目は口ほどに物を言う

 オレはてっきり全部八兵衛村長にも見えてるのだと思っていた。


 「八兵衛村長、これ何も見えていないんですか?」


 と言いながらタブレットを例の船の画面が映ってるデカデカとASKと出てる画面を見せてみる。


 「いや何も見えない。剣城は何か見えているのか?」


 「見えるもなにも……タブレッ・・・四角い薄い箱みたいなの見えませんか?」


 「何も見えん」


 マジか。なら猪倒した時、何に八兵衛村長達は驚いていたのだろうか?


 「さっき伝兵衛さんが怪我をした時何に驚いていたんですか?」


 「いきなり剣城の手に見たことない女子(おなご)が持つような物が見えて、そいつをあの猪に、剣城が向け、凄い音がしたと思うたら猪が死んだ事に驚いた」


 マジか。確かに音は出てたが明らかにオレからしたら小さい音だと思っていたがあれでもこの時代の人からしたらうるさく感じるのかな?

 それにオレの最終兵器"トマホークmk-2神様ver"をそこらの女子(おなご)が遊ぶおもちゃと見られるとは思わなかったぜ。

 確かに何故にピンク色!?とは思うけども。


 「その後、倒した筈の猪が消えて、そしたら目の前に見た事ねぇ色の箱が現れたと思ったら・・・・」


 ここで八兵衛村長少しブルブル震える。少しして意を決した様に、


 「色の薄い透けて見える小さい爺さんの体の上だけが見えてありがとうと何回も小さく頷いていた。そして消えたぁぁぁぁぁ────」


 言い終えると八兵衛村長、少し発狂した。


 「南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀南無阿弥陀」


 八兵衛村長の方が怖ぇーーよ!!!!!!!


 それからオレは八兵衛村長に未来には、人を映し出す方法がある事。それは、幽霊じゃなく実態も無いが、天変地異の前触れでは断じてない事を優しく伝えた。

 あれが神様だとはオレは・・・・オレにはまだ伝えられなかった・・・。あんなおちゃらけな神様だとこの時代の人に思ってほしくないからな。


 しかしなんでタブレットとか見えないんだろか。

まぁなんとなくだが見える事によって新たな世界線が増えたりするんだろな。


 「スマホでもあればすぐ教えられるんだけどなー」


 「そのすまほとゆうのは何だ?」


 「スマホとゆうのは、うーん。遠くに人が居ても手に持てる四角い木の板くらいの大きさでリアルタイ……横に居るのと同じように言葉のやりとりができる物です。そして、そのスマホの中にさっき見たお爺さんみたいな事が出来るのです」


 「便利な物が未来にはあるんだな。ワシには想像がつかん。そして、剣城はたまに言い直す癖があるがそれが本当は未来の言葉なんだろうな。剣城からしたらワシは古臭い爺さんだと思うだろ?まぁ実際、剣城は未来から来たんだから爺さんだが。それにワシは単なる農奴で今こそ村長をしているが、字も書けないし、戦になっても小物止まりだ。そしてそれは変わらねぇんだろうな」


 八兵衛村長…悲しんで俯いた。理解しきれないこと言い過ぎたから剣城は全部伝えた事を後悔する。でも小出しにして伝えるのは正直、面倒だな。ここは明るくするか。


 「なぁぁ────に言ってるんですか!!さっきも言ったじゃないですか!僕の尊敬してる人?が(リアルゴッドファーザー)人は生まれや頭が良い悪いで優劣は無いって言ってたって!自分にとってその人?とは絶対的なのでこれは間違いないです!  だから農奴とか殿様とか気にしなくて大丈夫です。

 一応もし身分のある方の前に出る様な事がある時は気を付けないといけませんが、そんな身分のある人達はだいたい部下の功績は勿論、某の功績。

 とか平気で言う奴なんで言わせておけばいいんですよ!実の実(じつのみ)も無い奴らの相手したって無駄ですよ。

 未来では戦がだいぶ減りました。減りましたが、でもやはりあります。そしてこの永禄の時代より、遥かに危険な武器で戦ってます。

 下手したら一手(いって)で10万人を殺す事の出来る武器もあります。未来では軍に所属して戦える人は尊敬に値します。

 少なくとも僕はかなり尊敬しています。八兵衛村長は戦に行ったことあるんでしょ?僕は行った事がありません。故に戦えません。

 先の古今東西の大戦、猪と雌雄を決した時だって僕はたまたま運良く後ろに転けたから良かっただけですから。

 それに八兵衛村長が僕に言ってくれた"頭と同じ目をしている"って言葉。

 自分は頭さんを見た事はないですが嬉しかったです。最初八兵衛村長は自分を・・・・・・スッポンポンの変態かとも疑わず助けてくれました。(そして温もりも感じました・・・と言おうとしたがこれはやめた)

 そして今、頭さんを見たことないと言いましたがきっと同じ目を八兵衛村長もしてると思いますよ」


 いつになく、力説してしまい何故かおっさんに小っ恥ずかしくなってしまうオレ。そう。服は目の前にあるのに(正確にはボックスの中だけど)未だ褌一丁だから。


 「だから気を落とさないで下さい!」


 「すまねぇな。なんか昔を思い出しちまって、しんみりさせてしまった。未来でも戦は無くならないんだな」


 「こればっかりはどうしても人それぞれ考え方がありますからね!さっ、もう少ししたら伝兵衛さん、太助さん、権助さんに自分の事伝えて夕食を僕がご馳走様しますよー!」


 「ほぉーそれは楽しみだな!!」


 と、八兵衛村長を励まして話が終わったら八兵衛村長が悲しみから立ち直り、家に歩き出したため、ここでまた服を何も無い空間から出して怖がられたらダメだと思い、服を着るタイミングを逃してしまった。


 「オレはいつまで褌一丁なんだ?ワシからの手紙も気になる」と一人呟く。

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