清洲同盟にてチビリそうな件 3
3人になった室内。暫く沈黙が続いたが、家康さんが先に口を開いた。
「信長殿。あれは一体どういう事で?」
「敢えて聞くぞ?あれを竹千代ならどう使う?」
「はぁ〜・・・戦の折に使えば伝令の間違いが無く瞬時に陣も展開できるでしょうな」
「それだけか?」
「信長殿は他にも使い道があるので?」
「ワシはその先を見据えておる。今日出した・・・此奴が最初に言うたここ"尾張で"収穫した野菜を使い、こーらをお主らは飲んだな?あれをお主らに出し、お代わりまで出した。この意味が分からん竹千代・・・いや、この意味が分からん家康ではあるまいな?」
いや、コーラはまだ作れてないですが?それにカレーも野菜以外はスパイスすらまだ開発できてませんが!?信長さん!広げた風呂敷どうすんの!?
「先でございますか・・・・。我はまだ三河の事で精一杯でございまする」
「ふん。ワシは日の本を平らげるぞ。田舎の豪族でしかなかったワシがだ。この事を他の奴に言えば『運良く今川治部大輔を討てただけの奴』と言われるだけじゃろうな」
「・・・・・・・・」
「剣城、貴様の素性を言ってやれ」
えっ!?言っていいんですか!?ってそれ程家康さんの事信用してるのかな?
それからオレは最初信長さんに会った時に話した内容を家康さんに教え、特にこのまま足利幕府が続いても何か凄い政策をしない限り国同士の戦が続き日の本が疲弊し続ける事を伝えた。
「正直に申し上げますと、私はこの清洲会議の事も未来の学び舎で学習しました。これからの歴史の事もある程度は知っております。
ですが私が来た事で未来が変わる事もあります。現にこの清洲の正に今この瞬間です。
私という異物がこの永禄の世に来て様々な事象に関わり、私の知らない世界線にこれからなっていくでしょう」
「何を世迷い事を抜かすか」
本当は貴方が三英傑最後に幕府を開いて戦が無い世を作るのですと言いたいけど、それはさすがに言えないよな。
それに明智さんとはまだ会ってないけど本能寺は絶対防いでみせるぞ。ゴッドファーザー達の歴史の修正がどのくらい起こるのか分からんが抗ってみせる。
「確かに何を言ってるのかと思うでしょう。証拠を見せます」
確か家康さんは鯛の天ぷらが好きだったっけ?いや、ただの天ぷらだったかな!?
《鯛の天ぷら1パック》¥3000
効能・・・・未来の愛媛県宇和島市で養殖されている最高級ブランド鯛の天ぷら。肝機能が少し上がる。
「なに!?いきなり物が出てきおったぞ!?それにこの体の上しかない老人は誰じゃ!?!?妖怪かっ!?」
「慌てるな。ほろぐらむはすぐ消える」
さすが信長さん!覚えてるんだな。
「はい。これを食べて下さい。私が知ってる未来の家康さんはこの天ぷらが好物と文献で見ました」
「毒は・・・いや済まぬ。頂こう・・・。こっ、これは!!美味い!美味いぞ!!!鯛は食べた事あるがこんな臭みが無いのは食べた事がない!!それにほのかに何か別の風味がある。この様な食べ方があったのじゃな!?」
さすが家康さん!信長さん達と比べて食が好きなのか、臭みを消す生姜のブランド鯛の良さに早速気付いてるよ。天ぷら如きでまあまあの値段はしたけどな!!
「これだけで未来からとは信用できないかもしれませんが、他にも思い浮かぶ物があれば言って頂ければお出ししますよ?」
「その前に、確かにこれは美味いがお主が居た未来とやらのワシは、これが好きだったのか?」
「はい。たしか天ぷらが好きで天寿を全うしました。最後の食事も天ぷらだったかな?」
「はっはっはっはっ!たしかにかなり美味いが天ぷらを食して死ぬるなら本望だな!!はっはっはっ!それくらいこれは美味い!」
「ワシは此奴に約束したのじゃ。此奴が居た未来とやらより更に良い未来を見せてやると。ワシが作る日の本じゃ。その中に松平家康、お主も入っておる。黙ってお主も着いて来い。さすれば未来を見せてやろう」
「家臣を説得するのが骨ですなぁ〜。では見事日の本を統一できた暁にはこれより美味い鯛を食べさせて下され」
「ふん。たぬきが。見事統一した暁には世界で一番美味い鯛を食わせてやる」
「同盟成功で宜しいでしょうか?」
「芝田殿?いや、剣城。お主が出した飯は美味かった。これからもよろしく頼む。それと同盟は成功じゃ。もし織田殿の所を飽きたらワシの所に来い!厚遇するぞ?」
「ふん。抜かしよる!此奴はワシが死んでも手放さん!無理矢理引き抜きでもしてみろ!三河を焦土と化してやるぞ?」
えっ!?オレ死んでからも信長さんの為に働かないと駄目なの!?勘弁してほしいんだが!?なんなら家康さんの方が優しそうで良いんだが!?
「はっはっはっ!まずは家臣共を説得致しましょうか。この後の酒も楽しみですなぁ〜」
そう言われ皆を呼び、事の経緯を言った。ただオレが未来から来たというのは無駄に秘密を探る奴が現れオレに危険があるから信長さんが側近だけにしておけと言っていた。
「殿!あそこまで馬鹿にされ何故同盟を!?」
「左様!尾張の田舎者なぞ信用なりませぬ」
「酒井!夏目!それ以上は許さん!お主らは何者ぞ!主たるワシよりお主らが偉いのか!?事の事情は三河に帰れば教える。今はこれから出される酒を楽しめ」
「まあ殿がそう言うなら今は同盟が成ったという事で。おい、そこの織田の家臣!澄み酒を出せるんだな?」
「あっ、はい!出しますので少しお待ちを!それと甘味も用意しております」
本多さんはオーラこそ凄いが優しそうな人なんだな。
そこでオレは池田さんに渡したのと同じ大容量お得用清酒をケーキと一緒に台所衆の人達と出した。
「おい!本当に澄み酒だぞ!」
「濁りが無い酒だと!?」
「よもや本当に出してきおったか」
「この酒を入れておる湯呑みも良く見れば雅だな!」
みんな色々驚いている。こんなとこで驚いてもらっては困るぞ!!ケーキの甘さに畏れ(おそれ)慄け(おののけ)!ふっはっはっはっ!我こそは未来から来た芝田剣城ぞ!
「先程もだがお主は中々に腹黒そうな顔をするのだな?」
家康さんに声を掛けられ我に返る。くそっ!また内なる自分が出たか・・・。
「いえいえ。皆さんの喜ぶ顔が見れて嬉しいのです。この皆さんの喜ぶ顔が日の本全部になったら戦なんか無くなると思いませんか?あっ、偉そうにすいません」
「いや、構わん。お主、根は真面目なのだのう。近い内、お主とは腹を割って話をしてみたいものだな」
「殿!?このけーきとやら凄い甘いですぞ!?早く来ないと某が食べてしまいますぞ!?」
「忠勝め!図太い奴だな。今日の口上は褒められたもんではないが、この様な歓待に礼を言う。三河が落ち着いたら返礼を致す。ワシの居城に一度来てくれ。・・・・・それと、織田殿に過ぎたる者はお主かもしれんな」
そこからプチ宴会になり書状に取り決めを記し同盟は相成った。
「おい!松平と織田同盟だ」
「何!?急いでお館様の元へ。躑躅ヶ崎館に急げ」
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