勝家が感じるプレッシャー
城に到着した柴田さんとオレは早速小姓さんに座敷へ案内された。
「おう。待たせたな。それで・・・昨日、今日で成果が出ると思わなんだぞ」
「殿!!未来の肥料とやらは凄いですよ!あっという間に見たこともない物がいっぱい出来ておりました!」
「ほーう。勝家がそこまで興奮するのも珍しいな」
「私の見立てでは明日には米もそれなりに出来るかと思っております。ただ脱穀に少し時間が掛かりそうです。それと今日献上する野菜以外もこれからどんどん種類を増やしていくつもりです」
「構わん。こんなに成果を出せる奴がどこに居ようか。では早速持って参れ」
そう言われオレは廊下にこの前とは違う小姓の人に挨拶をして一種類ずつ持ってきてもらった。
「拙者、お館様の小姓しております、長谷川と言います。先日藤八から丸薬なる物を貰い食べてみたのですがいやはや、さすが剣城殿の丸薬です!甘くて非常に美味でした!お礼が遅れ申し訳ありません」
「あー!左脇さんの同僚の人か!いえいえ。あれくらいどうって事無いのでこれからも小姓頑張って下さい!後、これをまた渡しますので小姓の人が何人居るか分かりませんが分けて食べて下さいね」
そうオレは言うとポケットから10個の飴玉を渡した。
「ありがとうございまする。まだ食べた事ない奴にも必ず渡して食べさせてみます。かたじけない」
そう笑顔になったところで座敷に戻ってきた。
「これまた見た事ない物ばかりだな。これの利用方法は如何に?」
「はい。上からジャガイモ、玉ねぎ、かぼちゃ、サツマイモでございます。これはほんの一部、一階に荷車5台程あります」
「量に関しては流石だな。だが、ワシは利用方法を聞いている」
信長さん!!せっかち過ぎるぞ!!
そこからオレは油で揚げたら美味しい天ぷらになる事、甘辛く煮込んだら煮付けで美味しい事、特にジャガイモ、サツマイモは米に近いくらい腹持ちが良い事、後ジャガイモの芽の部分は取り省いて食べる事を言った。
「言われただけでは想像がつかぬ。何か簡単に1、2品程作ってこい。ただし!貴様が教え、台所衆の奴らに作らせよ。貴様だけに扱えるだけの物じゃ価値が無い」
「分かりました。では少々失礼します」
「勝家、率直に彼奴はどうだ?使えそうか?」
「それは戦にということでしょうか?内政にということでしょうか?」
「両方だ。新参だから重宝せんとか生まれが悪いから使わんとか古きしきたりに縛られるのは愚の骨頂。使える物は何でも使う」
「はっ。正直、戦は些か不安はありますが刀の素質はありそうでした。内政に関しては分かりませんが農業の事に関してはサ・・・・木下殿の様に中々やるようです。それに農民の使い方が上手でした」
「人を動かす事に長けるか・・・」
「ただ甘いところもございます。農民は働かせてなんぼ。剣城は少し働かせただけであの甘い丸薬を渡しております。でもそれのお陰か農民も文句一つ言わずに働いております」
「なにっ!?甘い丸薬とは何だ?ワシは知らんぞ」
「・・・・・・・・・・・・てっきり殿も貰ってるものかと・・・・。剣城が某の家に居候するからと献上してもらいまして・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
眉間に皺を寄せながらパタンっパタンっと扇子でリズムを取り出した信長。勝家は巨大なプレッシャーに押し潰されそうになっていた。
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