野戦砲 北伊勢攻略戦準備

 「アジのフライとアンコウの白湯鍋を作りました!いかがですか!?あっ、そっちはオコゼの素揚げです!」


 「剣城が作る飯は美味いのう」


 「兄者は口に入ればだいたい美味い美味い言うではないか!?もっと味を感じて余裕を持って………」


 秀長さんは何者だよ!?料理のソムリエにでもなるのか!?


 「剣城様、ヒレ酒お待ちしました」


 タイミングを見計らってお菊さんがヒレ酒の熱燗を持ってきてくれた。


 「あら!?貴方は剣城殿の護衛だったわよね?」


 「はっ。剣城様の護衛をしております、菊と申します」


 「貴方も料理出来るのかしら?」


 「少しレシピ本を見たくらいで、ねね様程は出来ません」


 「そんな事よりねねよ!これを飲んでみろ!!!物凄く美味い酒じゃ!!!」


 「本当!美味しいです!臭みも無く飲みやすいです!米も甘みがあるし、このふらいと言う物は周りがサクサク音が鳴り、何とも言えない美味しさです!」


 「義姉上殿!このふらいも美味しいですが、まよねーず、そーすという付ける物の方が美味いですよ!程よい酸味、ふらいに絡みつく適度な感じ、油で揚げた物なのにくどくない・・・。これぞ至高の逸品」


 いや、だから秀長さんは何者だよ!?凄いレポートだな!?


 みんなで魚を食べ終わり酒を飲み、ねねさん達女衆にはケーキを出してあげて、木下さん兄弟はオレに直近に起こる事を教えてくれた。


 「お館様はこのまま斎藤を倒す勢いじゃ。それと同じ様に、我らが北伊勢を攻めるようになるじゃろう」


 「そうですな。剣城殿も北伊勢には従軍するようになるでしょう。今、お館様に着いて行っている滝川様が、総大将になると思われます」


 「そこまで分かるのですか!?」


 「北伊勢と南美濃の国境に、北勢四十八家と呼ばれる地豪族がおるのじゃが、そいつらと斎藤に手を結ばれたら流石に危ういんでな」


 小牧山からお館様が戻ってくる事は無く、同時侵攻戦になるだろうと木下さんが言った。時期はまだ決まってないがすぐと言っていた。


 「なら今日、私の配下がダム造りに行ったのですが、呼び戻した方が良いですか?」


 「いや。さすがに今日、明日の話ではないと思う。まだ正式な下知も届いておらん。さっきのワシらの考えじゃ」


 いややっぱ木下さんすげーわ。多分忍者的な人を使ってるんだろうな。これが他の武将に嫌われる事か・・・。でも情報は大事だからな。明日からオレも準備しておこう。国友さんにも話しておこう。


 その後はまた談笑し、次はあれが食べたいこれ食べたい、誰か木下さんの配下に飯屋をさせるとか言って別れた。次の日の朝、オレはすぐに国友さんの元へ行き、もう少ししたら戦がありオレが呼ばれるだろう事を言った。


 「ふん。ようやくか!俺のこの青銅砲が試されるか」


 「もう作ったんですか!?流石ですね!」


 「当たり前よ!この青銅砲はこれは堺から取り寄せた粗銅から分離させ………この大きな鋳型で………弾も特大でこの火蓋に従来の火薬………前から弾を入れ………」




 ドガ──────────ンッ!!!




 「とこのように3人くらいで持ち運びが出来るんだ!まあ野戦砲とも言うべきかな!?はははは!」


 いやビックリしたじゃねーか!?長ったらしい説明してたと思ったらいきなり実演かよ!?威力は申し分ないけどよ!?これは凄いぞ!!



 「国友さん!ありがとうございます!」


 「なんのこれしき!これは謂わば試作だ!もっと大きい強い威力の大砲を作るんだ!息子が早く木綿を研究して無煙火薬を精製し榴弾砲を作り………着弾時の衝撃によって起爆する瞬発信管………」


 いやまた始まったぞ!?


 


 「とまあ、ここまでいくのは数年掛かるだろうがいつか剣城の未来に追い付いてみせるぞ!後、注意だがこの野戦砲は数発は問題なく使える。だが8発目を撃ったら同じ砲は使わぬ事!」


 「どうしてですか?」


 「さっき言ったようにまだ試作なんだ。まだ信頼性が確保されておらんからそこだけ注意してくれ。一応大急ぎで作るが4門が限界じゃ」


 「それだけあれば大丈夫です!そうですね・・・。小泉家の人達に教えてもらってもいいですか?運用は小泉家の人に任せます」


 「分かった。弾と火薬は多めに用意しておく」



 オレがこの手で誰か殺すのは斎藤家の人達かと思ったけど、見た事ない北伊勢の人か・・・・。作ったのは国友さんだが、オレが教えた未来の武器で人を殺して・・・考えてはいかんな。殺らなければ殺される。殺られる前に殺る。甲賀の人もお菊さん達も絶対死なさないぞ!二度と身近な人が死ぬのは御免だ。

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