伝説の神槍と精霊剣

 「芳兵衛さん!お久しぶりです!」


 「剣城殿!お帰りなさいませ!如何でしたでしょうか!?」


 「焙烙玉は素晴らしいですよ!未来での手榴弾みたいな感じでしたよ!それに花火!花火も1発しか試していませんが素晴らしかったですよ!大膳が慶次さんに怒られてはいましたが・・・・」


 「そうですか!そうですか!それであの名前お考え下さいましたか!?」


 「うん!?別に国友焙烙玉でいいんじゃないですか?」


 「名前を冠しても恥ずかしくないくらいでしたでしょうか!?」


 武器に名前を付けるのは名誉な事なのかな?普通にあれはあれで良かったと思うけど。


 「問題なしです!胸張ってあれを量産して下さい!私の部隊に緊急用で配備しておきます!」


 それから今後の目標、銭作り、内政、貿易、綿花の栽培の事など言い、芳兵衛君には武器作りは勿論、他にも色々作ってほしい物があると言った。芳兵衛君自身も『作りたい物がある』とも言った。


 「芳兵衛さん自身は主に何が作りたい感じです?」


 「それは色々あります。無煙火薬は少量なら出来ますがやはり大量に。高射砲もいずれ作りたいですし、例の書物に書いていたエンジン類があれば、剣城様の未来にとまではいかなくても、この西暦1940年代くらいまでには追い付かせてみせます」


 何なんだ!?高射砲とかあの第二次世界大戦の時にドイツのなんちゃらとかいうやつだよな!?しかも西暦までマスターしたのか!?


 「ゴホンッ!・・・え〜と・・・それで何が欲しいのかな!?」


 「よくぞ言ってくれました!この本に書かれている、汎用フライス旋盤、マシニングセンタ、卓上ボール盤、コンターマシン、平面研削盤、それから剣城殿の配下の方が作られたダムの高低差を使い、電気なるものを作ってみようかと思います」


 おい!?この時代に電気とな!?水力発電か!?出来るのか!?


 「理論は分かってるのですか!?」


 「はい。ある程度はですが、電気とは全ての物質は原子から出来て…原子はプラスの電気を持っている原子核の周りをマイナスの電気を持っている…。

原子核は陽子と中性子…外を回る電子とこの陽子が…いつもは、原子核の周りを回っている電子が刺激を受けることで電…軌道から飛び出してしまいます。この飛び出した電子のことを…」


 「待って!待って!私はそこまで分からないから!!いや芳兵衛さん!?貴方何者!?」


 「いや、この工業なる書物に色々書かれていましたのでつい、100回程見直してしまいましてね!?いやぁ〜これは日の本一素晴らしい書物です!完璧な絵に完璧な説明・・・とそんな事より、水車を動力に石臼なども連携させれば、小麦なんかも人手が少なく作れます!!欲しい物は大丈夫そうでしょうか!?」


 いやマジでこの人は大丈夫か!?芳兵衛君といい、奇妙丸君といい、神童のバーゲンセールか!?いや、芳兵衛君に関してはこのまま突き進んでもらおう。勢いを止めては駄目だ。

 欲しい物を何でも与えて、ここだけ20世紀になってもらうか!?小麦が量産できるなら・・・お好み焼きにたこ焼き、クレープ、パンなんかも気軽に作れるな!!後、牛も早目に考えよう。


 オレはタブレットで一から検索しようとしたが、工業機械の名前が分からない為、ヘルプを押す。


 〜時間が止まる〜


 「あれ!?農業神様じゃない!?誰だ!?」


 そこにはいつもの農業神様じゃなく、丸い球体の何かが浮遊していた。


 「いつもご利用いただき誠にありがとうございます。本日は副社長が私用でお休みな為、私が対応致します」


 え!?お休みなの!?まあ神も休みは必要だよな。

てかこれが眷族さんなのか!?眷族は球体なのか!?


 「いつもこちらこそありがとうございます。今日はですね。工業機械が欲しくて色々種類があり──」


 「はい!先程ホログラム映像で確認致しました。お客様はこちらの、歴史浪漫感じる工業編のセットなんかがよろしいかと思います」


 おい!?凄い早い反応だな!?


 「まずこちらが神様印(かみさまじるし)のM4A1トライフォース盤なんか如何でしょうか?このM4A1トライフォース盤は数多の鉄、銅、錫、鉛、ダイヤ、プラチナ、鉱石など、好きな形に切ったり形を整えたり表面を均等にしたり伸ばしたり、他にも色々できる機械でございます!」


 いやまた凄い名前の物が出たな!?M4A1とな!?

ってか、かなり凄い機械じゃねーのか!?好きな形に何でも切れるとか素晴らし過ぎるじゃねーか!!買いだ!買い!


 「買います!幾らでしょうか!?」


 「ありがとーございまーっすっ!!!」


 いや急に居酒屋のバイトみたいな感じになったぞ!?


 「お値段はお待ち下さい。他にもオススメ商品がございます。そちらとセットでお考え下さい。農業神様に言伝てされております。次の商品はこちらです。神様印(かみさまじるし)のロサンゼルス級H252タワーと言います」


 いや名前負けか!?ロサンゼルス級とは何ぞ!?H252タワーって名前だが全然タワーじゃなく、片手で持てそうな丸い筒なんだが!?


 「これは何に使うのでしょうか?」


 「これは今、貴方様が申しておりました水力発電機の原型でございます。少し私達の手が加えられておりますが、こちらの説明書に書かれております物は、貴方様がお世話している人間に見せれば作れるレベルです。そこから応用していけばよろしいかと思いますよ」


 「凄いですね。いつもその時々に必要な物を揃えていただき、ありがとうございます」


 「ありがとうございます。続けますね。続いてこちらです。こちらは鉗子から始まりマイクロ縫合鑷子まで、MRIからレントゲンや放射線治療装置まで、貴方様が居ました時代の病院にある装備は全て揃ったこちらのジオラマ。取り出すと元には戻せませんが、貴方様がお世話している人間の女達に見せれば、渇望している物かと思います。名付けて神様印(かみさまじるし)のカーチススピットファイヤジオラマ、でございます」


 おいおい!病院か!?明らかに日本家屋だし、名前が全然病院の名前じゃないんだが!?むしろ攻撃する武器のような名前なんだが!?


 「ありがとうございます!買います!」


 「それとここで一つお願いがございます。これらの全てはマナで動きます」


 この球体の神?が言った事はマナを使った道具や器具が多く、いくら農業神様が良いと言ってもさすがにまずいらしい。だから今後は無理難題を言わないでほしい事と、この世界線は基本オレが居た未来の事象と同じ様に事が進むべく、この目の前に居る神?達が頑張ってるらしいのだが、どうもそれが追い付かないから『暫く新商品が遅れるかもしれない』と言われ、農業神様に直接お願いはしないでほしい、と懇願された。


 「いや、こちらの方こそ申し訳ありません。そちらの事情が分からず、色々我が儘言ってしまって・・・」


 「いえ、実は私(わたくし)もかれこれ1000年程休みが無いのですよ・・・。トホホ・・・。今起きてる事象・・・今後起きる事象も本来の世界線で死ぬ運命の人間も、本来より早く事態が起きる事になるでしょう。貴方様の行動によりその限りとは言えませんが」


 いやいやいや!?1000年!?ブラック過ぎだろ!?

ってかやっぱり色々起きる事が早い気はしたんだよな。


 「我が父から始まり農業神様も色々無理難題を言い、いつもその尻拭いを我らが・・・・あっ!!!今のは聞かなかった事にして下さい!!お願いします!!!お願いします!!ごめんなさい!ごめんなさい!!」


 いや、この球体の人・・・というか球体だから表情が分からないけど、オレには分かる・・・。マジでこの球体様、疲れている・・。可哀想だ・・・。


 「言いませんので安心して下さい。それと喜ばれるか分かりませんが、私の配下が作ったイチゴジャムホットケーキです。農業神様に渡そうとしましたが、良ければ食べて下さい」


 「こっ、これを!お、おいにくれるでやんすか!?」


 え!?話し方変わった!?


 「し、失礼致しました!つ、つい興奮すると素が出てしまうです。これはいただきますです!」


 「美味しくなかったらすいません。基本甘いです。それで金額の方は・・・」


 「申し訳ありません。金額はゴッドポイントが80万円分貯まっておりますが使われますか?」


 ゴッドポイントだと!?初めて聞いたぞ!?


 「それは買い物したら貯まっていくやつですか?」


 「そうです。説明は聞いていませんか?確か最初の担当は・・・パパ・・・。はぁ〜・・・」


 オレは察してしまった・・・。ゴッドファーザーさん・・。面倒だからオレに伝えなかったな!?


 「いや、なんとなくは分かりますので大丈夫です。とりあえず今はお金ありますので、現金だけで計算お願いします」


 「申し訳ありません。早くて助かります。金額は貴方様は日本・・・円でしたね?800万円で如何でしょうか?」


 「やっす!!これだけ無双できる物がそんな安くていいのですか!?」


 「はい。構いません。農業神様からも言われておりまして、貴方様には最大限の値引きと対応をするように言われて、好きなように過ごせるようにと言われております」


 「ありがとうございます!農業神様にもお礼をお願いします!買いますのでクレジットから引いておいて下さい!」


 「畏まりました。では購入した物は使い方から設置の仕方など、全て説明書に書いてあります。収納に入れております。今後もGarden of Edenをよろしくお願い致します」


 「こちらこそお世話になりました。では失礼します」


 〜時間が動き出す〜











 「思っていたより我が儘な人間ではなかったな。人間にお供え物を貰ったのは初めてだ。それも地球の食べ物だ!この高揚感・・・嫌いじゃない・・・。帰ってから食べてみよう」


 「ほーう。農業神の眷族か?まだ姿も持たぬ者が供物(くもつ)か?」


 「せ、せ、戦神様ッッッッ!!!!!!!?」


 「何じゃ?久しぶりに飲もうとわざわざ来てやったのに、農業神は居らぬのか?うん?美味そうな匂いじゃな?どれ、ワシに一口寄越せ」


 「え!?こっ、これは・・・」


 「これは何じゃ?うん?」


 「い、いえ。どうぞ・・・・」


 あぁ・・・。おいの初めてのお供え物が・・・。


 「美味い供物(くもつ)だ。甘いな。中々良いのう。ワシの供物は酒や鉄や剣や槍しか無いのだ。許せ。そうじゃ!代わりにこれをやろう!」


 ポワンっ。


 「美味かったから礼じゃ!ロンギヌス槍とプロミネンス剣をやろう。がははは!また来るぞ!」


 あぁ・・・。おいのお供え物が・・・剣と槍に・・・。こんな剣も槍もおいは使い道が無いのに・・・。

あの人間はこの二つとホットケーキなる物を、交換してくれぬだろうか・・・?美味そうだったな・・・。イチゴジャムとはどんな味なのだろうか・・・。地球の料理は上級神様達にも珍しがられるのに・・・。








 「それで芳兵衛さん?これなんだけど・・・あれ?おーい!?」


〜時間が止まる〜


 「さ、ささっきは申し訳ありませんでした!」


 「え?眷族さん!?そんな焦ってどうしたのですか!?」


 てかオレは何でこの球体の神の表情が分かるのだ!?とうとうその領域にまで達したのか!?


 「こっ、この2本の武器をお渡しします!だから!だから・・・おいにホットケーキを・・・うわぉぉぉぉぉぉん!!」


 おいおい!?球体が泣き出したぞ!?どうしたんだ!?ホットケーキはまだおやつ用に、ボックスにありはするけど・・・。


 「これでいいですか?おやつ用なので装飾なんかはしてませんが・・・。てか、この槍と剣は何ですか!?」


 「おいからの日頃の感謝を込めたプレゼントです!是非お使い下さい!では!ホットケーキなる物!!

ありがとうございます!!!!さよならなんだな!!」


 いやいや。最後はやっぱ農業神様の眷族ぽい感じだったけど・・・。あんなに焦って何だったんだ?まあ、くれるってなら貰うけど・・・。明らかに普通の槍と剣じゃないよな!?鑑定にかけてみるか?



 《ロンギヌス槍》売却不可


効能・・・・数多の星で伝説と言われている神槍。修練した者が一突きすれば大地が割れ海を裂く。



 《プロミネンス剣》売却不可


効能・・・・炎の精霊が宿った精霊剣。修練を積んだ者が振るうと烈火の様な剣筋に。


 おいおいおい!?このファンタジーな武器は何ぞ!?初めて売却不可とか見たぞ!?こんなのオレじゃ、宝の持ち腐れになってしまうじゃないか!?とりあえずこれは収納しておこう!そのうち誰かに下賜してあげようか。オレじゃ使いこなせねーよ!?

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