熊さん実は恋してました。

 その次の日また2人乗りで村に到着したオレは、昨日植えた所に買った金色のニワトリの肥料を八兵衛村長の班に渡して適当に撒いてもらうようにお願いをした。


 肥料を渡した後、伝兵衛さんの班に時告げ鳥を捕まえて来てもらい柵の中にとりあえず放してみた。


 「伝兵衛さん、ありがとうございます。できればオス、メス何匹かずつ捕まえてもらって数を増やしたいので任せてもいいですか?それにこの柵の中に小さな小屋を建てて時告げ鳥が雨、風防げるようにしたいので残りの人と手分けして作業お願いします」


 そう伝兵衛さんにお願いし、オレはもしかしたらネットスーパーにまた凄い神懸かり的な餌があるかもと思い、夜にまた探してみようと思った。

 とりあえず、目標50匹くらい育てられたら後は、メスだけにして卵だけ食べるようにしたらいいかな?それに肉を食べるにしてもオレは解体できんぞ・・・・・・まさかっ!?

 否、大丈夫!出来る筈だ!とりあえず数を増やそう!


 そう思いつつもあの例の肥料頼りで今日は然程する事が無いので柴田さんに木の棒で稽古をつけてもらって午後を迎える。


 「てーへんだ!てーへんだ!あの褌から渡された肥料を撒いたらもう実がなってるやつもあるぞ!!てーへんだてーへんだ・・・」


 また拡声器かよ!!そう言われ気になり畑を見に行ったら・・・まじかよ!!!たしかにもう芽が出てるのが殆どだった。


 「未来の肥料とやらは凄まじいんだな。これ程とは思わんかったぞ?これなら未来では飢饉なぞ起きんのではないのか?」


 いやこれなんて説明したらいいんだろう・・・。もう未来の肥料でいいかな・・・。


 「いや、これはまた特別な肥料でして・・・。未来でもかなり貴重な肥料なのです。だから今日の夜には恐らく撒いた苗、種全てが収穫可能になるかと思います」


 「真かっ!?ワシは悔しいがサル程、農業の事は全く分からん。が、しかしこれが普通じゃない事は分かる。帰ってお館様に報告するぞ」


 そう言われ、急いで八兵衛村長達に柴田さんと同じ説明をして明日には収穫できるので全員収穫班に回すようお願いして家に戻ってきた。


 「殿、お早いお帰りで。何かありましたか?」


 「お館様に書状を書く。頼まれてくれるか?」


 そう言うと筆と墨と紙を持ってきて、すぐさま柴田さんが文字を書き出した。正直、何書いてるのか全く分からん。ミミズの様な字だった。


 書き終わり、茂左衛門さんが手紙を受け取る時、昼餉も持ってきてくれた。焼きおにぎりだった。

ただ、絶対前より砂糖多めに使ったのが分かるくらい焦げてる焼きおにぎりだった。


 「今日は殿の好みに合うように味付けをしました。帰ったら感想お願いします。では行って参ります、御免」


 「これまた腕を上げたな。日に日に甘く美味くなっておる」


 おかしいだろ!!!なんで焼きおにぎりがジャリジャリいうんだよ!!砂糖どんだけ入れたんだよ!!!この熊さんなんか頷きながら、なんなら少し涙流す雰囲気で食べてるじゃん!!!


 「お主が居た未来では飯はこんなに美味いのか?」


 「いや、たしかに美味いもんは多いですが総じて言えるのはこんなに甘い物は甘味以外ではあまり無いと思います」


 「そうか。ワシはこの握りと酒があれば生きていけそうだがな。そう言えばここ最近お主が夜食を出してくれてから腹の調子がおかしくてな。日に3食食わんと夜眠れんくなった」


 「あっ、すいません。私が居た未来では朝、昼、夜、時に夜中と食べるのが普通でしたので・・・・」


 「なんと!?日に4食も食べるのか!?だからお主の腹はそんな腹なのか!?」


 くっそ!!そんなに熊さんも腹は変わらんだろうがっ!!!!どいつもこいつも馬鹿にしやがって!!この時代に来てから少しは痩せてる筈だよ!!!


 「その腹の件はすいません。そうかもしれません。なので私は日に3食食べないと体が保たないので、もし米が足りなくなったら私が出しますのでこれから3食でお願いします」


 「ワシらだけ贅沢とはいかんから、もし良いならこれで未来のあの真っ白い米を滝川殿、佐久間殿、森殿、丹羽殿にも渡してくれぬか?」


 そう言い、外から大小の刀を渡された。


 「刀はすいません、ありがとうございます。買い取り金額見てみますので少し待って下さい」


 日本刀 ¥150000

 脇差し ¥50000


 今回は説明欄が無いから普通の刀かな?でもやっぱ刀は鑑定金額高いな。


 「あまり良い刀じゃなくてな。ワシが元服した直後に持った刀じゃ。まぁ、飾りの刀じゃ。本来はワシに子供が出来、元服したら渡そうと思うてたが縁が無くてな。お主に最近無理をさせておる。役立たせてくれ」


 「いやいや、すいません!かなり良い金額です!でも本当に良いのですか?私はかなり助かりますが・・・」


 「うむ。構わぬ。またたまにびーるを飲ませてくれたらそれで良い。それと違う未来の酒も飲んでみたい」


 なんだよ!!少ししんみりした雰囲気だったのに酒が飲みたいんかいっ!!!そう言いオレは刀を売り、


 《ウイスキー》¥7000


 《米30キロ×4》¥32000


 を購入し、米はボックスに入れた。ウイスキーは柴田さんに渡した。


 「お主が献上してくる酒は毎回入れ物も良いな。でも、それもまたお主が回収するのか?」


 「いや、邪魔になるかと思い回収してるだけですよ?要るならお渡ししましょうか?」


 そう言うと柴田さんはこのウイスキーの瓶だけ欲しいらしい。気になったので理由も聞いてみた。すると姿には似合わずモジモジしながら答えてくれた。


 「いや、実は今度お館様の妹君、お市殿に贈り物をしようと思ってだな・・・」


 おいおい熊さん!?まさかお市さんに恋してるのか!?してるよな!?この時代からしたらこの瓶も綺麗だが、空き瓶貰って喜ぶ女性は居ないと思うぞ?それにあんたが結婚できるのはまだだいぶ先だと思いますよ?


 「左様でしたか。では中身は無くて良いのですね?花でも入れて花瓶の様にしたら喜ぶのではないですか?」


 「でかしたっ!!ではその様に致そう」


 ふんっ!!!プレゼントのセンスが皆無なこの熊さんですら恋しとるのにオレにはムサイ男しか寄ってこんのかいっ!!ふんっ!!熊さんなんかフラれてしまえばいいのだ!!!


 オレは早くハーレムがしたいぞ!!!!そう思いながらも残金が増えた事にニヤニヤしてしまう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る