勝者 芝田剣城

 「やぁぁぁぁ〜〜ッッ!!!!」


 義継が声を上げ、斬り掛かってきた。


 が・・・・。


 シュンッ  


 「甘いッ!!!」


 ボサッ  ガバッ


 「何の真似だ?」


 オレは義継の右手を斬り落とした。だが、義継はそのままオレに抱き着いて来た。残る左腕一本だけでだ。だが力が強い。


 「はっはっはっ。かかりましたね。大砲隊!今の内に俺諸共撃てッ!!叔父上!後の事はよろしくお頼み申す!」


 「我が君ッ!!!」


 ドォォォォ────ンッ!!!


 流石のオレもこの時ばかりは・・・。


 『屁の突っ張りはいらんですよ』


 あ、うん。全然大丈夫みたいだ。いや、流石にダメかと思ったが、小川さんの汗臭いハルモニアのスーツの臭いがしたし、例の大盾なら防いでくれるとは思ったけど・・・。いや、どこかで聞いた事のある言葉だよな!?


 「クッ・・・必殺の計が・・・」


 「随分と卑怯な真似してくれるな。自分諸共、爆殺するつもりか?爆殺はボンバーマンだけにしてくれよ?なーにが、一騎討ちだ」


 「己等ッ!!!卑怯者めが!!我が君ッ!!!この小川!芝田家筆頭家老の!この小川三左衛門は!無事ですぞ!!!」


 「いや、分かってるって!!(スゥ〜)三好義継ッッ!!!お前は許さん!!覚悟ッ!!」


 ボッボッボッ 


 オレは自分が今できる最大の低い声で叫んだ。プロミさん任せだが、剣身に炎を纏わせる。本当にオレはよくここまで成長したものだな。と、自分でも褒めたいくらいだ。


 「ま、待て!!」


 「一之太刀ッッ!!!!」


 ボトッ


 『あぁ〜・・・光悦だよぉ・・・。今際の時の生への執着心は美味しい・・・』


 プロミさんは相変わらずだ。この声を聞けるくらいに今はオレにも余裕がある。そして・・・。


 「三好宗渭。お前も許さんぞ」


 「義継っ!!!おのれ・・・貴様・・・!皆の者!!卑怯だ何だと気にするな!!構わず此奴等を討ち取れッ!!!」


 「クックックッ。一騎討ちと申した癖に、爆殺させようとする卑怯者めが!剣城様は砲弾如きでは死なぬ!」


 いや、望月さんや!?砲弾如きって・・・直撃しなくても死ぬよ!?小川さんの背中が見えたから突っ立ってたけど、普通にビビったんだが!?


 「ロザリーヌッ!!!遠慮は要らん!!暴れてしまえ!!」


 ペッ


 『ふふふ・・・。あんたさ、あの男を斬ってちょうだいな。あの男で私は成長できる気がするのさ』


 「いや、プロミさん・・・。流石に守りの兵が多いんだけど」


 『ふふふ。私を振りかぶってちょうだい。一網打尽に命を刈り取るさね』


 「このぉ!!よくも剣城様をッ!!」


 ドゴンッ グチャグチャグチャ


 「ワシは小川だ!!美濃の小川だ!!見事ワシを討ち取ってみよ!」


 ブォンッ ブォンッ ズバッ ズバッ


 「クックックッ。この腹を引き裂けば、貴様はどんな苦悶の顔をするだろうな?あん?楽に死ねると思うなよ」


 ズバズバズバ


 「お、お助けを・・・あっ、あぁぁぁぁぁ・・・」


 いや、大野さんも小川さんも怖ぇ〜よ!誰よりも望月さんがヤバいわ。あの返しの付いた鉤爪はマジでヤバい。敵の馬廻りの人も可哀想だ。腑が出てるんだが!?

 かつてなら、間違いなく吐いていただろう。今はそんな事はない。ニュー芝田剣城は城持ちの夢の為、落ち着いて事にあたる。


 ボッボッボッ


 プロミさんに言われた通り、ゆっくり剣を振り上げた。すると、炎が赤色から青色へと変わる。

 自分の手で持っている剣だが、我ながらビックリだ。


 「小川さん。大野さん。望月さん。野田お爺ちゃん。下がってくれ」


 「ぬっ・・・。我が君・・・それは!?」


 「小川さんもイライラするのは分かる。けど、此奴はオレが討つ」


 「大野。小川。野田。下がれ。剣城様の邪魔になる」


 「望月さんも悪い。この一刀で終わらせる」


 「み、皆の者!ワシを守れッ!!」


 「死ねぇ〜!!一之太刀ッ!!」


 ドォォォ────ンッ!!!


 『ギャッハッハッハッ!!あんたやるじゃないかい!!気持ち良い!!あぁ〜!蕩けそうだよぉ!!私は暫く眠るからねぇ〜』


 「はぁ!?」


 いやいや・・・。正に、はぁ!?って感想しか出なかった。いや、技を繰り出したというか、オレが剣を振った訳だが、明らかに出た技が違う。剣に炎を纏わせた。その炎が赤から青に変わり、振った訳だ。


 三好宗渭の周辺には20人程、敵兵が居た訳だが、何て言えばいいか分からない。ただ、一つ言える事は炎が飛んだと言えば妥当か。しかも、空間を切り裂くような感じだった。20人全員がお腹から切断されて、焼き斬ったからなのか血飛沫一つ出ていない。


 「殿も・・・。若も・・・。ま、負けた・・・」


 残った兵の1人が泣きながら呟いた。


 「剣城様!!お見事にございます!!小川!!勝ち鬨だ!声を上げろ!!剣城様!敵兵が未だ残っております!ここは危のうございます!」


 「望月さん、オレ・・・」


 「えぇ!見事な剣筋でございました!某は剣豪でも剣鬼でもございませぬ故、何も言う事はできませぬが、先の上泉信綱公なんかより、某は剣城様の方が剣豪に近いお方かと存じます!さぁ早く!大野!首を忘れるな!」


 「えぃえぃオォ────!!」


 「「えぃえぃオォ────!!」」


 「グスン・・・」 「殿・・・」


 「大殿・・・何という御姿に・・・」


 勝ったのはオレだ。いや、オレ達だ。だが、潮目が変わるのが何となく分かった気がする。残った本陣周辺の兵の憎悪が、オレ達に向いたのが分かった。


 「ヤバい!大野さん!首なんていいから戻りますよ!!野田お爺ちゃん!そんな雑兵なんかいいから!早く!小川さんはそんな方天戟を振り回さなくていいから!!」


 「ぐぬぬ!このまま生きて戻れると思うなよ!」


 「そうだ!お前は何なのだ!!化け物めが!」


 ズシャッ ズシャッ


 「剣城様!お早く!ノア嬢殿!剣城様を本陣へ!」


 「望月さんも!早く!!」


 「「「「ぬぉぉぉぉぉ〜〜!!!」」」」


 敵が統率なく襲いかかって来た。一つ分かった事は、バラバラに襲われるのは意外にヤバい。どこをどう防げばいいか、分からないからだ。


 「クッ・・・大野!野田!小川!剣城様だけを守れ!」


 「貴様!死ねぇ〜!!」


 プロミさんが眠ると言い、炎が出せなくなった。なんとか敵の槍を防ぐが・・・。数が多い。


 「取ったッ!!」


 ドフッ


 またもや、ベヒーモスーツのお陰か。鈍い音がオレの背中から聞こえた。刺されていない。刃は途中で止まっている。


 「己等ッッ!!!誰に手を出している!!!」


 声の方を向くと、剛力君と金剛君が居た。しかもあの人達は、武衛陣を守ってた剛力君配下の子達だろう。しかもあの子って・・・タケノコ山村の八郎兵衛君じゃないか!?


 「剣城様!ご無事でしょうか!?」


 「剛力君。金剛君。ありがとう。助かった・・・。ってか八郎兵衛君だよね?」


 「大砲の音が聞こえ、直ぐに駆け付けました!それと、あれは八郎兵衛でございます」


 「そっか。大津で避難誘導させてたと思ったのに凄いな」


 「俺の配下は健脚が多いですから。それより大丈夫ですか?三好はどうですか?」


 「あぁ。自分諸共、オレを爆殺しようとしたんだよ。あの三好義継がね。けど、この通り大丈夫だ。それより武衛陣の子達だよね!?そっちこそ大丈夫なの!?」


 「えぇ。例の秘密経路から駆け付けさせました。後はお任せを。下り首でも俺は狩ります。兎に角、剣城様は例の拡声器にて、『三好の2将を討ち取った』と言いふらして下さい。まだ、三好長逸が残っているかと」


 そうだ。まだ三好三人衆の筆頭が残っているのだったな。呼び寄せたとか何とか言ってなかったっけ。それに家紋が違う部隊も居るな。あれが筒井家か。あそこは殆どが無傷だよな。


 「はぁ〜。まだまだだな」


 「我が君はまだ猛っておられるので!?」


 「いや、流石に無策で筒井家までは倒せないよ。三好長逸が何処に居るか分からないし、三人衆筆頭と言われているくらいだから、兵を統率されれば危うい。ここは退くよ」


 「分かりましたぞ!殿軍はワシにお任せを!いやなに、戦は帰るまで戦ですからな!がははは!」


 「八郎兵衛!剣城様の道案内を致せ!」


 後は小川さんに任せたとしても・・・。帰りは危ないな。それにしても・・・この筆頭家老さんはどうしたものか。八郎兵衛君は本当に後で褒美をあげようか。それにしても剛力君も大きくなったな。

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