剣城の不安
グヘェ〜・・・飲んだ飲んだ。かなり飲まされた。琉球国から輸入したという変な味の酒も、かなり飲まされた。
「おう!剣城?起きてるか?」
「慶次さん、おはようございます。二日酔いになってないのですか?」
「ふん。これだ!このウコンなる物はいいな!折角酔えたのを醒ますのは勿体ない感はあるが、致し方あるまい。ちと朝風呂なんかどうだ?」
「いいですね!好きに入っていいと言われてるし、入りますか!」
「我が君!!ワシも同伴致します!」
いやどこから現れたんだよ!?
「ふぅ〜。いつ入っても志布志の温泉とやらは気持ち良いな!」
「小川さんもお気に入りになったのですね」
三人でゆっくり浸かっていると慶次さんが、ふと呟いた。
「色々勝手に決めているが、大殿に怒られなければいいが」
オレは現実に戻される。勝手に戦をして、また成ってはいないがほぼほぼ同盟に近い事を確約して、食肉なんかは別に最初から決まってた事だからいいけど・・・。
今後、信長さんが九州に手を伸ばす時、この島津さん達が織田の下になるだろうか。いや、絶対に下にはならないだろうな。どうしよう。島津さん達と戦いたくはないよな・・・。
「我が君は、今後はここ薩摩に詰めるのですかな?」
「いや、それはないかな。島津さん達は、明らかに九州を統一しようと今後動く筈だし、日向の事もあるだろう。豊後の大友や肥前の龍造寺なんかとも、戦になるのじゃないかな?」
「ほう?それは剣城の居た未来ではそうなのか?」
「確か・・・九州をほぼほぼ統一したところで終わったと思う」
本当は秀吉さんに征伐されそうになってたよ!なんか言えないよな。
「まあとにかく一度、大殿に報告しないとだな。何とかなるだろう?お気に入りだから死罪とは言われないだろう?骨は拾ってやる!がははは!」
ここで色々考えても、結局は信長さんからの号令が無いと、何もできないからな。まずは状況を伝え謝ろう。そして敵対は愚策と。
風呂から出て義弘さん達に朝飯を誘われた。出された物は、早速オレが持ってきたツナマヨだ。醤油なんかも気に入ってもらっている。
「うむ!やはりこの握りが美味い!剣城君!恩に着るぞ!何個でも食えそうだ!」
「ははは。ありがとうございます。今日はこの後、あの明の朱華さんと一度話し合わないといけないので、高山に戻りますが構いませんか?」
「あぁ。志布志の修繕や仕置き、高山に詰める兵なんかも、父御と決めなければならないからな」
「高山に詰める兵って、薩摩の人を貸してくれるのですか?」
「勿論だ。手足のように使ってくれて構わない。畿内の町のようにしてくれても、構わないからな?おいも楽しみである!」
「分かりました。頑張ります。本当に好きにして構わないのですね?」
「男に、島津に二言はない!」
知らないぞ!?関所は全面撤廃して、アスファルト舗装して、出店を用意して並べて、未来ではここ日向が1番、栄えてるようにしてしまうぞ!?
昼過ぎには高山城に戻り、皆と今後の事を話す。
「竹中さんは相変わらず、島津さん達に付き合ってるのですね?」
「酒がこのように飲めるのは幸せである!」
「いや答えになってないですからね?」
「それはそうとここ高山城には誰が詰めるのだ?先に言っておくが俺は勘弁してくれよ?岐阜に女が待っているんだ」
「俺も・・・」
「は!?慶次さん!?彼女とか居るの!?それに隼人君もか!?聞いてないぞ!?」
「居る!居る!そりゃ居るだろう!?花街の小雪にゆりに、さくらに………」
聞いたオレが馬鹿だった。慶次さんはプレイボーイだ。クソが!
「俺は・・・琴と・・・」
「え!?嘘!?琴ちゃんと!?知らなかったよ!?それならそうと言ってくれればいいのに!?」
「そんな個人的な感情を出す訳には・・・」
隼人君は健全だ。琴ちゃんは濃姫さん付きになってるからな。戻れば隼人君も濃姫さんの警備隊に入れるように、進言しようか。
「隼人君!来週にはオレに仕えて良かった!と思うようになると思うよ?オレは心が広いからね!いやぁ〜、オレじゃなきゃ許されないと思うよ?」
「剣城様?明の奴等が参りました」
「あっ、杉谷さん。ありがとうございます。通して下さい。ちなみに杉谷さんはご結婚を?」
「え?あ、まぁしておりますよ」
「奥さんに悪い事してしまいましたね。旦那を出張させるのは今後、事前にアンケート取って決めましょうか」
「いえ、正室と側室3人は仲が良く、名前は正妻がたみこで後は、あや、よしの、あやめと申すのですが、某には勿体ないくらいの女でして・・・ハッ・・・申し訳ありません!!!!」
「へぇ〜。4人も妻が居るのですね?それに飽き足らず例の明の船の?へぇ〜?」
自分で聞いておいて後悔した。非常に不愉快だ。この時代は何人でも妻を持とうが許される。だが杉谷さんがこんなに妻が居るのは、不愉快極まりない。この人もプレイボーイか!?
「何言ってるんだい?いつまで待たせるのさ?」
「ちょっ!女!まだ許可は出ておらんではないか!芝田様、申し訳ありません」
そう言うのは、高山城で下働きしてくれる事になった、元肝付家家臣の大林多聞君だ。肝付良兼さん・・・例のス○夫と声も話し方そっくりな人の、小姓だった人だ。ちなみに良兼さんは、ここ高山城に詰めてくれる人の選抜を行ってくれている。
既に3割くらいは散ったみたいだが、それでも7割も残ってくれるみたいだ。暫くは奔走するだろう。元はこの城もあの人の物だったのだからな。禍根が残らないようにしてもらいたい。
「多聞君?構わないよ。ほれ!」
「こ、これは!?まさか!?金色の甘い・・・」
「いやいや、ただののど飴だから。声が掠れてるよ?風邪引かないようにね?」
「あ、ありがとうございます!」
良兼さんは相当甘やかされてたのか、家臣の人達には嫌われてはいない。ここ日向が特殊なのか、畿内なら無能息子として下剋上されてもおかしくないが、一様に家臣の人達は死罪を言われなく、島津さん達に感謝していた。肝付家が残ると。オレも是非、良兼さんには子孫繁栄させてもらいたい。
武将として肝付家は途絶えるが、名家として残ってもらいたい。ここ日向の経済の総督にでもなってもらおうか・・・。いやダメだ。あの人も女に狂ってたよな!?まあ、野田さんが今は一緒に居るから大丈夫か。
「それで、あたい達はどうすればいいんだい?」
「意外にも島津さんが放任ぽいので早めに一度、尾張に帰ろうと思います。尾張で船を造ってるのですが、最近の進捗が分からないのですぐには無理ですが、何か他の品を買いますか?高値で売れる物も尾張には多いと思いますよ?」
「ならハオユーにあたいの船を任せて、あたいだけ尾張の国に行こうかね」
「ははは。いいですよ。ドンペリで一緒に行きますか」
女衆の人達が作った布団や服、例の蜘蛛さんが出した糸で作った上級な服やタオル・・・加藤さん達が作った古い規格の銃なんかも、恐らく売れるだろう。
後は一度、食肉の牛さんを持って帰りたいが、今回は肉だけ持って帰るようにしよう。本来なら塩漬けにでもしないといけないが、ドンペリは農業神様監修の船だからな。冷凍庫、冷蔵庫が完備されている!完璧だ!
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