本陣に1番乗り
「島津の兵児ッ!!!おいどんに続けッ!!!斬れッ!斬れッ!!!」
シュパッ シュパッ シュパッ シュパッ
「ひぃ〜!!バケモノだ・・・」
うん。オレも本当にそう思う。木脇さんを先頭に凄まじいまでの突撃。それも皆が皆、右から左に向けて振り下ろす一刀が、これがまぁ本当に凄い。
背骨を切断されてる人まで居る。甲冑を気にもせずにだ。
「うぉりゃ!!」
ズバッ ズバッ
「望月さんカッコイイ!!あの島津の人の剣の技がカッコイイ!」
「そ、そうですか!?剣城様も習ってみては如何ですか!?」
シュパッ シュパッ シュパッ シュパッ
「ぬぅぁ!?剣城殿ぞ!!皆の者!道を開けろ!」
「坂井さん!!ありがとうございます!貴方が作った穴から道が出来ました!必ず倒してきます!」
「い、いや・・・某は・・・ぐぬぬ!寄るなッ!!」
グサッ!
「流石、坂井さん!!決して死なないように!!」
やっぱり坂井さんは流石だ。
「おぉ!あそこに見えるのが薩摩兵ぞ!剣城殿も続いている!皆の者!道を開けよ!」
「半兵衛さん!ありがとうございます!貴方が切り開いた道を進みます!!」
「うむ!遠慮せずよろしくお頼みしますよ!おのれッ!!私のヘカテーの杖に触るな!!」
グドフッ
いやいや、威力ヤバ過ぎだろ!?一振りで敵さん肉片になってるぞ!?
「島津兵児ッ!!脱落は居らぬか!?」
「全員居ります!」
「良き!このまま味方が居る中陣まで翔けるぞ!剣城殿も他愛ないですか!?」
「問題なし!甲賀隊も全員居る!あと、これが落ち着けば、その刀法を教えて下さい!!」
「えぇ!?おいどんのタイ捨流をですか!?」
「そうそう!皆が右から左に向けて振り下ろす刀がカッコイイですよ!うん?タイ捨流!?聞いた事あるぞ!?」
「タイ捨流を知っておいでですか?まぁ、義弘様にお聞きになられた方がよろしいかと・・・むむむ!変わった甲冑の者が居る!兵児ッ!構えッ!!斬れッ!」
ガキンッ ガキンッ ガキンッ ガキンッ
「な、なに!?弾かれただと!?」
オレ達が慶次さんの方に向けて進んでいると、剛力君が拾った、鉛を仕込んだ甲冑を装備した兵の一団が現れた。
「本陣に近付かせてはならぬ!敵は寡兵だ!このまま囲んで、磨り潰せ!」
「木脇さん!頭下げて!!そこのデカブツ!!死ねや!!一の太刀ッ!!」
ボッボッボッ ズシャッ ポトッ
『はぁ〜・・・久しぶりの血・・・これよ!これ!』
「剣城殿!今の一撃は!?これぞ正しく剛の刀!!おいどん等のタイ捨流が赤子のような・・・。否!これぞ正しくタイ捨流の真髄に近き、刀法でした!」
「いやいや、これはこの西洋の刀・・・基(もとい)、剣が凄まじいだけだよ。それにカッコつけて一の太刀!とか言ったけど、発声した方が力が入るから、適当に言ってるだけなのです!それと、相手は鉛を仕込んでいるから、正面は気を付けて!」
「「「「やぁぁぁぁぁ!!!!」」」」
「これはいかん!囲まれてしまう!剣城殿!!おいどん等は己でどうにか致します!!このままお進み下さい!!」
「な、何言っているんだ!こんな所に居たら殺られてしまうだけだ!義弘さんに何て言えばいいんだよ!」
ボッボッボッ ズシャッ
「グハッ」
「あっ!木脇さん!!!」
「何をごちゃごちゃ言っている!そこの!悪く思うなよ!」
ブォンッ ズドン
「クッ・・・・」
オレと木脇さんが問答していると、向かって来た3人の敵を斬ったが、後ろから来た1人は斬れず、島津兵の1人が斬られた。が、防刃ベストを渡しているから血は出ていない。
「木脇様!すいません!」
「彦三郎ッ!!誰が転んでいいと言った!!島津兵児が倒れるのは死ぬる時と寝る時のみぞ!みっともない真似をするな!剣城様!ここはどうかお任せ下さい!」
いやいや、死ぬ時と寝る時以外は倒れる事すらできないのかよ!?島津家怖すぎるだろ!?
「・・・・必ず戻る!だから死なないで下さい!」
「当たり前です!帰り道も確保しておかねばならぬでしょう?島津兵児ッ!!剣城様の二段翔けだ!三好の賊めが!!道を開けろ!!」
シュパッ
はぁ!?いやいや、鉛を仕込んだ兵を木脇さんは斬ったぞ!?プロミさんで、やっと斬れた相手だぞ!?
「さぁ!今の内です!」
「我が君!急ぎましょう!」
「甲賀隊!オレに着いて来いッ!!このままの勢いで翔ける!!」
「「「「オォ────ッ!!!」」」」
木脇さん達、島津兵にこの辺の敵は任せ、オレ達は進んだ。かつてなら、あそこでオレも見捨てず戦っただろう。だが、今なら分かる。オレ達が三好を討たなければ終わらないという事を。
「我が君!あそこに居るは慶次坊ですぞ!むむ!我が君!屈んで下さい!鉄砲です!」
パンッ ガキンッ
「なっ!?弾いただと!?おのれッ!!!」
「がはは!我が君から与えられし成長する大盾を貫けると思うなッ!!!小童共ッッ!!!道を開けぃ!!!」
「小川のションベンタレ!退け!!」
「ふふふ。ワッチが頂いたこの、れいぴあなる小剣は簡単に敵を貫けるさね!三好の阿呆共よ。剣城様に怪我させたのだ!楽に死ねると思うなッッ!!幻惑突きッ!!!」
シュシュシュシュシュシュ
「グハッ」 「ぬっ」 「グフッ」
いやいや、あの牧村お婆ちゃんの突きは何だ!?しかも幻惑突きとな!?瞬脚で敵を突いてい・・・る!?あのお婆ちゃんは怒らせるのはやめておこう。
「ふんぬッ!!!剣城様から頂いたこの蚩尤瀑布砕の糧となれッ!!!そこに直れッ!!」
ドゴォァンッ
いや、小泉お爺ちゃんもヤバすぎだろ!?敵が粉々になってるんだが!?
「わははは!牧村の婆っちゃんも小泉の父っつぁんもやってるな!!奉行衆!道を開けろ!剣城!何としても勝てよ!ここは俺達に任せな!」
「クッ・・・小泉爺ちゃんも牧村婆ちゃんも死なないで!!慶次さん!貴方が届かせた本陣への道!必ず三好を討ちます!!」
「わははは!らしくなったじゃねーか!!存分にな!行けッ!!地走りッ!!!」
ズザァァァァ───
慶次さんが繰り出した異次元の技にて、敵が薙ぎ倒された。そこはオレが見えた小さな道と同じ場所だ。
本陣はもう見えている。行ける!
「甲賀隊!奮起せよッ!!!」
「「「オォ────!!!」」」
〜三好本陣〜
「な、何をやっているのだ!!あの異形の者を近付かせるな!!大筒はまだなのか!!」
「慣れておらぬ故、申し訳ありません!準備整いました!!」
「早くあの剣城軍を撃てッ!!流石の剣城殿も大筒相手には敵うまい!!自分が渡した武器が如何に恐ろしい物なのか、その身を以て知れ!!」
「馬廻り衆!前方を固めよ。敵は甲賀草達の集団だ。義継とワシを守れ!あの異形の者を大砲で撃った後に、長逸等の後詰めで詰みだ」
「クッ・・・。さすがに速度が落ちてきたか」
"寄るな!!ヒューマンめ!!ガジッ ガジッ"
あのノアですら苦戦している・・・。後少し・・・。敵本陣まで、もう目と鼻の先だというのに・・・。
「我が君ッ!!!大筒が見えます!!お下がりを!!!」
「マジかよ!?オレ達狙いか!?クッ・・・。散開!!皆、己の命だけ守れ!!小川さんも早く!!あんなの受け止められ・・・」
ズドォォォォ──────ンッッッ
オレが、小川さんも散開させようと問答していると、いつもはオレ達が放つ大砲の音が聞こえた。
「小川さん!」「小川ッ!!」「三左衛門ッ!!」
オレが直前まで見えたのは、小川さんがオレの身体を押して突き放したところまでだ。
が・・・・。
『ごっつぁんです!』
「は!?」
「がははは!我が君!この大盾は素晴らしいですな!我が君を鎮護するワシに丁度良い!そうですな!今日からこの盾は、守護盾と名付けましょうかのう!がははは!!」
いやもうね・・・。小川さん・・・。貴方が最強の守人だよ。敵も唖然としてるわ。
それにね・・・。プロミさんのような声ではないが、何かお相撲さんのような声が聞こえた件について。
「剣城様!今の内に!ここは某と大野坊主にお任せあれ!さぁ、かかってこい!今日のワシは少々気が立っておる!油断すれば即、あの世行きだと心得よ」
「・・・・おめぇー等・・・殺すぞ」
いやいや、大野さんキレ過ぎだろ!?それに野田お爺ちゃんも最早、爺ちゃんの動きじゃねーだろ!?
徐々に隊を分散させ、残りの甲賀隊は100名も居ないくらいか。
「50名はここを死守!大野さんの指揮に従って!残りの50名はオレに着いて来い!もう一息だぞ!!ノア!このまま翔けられるか!?」
『キャハッ♪当たり前だよ!じゃあ・・・敵の本陣まで・・・行っくよぉ〜♪』
「がははは!流石、ノア嬢ですな!ロザリーヌ!ノア嬢に遅れを取るでないぞ!」
ペッ
「ろ、ロザリーヌ!?どうしたのだ!?何故ワシに唾を吐くのだ!?ま、待て!ロザリーヌ!まだ乗っていないんだぞ!?」
小川さんも小川さんで大丈夫そうだ。行ける。これは行ける。ノアもオレもプロミさんも落ち着いている。
ビシュ─────ンッ!
「お、おぉ!ノア!?飛ぶなら飛ぶって・・・」
『キャハッ♪これがあーしの本気だよ♪』
クッ・・・。ノアさんや・・・。流石、神界の馬だけあるわ。翼があればペガサスだな・・・。
ヒュー ストン
「ぬっ!?」 「え!?」 「な、何奴だ!?」
「織田軍、料理ご意見番及び織田家支配内 芝田剣城 本陣1番乗り也ッ!」
やっと・・・。やっと本陣か。事情はどうあれど、裏切りは許さんぞ。
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