母性が出てきた濃姫
信長さんが暴走する中、オレは残りの小船も出してそちらを操船する。レールガンとは何かを知りたい為、信長さんに言い暴走をやめてもらう。水平線の彼方に照準を合わせ発射ボタンを押す。
チュゥ────ドォォォォォ─────ンッ!!!
瞬間的にこれはヤバイ武器と気付いた。海が割れるとはこの事ではなかろうか・・・。
「剣城ぃぃぃ!!!!その面白い武器は何だ!!!!」
信長さんは違ったみたいです。どうもありがとうございました!
「これはレールガンと言います!今1番強い力で放ちました。まさか海を割る程とは・・・」
「確かに今のは少し驚いた。この大きい船は公家連中等を乗せるのに使おう。その小さいのは攻撃船だ!」
信長さんの中で決定事項なんだな!?
「では私はこの船にて薩摩を目指したいのですが、よろしいですか?」
「うむ。暫くは戻らぬであろう?残りの二つはワシが責任を持ち預かっておく!これで水軍も作れる!遠藤!馬廻りに船の見張りを24時間体制で付けるように、言っておけ!誰にも乗らせるな!」
「は、はい!」
確かに盗まれると大変だ。まあオレが収納すればいいだけではあるんだけど・・・まっ、いいか。
放心状態の吉蔵さんに栄養ドリンクを飲んでもらい、ここ那古屋を尾張一の港にすると約束し、『近々オレの配下の人達が護岸工事をする』と言い、岐阜に戻った。
心なしか皆、御満悦である。佐々さんは酔いは治ったみたいだが、体がフワフワすると言っていた。所謂、陸酔いだ。
「ふん。情け無い!鍛錬を怠るな!!」
「お館様、申し訳ない・・・」
こればかりは可哀想だがどうしようもない。そもそも鍛錬の仕様もないだろ!?
そのまま城に上がり薩摩の事を話し合う。友好路線にしてもらわないと、オレは帰らぬ人になってしまうからだ。
「そもそも薩摩とは尾張とどのくらい違うのだ?」
「すいません。はっきりとは分かりませんが、少なくとも明の船などは入ってきてる為、それなりに栄えてるかもしれません」
「いきなり現れても敵対と見做されるやもしれぬな。う〜ん」
珍しく信長さんが考えているな。
「あからさまに下手に出る必要はない!あの船がある限り薩摩と交流はできよう?友好的に行け!土産も忘れるな!そしてこの話を島津何某が蹴るようであれば、貴様は手を出さずに戻ってこい!くれぐれも単独で戦をするのじゃないぞ?」
「分かりました。今進めている工事や新しき道、護岸工事などは配下の剛力に伝えておきます。自力で造る船に関しては、国友さんに全幅の信頼をしておりますので、見守る程度でお願いします」
「うむ。あれ程の船を造れとは言わぬが、明や南蛮を圧倒するくらいの船は、ワシらで造れれば良いがな。何ぞ美味そうな物があれば貰って来い!」
ガランッ
なんか箱を渡して来たぞ!?
「何ですか?空けても?」
「前金だ。こんな銭は織田にはもう必要ない。永楽通宝と宋銭と金、銀だ。もし余ったとしても貴様が貰っておけ」
いやいや、かなりの量があるけど構わないのか!?ってか金の延べ棒に関しては10本くらいあるんだが!?
「ありがとうございます。必ずや同盟?協力?を取り付けて参ります」
「うむ。薩摩豚のかれーを楽しみにしておる!下がって良いぞ」
「はい。失礼します」
「おう、そうじゃ。剣城?気を付けて行ってこい!」
このしゃーなしで言ったような感じだが、物凄く嬉しかった。時折り見せる信長さんの優しさだ。
コンコン
「誰じゃ?」
場所は変わり、オレは病院に来た。濃姫様御懐妊は知っているが、男のオレは早々には寄らない方がいいかと思い、一度も顔を出さなかった。だがさすがに長期間、岐阜を留守にするから挨拶に来た。まだお腹はそんなに大きくなっていない。
「剣城です」
「気にせずに入って良い」
「失礼します。どうぞ。フルーツ盛り合わせになります。悪阻で食べれないかもしれませんが、お加減がよろしい時にでも。後、暫く岐阜を留守に致します」
「このような施しまでしてもらい、悪阻如きで文句なんか言えん!ありがたく頂戴致す」
久しく見ない間に随分と丸くなったな!?母性が出て来たのかな?
「どこに行くのかとか聞かれないのですか?」
「ふん。興味ない」
クッ・・・全然優しくなってなかったか・・・。
「興味ないですか・・・・」
「冗談じゃ。於犬に少し聞いた。海の向こうに向かうそうじゃな?」
於犬?確か信長さんの妹で、お市さんのお姉さんだったよな?もう正月は過ぎたけど帰って来てたのか!?
「私はその方に会っていませんので分かりませんが、その通りです」
「会ってなかったのか。まあ、間が悪かったのかのう?」
「もし今度会う事があれば、よろしくお伝え下さい。そして、配下の者には伝えておきます。何不自由なく過ごせるように手配しておきますので、配下をお使い下さい」
「・・・・羨ましいのう」
「え!?」
「いや何でも無い。武運長久を祈っている」
確かに女が外に出るのは中々だよな。
「今私は船造りを開始しております。来年、再来年辺りには、女性も気軽に遊びに行けるように考えております。どうか・・・・」
「うむ・・・・」
やっぱ濃姫さんは変わったな。身籠もるだけでこんなに変わるんだな。
この日の夜、皆を集め伝える。まあ皆と言っても振り分けしている仕事がある為、動ける人達だ。
「薩摩に向かう事になりました。例の船に乗ってです」
「「「「うぉぉぉぉ────!!!」」」」
「うん。まあその人選をね?とりあえず戦に行く訳ではないし、10人くらいでいいかな?悪いけど鈴ちゃんは確定だから」
「やったぁ〜♪」
鈴ちゃんは衛生班として必要だ。まあ、ゴッド薬があればとりあえずは大丈夫なんだが、居ると心強く思うんだよな。ギャルみたいな鈴ちゃんだけど、勉強だけは1番熱心だしな。
「剣城ぃぃぃ〜〜?分かるよな?」
クッ・・・・慶次さんからの圧力か・・・。
「慶次さん決定。後は文句なし!今から名前呼ぶからもし嫌なら断ってくれて構わないから!鈴ちゃん!鞠ちゃん、慶次さん、小川さん、望月さん、小泉さん、隼人君、野田さん、杉谷さん」
「後一人は!?」「剣城様!早く!!!」
「大野さんに来てもらいたいけど、飯屋が留守になってしま──」
「おい!お前!某は剣城様に着いておかねばならぬ。倉治!分かるな?」
やっべぇ〜!沈黙の処刑人だっけ!?バリこえぇーんだけど!?
「剣城様?某が決定でございますれば」
いやいや、倉治さん元々同僚だろう!?ビビってしまってるじゃん!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます