勝家の苦悩 ネギ味噌醤油味
この日を境に、オレも真剣に部隊演習を一緒に励んだ。迷い込んだ当初は腹も出てたが、今は痩せ型と言ってもおかしくない程度にはなった、と思う。 なんなら少しお腹が割れてる気すらもする。どうにかして大浴場とかも作りたいが、国友さん達はフル稼働してるから頼みようがないので、オレやオレの配下の人達だけで申し訳ないが、例の家で現代の風呂で我慢したりした。
女の子達は専ら人体構造の勉強をしていて、捕まえた動物を可哀想だが解剖して縫合練習したり、欲しい物リストにこれまた聞いた事ない道具、鉗子類、鑷子類、剪刀類、メス、持針器、真っ白な服上下、ゴム手袋マスク、エタノールなど他にも色々用意した。
「鈴ちゃん達は手術室でも開発するの!?オレは手術室入った事ないから分からないけど、これはオレが居た時代の病院にめっちゃ似てると思うんだけど!?」
「はい!色々な人の怪我を治します!切り刻んで縫合しますですよ!!」
いや切り刻んで縫合するって・・・。サイコパスか!?
「他にも欲しい物がいっぱいありますです!麻酔系も欲しいですし、皮膚・皮下組織・筋肉・骨の牽引や臓器の圧排をし、術野の確保や操作スペースを確保する為、鉤類も欲しいですし……………」
神様から貰った実を食べさせたら、皆こんな風になるのか!?没頭させればヤバいな。まあ医療の発展は良い事だけど・・・。比較的、凛ちゃんは何回も色々な医療の本を読み、薬の精製系の本が欲しいと言うから渡してあげたけど、この子も没頭し過ぎだな。
「まあ色々出してあげたいけど、元手が少なくなってきてるからもう少し待ってね!?伊勢方面が攻略出来れば、伊勢海老やらサザエとか売ってお金作れるから!」
「はーい!待ってますですよ!」
鈴ちゃん・・・・。いやいやいかん!オレはロリコンじゃない!ロリコンじゃない!!オレはお菊さん推しだ!!!痛っ!
「剣城様、すいません!今、いやらしい目をしていたので、つい・・・・」
お菊さん中々やるな!?なんならもっと踏まれたい・・・・。銭1貫までなら出すよ!?
「こんにちわ、剣城殿」
「こんにちわ!沢彦さん。今日のお昼は鶏ガラリゾットでも作ろうと思ってます!」
「そうですか!また聞いた事ない物ですがご相伴に預かります。拙僧の1日の楽しみが今は剣城殿の飯でしてな?ははは」
「それはありがとうございます。他にもまだまだ色々ありますのでいつでもどうぞ!ただ誰も飯屋をやりたがらないのが辛いですがね?」
「お館様が美濃を平らげ近辺が安定すれば、この村にも人が増えましょう。特に商人辺りは既に目を付けている方もおるでしょう。それに松平殿も動かれ出したみたいですぞ?」
「へぇ〜、松平さんも動き出したのですね。これで三河も安定してくれれば、綿花も更に増産できるしもっと物が動きますね!?」
「ほほほ。人の動きは血液と同じ、滞れば腐り廃っていくだけです」
おいおい!沢彦さんは哲学者か!?色んな本与えているけど凄い例えだな!?沢彦さんがこれなら最近は会ってないけど、奇妙丸君もヤバそうだな!?
「それはそうと奇妙丸殿が一度、剣城殿に会いたいと申しておりましたぞ?何でも城の老中の方が奇妙丸殿を恐れているらしく、話相手がおらんと」
「まああれだけ秀才な神童で傑物は居ませんからね。私ですら畏怖してしまうくらいですよ。なんなら私より既に頭賢いと思いますよ」
「それはそうでしょう。拙僧が教えているのですからな?はははは」
いや今ナチュラルにオレ貶したよね!?そんなに奇妙丸君の勉学教えてる事に自信あるの!?
「冗談はさておき、そろそろ例の準備も整いました」
「うん?例の準備とは?」
沢彦さんはオレが昔言った、子供に勉学を教える教師役をお願いした事を覚えていてくれて、その準備が整ったと言った。
覚えていてくれたんだな?なんならオレは忘れかけていたけど。
「剣城殿が居た小学生までの事なら、拙僧でもなんとか人に教えられるでしょう」
「ありがとうございます!そうするにはまず、近隣の村からこの村に来てもらう形になるのですが、どうしましょう・・・」
「良い考えがあります」
沢彦さんが言ったのは、子供が居る近隣の村の人達に4日程この村で泊まってもらい、子供は勉学、大人は農業の勉強をすれば良いと。その勉強を受けた者にだけ、この村である程度育てた苗を苗代田に移し、近隣の村に配る。植え方もちゃんと、
正条植えを教え収穫方法やらも、その都度教えていくとの事だった。
「その考え良いですね!それでいきましょう!泊まる家もまだだいぶ空いてますし!」
「ですが、拙僧は農業の事は書物を見た程度。専門の剣城殿配下の方に、そちらはお任せしたいのですが・・・」
いや本読んだだけであれだけ分かったの!?貴方も大概、傑物じゃないすか!?
小泉家は大砲で、杉谷家は鉄砲で、野田家と青木家は工兵班で、
大野家は輸送班に回したからな・・・。残るは小川家だけどオレ・・・あの小川家の当主、三左衛門さんだっけ?苦手なんだよな・・・。けどしょうがない。一通り甲賀の人は八兵衛村長達が教えてくれてる筈だから、大丈夫だろう。
〜小牧山城 座敷〜
「おい、勝家?貴様、ワシに隠れて皆と違う物を食うておったらしいのう?ん?」
「いっいえ、べべ、別に隠れてなぞおりませぬ」
「ふん。では何故ワシが先の戦の折に、一番槍を上げた貴様を労おうと陣に出向いた時、かっぷらーめんを隠したのだ?ん?それ相応の理由があるのだろう?ん?」
何故ワシはここで詰問されておるのだ?剣城が出したカップラーメンの数が少なくなり、一番槍を上げた自分を自分で褒めようと贅沢しただけなんだが・・・。ばれると没収されると思い隠した事が仇となったか・・・。
「貴様は以前、剣城との縁でかっぷらーめんを貰っていたのだろう?その事はどうでも良い。ワシもらーめんもかっぷらーめんも食べた事がある。ワシが問うておるのはその、ねぎ味噌醤油味のかっぷらーめんを食うた事がない」
うん?お館様はこの味のカップラーメンが食べたかったのか!?なら早く言うて頂ければ渡したものを・・・。だが残りは家に一つしか無く・・・。ぐぬぬぬぬ。
「・・・・家に・・・清洲の家に、ねぎ味噌醤油味のカップラーメンが一つございます。配下に取りに行かせますので夜までお待ちいただければ・・・・」
「ワシのかっぷらーめんと交換してやろう。お主はこの、とまとみるく味のかっぷらーめんを食すが良い」
グッ・・・あの変な味のカップラーメンか!?ワシもあれは嫌いだ!だが言える筈もないな・・・。
「ありがたき幸せ!味わっていただく事に致しまする」
「それと、受け取れ!栄養どりんくと申すそうじゃ。飲めば疲れが取れる。ワシ用に20本貰っただけじゃ。勝家、大義であった。これからも頼むぞ」
どんなに強い言葉で罵られようと、お館様のこの一言の為にワシは、どんな戦場でも一番を走りお館様の盾となり矛になれる。
「勿体のうお言葉です。これからも全身全霊を掛け励んで参ります」
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