷族が作った瓶×5》¥2500


効能・・・・芸術神見習いの眷族が作った瓶細工。花差しにも良し。インテリアにも良し。密封蓋付き。


 「おっ!ビックリした!森様分かる?オレの使いって言ってくれたら大丈夫だと思うけど、この瓶に酒と醤油を入れてもらうように頼める?お代は・・・ビールをケースで一つ渡してもいいから」


 「了解致しました!」


 ゆきさんは凄いニコニコだったな?何かいい事あったのかな?


 《クッキー詰め合わせ》¥1500


 《100円シャンプートリートメント×50》¥5000


 《激安布団セット×10》¥100000


 これだけあればいいだろう。布団もこのくらいの物なら、頑張れば綿さえあれば作れそうだしな。



 次の日。正装に着替え、オレは久しぶりに大黒剣で向かう。たまには乗らないと勿体ないしな。お菊さんは自分の馬、名前は颯(はやて)号にしたらしい。琴ちゃん達はイージスに乗ってもらう。


 「我が君ッ!!!何故に!何故にワシを!この小川三左衛門を置き去りにするのですかッ!?」


 いやバトルジャンキーだからな。


 「小川!剣城様の考えだ!我らは剣城様に与えられた仕事を黙ってこなしておけばよい!」


 「いや小泉さん?オレの言った事だけではなく、自分でこうしたらいいとかあれば、してくれてもいいですからね?型に嵌まった事、言われた事だけだと応用が効かないから、気を付けるように!」


 「はっ!」


 「剣城殿!?おはようございます!昨日の夜聞きました!どうも他国に向かうと!?」


 「芳兵衛さんおはよう。うん。松平様の方に用事があるからね。そんなに慌ててどうしたのですか?」


 「いやもしもの事があれば・・・。なので徹夜で作りました、改良国友焙烙玉。持って行って下さい!」


 「あっ、前のより小さくなってるね!?」


 「そうです!火薬は以前と変わらず持ち運びを良くしました!それと緊急用煙幕花火です!竹酢とアルコールと塩を──」


 「あー!ごめん!理論は分からない・・・。とりあえず精進して下さい!大事に使います!」


 「ほら見ろ!だからおめーは理論だけの男なんだ!作るのは我らだ!剣城?倅がすまんな。俺からはこれだ!!俺達も弟子と徹夜で作ったんだ!」


 国友さんが作った物は台座に固定させ、横にある取っ手を回すと少しずつ角度が変わる・・・。迫撃砲だとオレは思った。


 「国友さんッッ!!!迫撃砲、1日で作ったのですか!?」


 「バッキャロー!てやんでい!1日で迫撃砲が作れるか!いや・・・ワシなら本気を出せば作れぬ事はないが、これはその前身の臼砲と言うやつだ!」


 いや何ちゅう言葉だよ!?てやんでい!とか初めて聞いたぞ!?しかも負け惜しみか!?作れるなら作ってくれよ!?


 「大急ぎで作ったもんで、要らないところも多いんだが一応、これも曲射弾道だ。まだまだ研究して榴弾砲も作らないといけないが、まずはこの弾でこの威力を見て欲しい」

 

 ヒュ────ン!バァァァ──────ンッ!!!


 「と、このように頭上から炸裂玉を降らせるのだ!!」


 「・・・・・・・・・・」


 「おい!?剣城!?どうした!?黙り込んで」


 「いや!これは流石です!初めて見た武器ですがやりましたね!!芳兵衛さんの焙烙玉でもいけるんじゃないですか!?」


 「バッキャロー!てやんでい!倅のおもちゃと一緒にするな!ワシのが本物だ!!」


 いやまた張り合いですか!?いいぞ。お互い親子だが切磋琢磨してどんどん作ってくれ!!


 「だが一つな・・・。弾がそんなに作れなかったし、正直、命中精度が悪いのだ・・・。本来はこれを持ち運び、一人で運用できるようにと考えている」


 いやこの人は一晩で何を作ってるんだ!?これでもかなり凄いぞ!?国友さんは、グレネードランチャーみたいなのを考えてるのかな?


 「国友さん・・・・ありがとうございます。危ない時に使わせてもらいます」


 「ははは!帰ってくる頃には物にしておくぞ!」


 とりあえずオレは臼砲?はかなり重たいので、タブレットのボックスに入れて皆に挨拶する。


 「明日、明後日に帰る事はないと思うけど、何かあればトランシーバーにお願い。慶次さん?酒は飲み過ぎないように!皆をよろしくお願いします」


 「おう!任せておけ!俺も新しい戦法を考えてるんだ。帰るまでにお披露目できるようにするさ!」


 「剣城様、足りない物があればすぐにお待ちします」


 「うん。大膳君もよろしく!」


 "ノア?皆の言う事聞くんだぞ?肉ばかり食べ過ぎるなよ!?"


 "キャハッ♪大丈夫だよ!でもあまり帰って来なかったら、あーしから探しに行くよ♪"


 ノア嬢さん・・・メンヘラっすか!?

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