剣城しか買えない家 1つめ
次の日、伊右衛門さんに作って貰った雑煮を食べてる時に、沢彦さんが俺の部屋に来てくれた。
「あけましておめでとうございます。本年も剣城殿の活躍を願います」
「あけましておめでとうございます。ありがとうございます」
「して、拙僧に何か話す事があると聞いたが?」
「御託並べても沢彦さんは忙しい方で、時間の無駄ですので簡単に言いますね」
俺は昨日の夜に事前に購入していた、奇妙君や家の甲賀の子達に渡していた、例の神様印の参考書を沢彦さんに渡した。それでこれを見て、子供達に勉強を教えて欲しいとお願いした。
「この上質な書物は剣城殿の未来の書物ですな?」
「その通りです。この本には四則演算、平仮名、漢字などの事を書いてるので、勉学にかなり良いと思うのですがやる事が多く、けど他の人に頼める人が居ないので・・・」
それから沢彦さんは難しい顔をしながら、パラパラ読み始めて難しい顔をしながら答えた。
「拙僧はそれなりに学を学んでおると自負しておったが、まだまだだったようじゃ。良ければ拙僧も、剣城殿の家の子供と一緒に学んでも良いか?」
「それは大丈夫です!そう言ってもらえると非常に助かります!」
「拙僧如き愚僧が役に立つなら喜んで引き受けましょう。未来ではこの様な上品な書物で学べるのだな?大変に羨ましい」
「まぁ未来では勉強が嫌いな子供も居ますけどね。だいたい6歳くらいから15歳くらいまで義務教育と言って、学舎で子供は勉強するのです。
本当はここ尾張でもそうしたいのですが、人も足りないし施設もありませんので。まずは身近な事から始めてみようと思ってます」
「ほうほう。良い心掛けですな。では拙僧も元信長殿の教育係じゃ。子供達にも勉学を教え自分も学ぶとしましょう」
俺は良い返事にホッとする。それから少し雑談をして、『明後日くらいから教える』と言ってくれて部屋を出て行った。そろそろ次の甲賀の人も来るよな。一旦家に行こう。
「この辺にプレハブでも出そうかな」
「ぷれはぶとは何でございますか?」
「あっ、金剛君こんにちわ。プレハブとは簡易的な家の事だよ」
オレはタブレットでプレハブを検索してたら商品の横に(剣城専用)と書かれている物を見つけた。
「これ絶対農業神様が作ってくれたやつだろう!?オレの事見ててくれてるのか!?ありがとう!!!」
「のうぎょうしんさまとは!?剣城様!どういうことですか!?」
「農業神様とは・・・オレの師匠です!金剛君が知ってるかは分からないけど、俺が手入れしてる村で木彫りが上手な人が居るから、農業神様を彫ってもらうから、出来上がったら祀ってもらえる?」
「はっ。間違いなく祀らせて頂きます」
「堅いよ!もっと友達感覚で話してくれていいよ!前の慶次さんも見たでしょ?別に怒らないしオレもあんな方が喋りやすいから」
「そうそう。金剛は堅物過ぎだよ!?」
出たな!?俺の苦手な古い記憶を呼び起こす琴ちゃんが。
「剣城さまっ!こんにちわ!」
「こんにちわ!さっき、偉いお坊さんに皆の勉強の事お願いしたんだよ?この家の事も言ってあるし近々来てくれると思うから、その人の言う事はちゃんと聞くんだよ?」
「私はそんな子供じゃない!そんな赤子に話すような喋り方しないで!!」
「おい!琴!?剣城様に失礼だろ!!?おい待てよ!」
なんか怒りながら家に入って行った琴ちゃんだが・・・。赤ちゃんに話す言葉だったか!?優しく言ったつもりだったのだけど・・・。
女は魔性だ・・・。友達の妹に昔お菓子をあげて断られた時のような感じだ・・・。
「剣城様、すいません。琴にはちゃんと言っておきますので」
「いいよ。まだ慣れてないしね。ただ金剛君・・・。人生の先輩からの助言だ!女には気を付けろよ?」
「・・・・・・・・」
金剛君から冷めた目で見られたが、気にせずオレ専用のプレハブ?というか家を購入した。
《剣城しか買えない家》
効能・・・・神界の3Dプリンタで作った家なんだなぁ。外見は時代に合う様にしたんだなぁ。中は12人まで寝れる木製ベッド、布団をサービスしてあるんだなぁ。地下もあるんだなぁ。後は楽しみにして欲しいんだなぁ。
いや、説明不要の農業神様が作ったの丸分かりですね。神界の3Dプリンタ凄過ぎじゃね!?普通の実際に建ててもらった家と見た目変わらないんだが!?それにこれのどこに地下があるんだよ!?
「剣城様!?この家は!?」
「金剛君・・・・。考えるな!!感じろッ!!!」
「感じろ・・・ですか・・・?」
「お菊さん居る?」
「はっ。ここに!私も見ましたが驚きました!」
いやどこから見てたんだよ!?顔全然驚いてねーじゃん!?
「てか慶次さんは?」
「ちょっと出てくると言ってました。夕餉までには戻るかと」
「なんだ。つまらんな。驚かせてやろうかと思ったのに。とりあえず中に入ろう。琴ちゃんと奏ちゃんと剛力君も呼んで来てくれる?」
甲賀の5人とオレとで中に入ったら外で見るより明らかに広い。4部屋あって1部屋は左右に2段ベッドが6つ備え付けてあって布団まであった。確かに12人まで寝れる感じだ。
反対の部屋は木で出来たロッカー?みたいなのも人数分あった。残り2部屋の内1部屋は大広間みたいになり、その大広間にでかでかと円卓があった。椅子も12人分だ。
「おいこれ!絶対円卓の騎士的なやつだろ!?農業神様!?えぇ!?絶対そうだろ!?席の前に日本刀の形した堀まで掘ってあるぞ!?」
「剣城様!!円卓の騎士とはなんでございますか!?」
「金剛君・・・。感じろッ!!!!」
「剣城様!?この家の大きさの外見と中の広さが合ってないと思うんですけど?」
おい!初めて話し掛けてきてくれた奏ちゃんだが、琴ちゃんよりギャルっぽいんだが!?若い女に話し掛けられて、ちょっと嬉しい気持ちになってる自分も居るけどよ!!!
「そうなんだよ。オレもそこは分からん!」
「分からんのかいっ!!」
「琴さんや?鋭いツッコミだ!こんなに席や椅子があるんだが、こんなには人来ないよな?」
「私は何も聞いてないですよ!剣城様は滝川様から何も聞いていないのですか?」
「一応5人とは聞いてるけど増やしてもらおうかな?まあ、また俺から滝川さんに言ってみるよ。あとこの際だから言うけど、お菊さんも聞いてくれ。琴ちゃんや奏ちゃんみたいに、剛力君も金剛君も話し掛けてくれていいからね?その方が仲良くなれるし」
「なんとか、善処致します」
「俺も慣れていくように頑張るっす」
まぁこれは徐々にだな。命守って貰ってるのに業務的な面だけではなんか冷たいよな。慶次みたいに酒酒酒でも困るけど。それから残りの1部屋を見たんだが・・・・。
「剣城様?なんすか?この部屋?」
「剣城様!!キャハッ!これ投げれば敵の頭に刺さってグシャって倒せそうですよ!」
「奏?これなんかも良いんじゃない?力の無い私達でも振れそうな刀よ!」
奏さんや?グシャってやらなくていいから!
「剣城様!?この部屋は何なんでしょうか!?」
「金剛君、何回も言わせるな・・・。後は分かるな?」
「はい!感じます!!!」
「剣城様?こちらに何か書いてありますが?」
「何?お菊さん・・・」
『この部屋は武器庫なんだなぁ。この中の武器は忍者に装備させるといいんだなぁ。この中の武器は、我が兄弟に仕える人間にしか使えないんだなぁ』
いや忍者て!?たしかに飛び道具的なのが多い気がするけどよ!!?それによく見ると、普通にこの時代でも作れそうな武器ばかりの様な気が、しない訳でもないけどよ!?
「何て書いていたのですか?」
「これはお菊さんとか金剛君や、これから来るオレに仕えてくれる人にしか扱えない武器、らしい。なんて信長様に伝えよう・・・」
「こんな事私が言える立場じゃありませんが、この家は剣城様の物です。特段報告しなくても良いではないですか?別に謀反を起こす訳でもないですし、見れば女でも扱えそうな武器も多数あるように伺えます」
「うーん・・・。けどもし、後から信長様に見つかってあの武器は何だ!?とか言われても何て説明すれば良いか・・・」
「その時は本当の事を言えばいいんじゃないですか?剣城様の師匠様でしたか?剣城様の配下しか扱えない武器なんですよね?」
「そうだけど・・・。まあお菊さんが自分の意見言うのは珍しいしそうするよ」
「ありがとうございます。私はこの素晴らしい武器を他人に取られたくないだけです。色々試してみていいですか?」
なんですと!?オレの事やこの武器の事心配してくれてた訳じゃないのか!?
女は魔性だ・・・・。
「金剛?あのお菊さんのように感じるんだ!正直、俺は何で俺達にしか使えない武器なのか疑問だが、その考えを俺は捨てている」
「剛力、そんなものなのか!?感じる・・・感じる・・・考えるのじゃなく感じるのだ!!すまん。剛力?俺もこれからは深く考えないようにする」
「そうだ。さっき剣城様がこの事を未来では、『どんとしんく!ふぃーる!と言う。』と言ってたぞ!だから俺達もどんとしんく!ふぃーる!をしよう!」
「どんとしんく!ふぃーる!・・・分かった」
何かあっちで男2人勘違いしてそうだけど・・・まっいいか。最後は地下だな。
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