これは脱穀機じゃない!スーパー脱穀機だ!

 喜びまくって寝るのが遅くなったオレは朝太陽が昇る前に小姓に起こされた。


 「剣城殿!まだ寝ておられるのか!?」


 「ん〜・・・もう少しだけ・・・」


 「たるんでおるっ!!!はよ起きんかっ!!!」


 ビックリして目が覚めた。そこには見た事ない小姓らしき人と池田さんが褌姿で竹刀を持っていた。


 「起きられたか剣城殿!拙者、池田様の下で雑用をしております堀久太郎と申します」


 「おはようございます。芝田剣城と申します。よろしくお願いします」


 「この堀はお館様の覚えも良くてな。そろそろお館様の小姓に抜擢されてもおかしくないんじゃが、毎日ワシと鍛錬しておるのじゃ。では早速、下に参ろう」


 くっそ!!まだ眠いし、何で鍛錬引き受けてしまったのだろうか・・・。悩んでも仕方ない!自分の為だ、頑張るぞ!!


 その後、オレも懐かしの褌一丁になり2時間程素振りや組み手、何でもありの格闘技もどき、また素振りと繰り返して鍛練が終わった。

 ゴッドファーザーの体を持ってしてもヘトヘトになった。


 「剣城よ!中々やるではないか!ワシと組み手が張り合えると思わんかったぞ!」


 「確かに某も角力が負けると思わんかったです」


 「たまたまですよ!さすがに疲れました」


 「よしっ!今日はこの辺で終いじゃ!また明日起こしに行くぞ」


 「分かりました。よろしくお願いします」



 あぁ〜疲れた・・・。部屋に戻り手拭いで体を拭いて休憩するとすぐに呼び出された。


 「おはようございます、剣城様。信長様がお呼びです」


 今度は信長かいっ!少しは休憩させてくれよ!!!


 「分かりました。すぐに参ります」


 「おう!朝から鍛錬しておったのだな!良い心掛けじゃ!少しはその腹をどうにかした方が良いぞ!して、貴様を呼んだのは他でもない!

 ワシはかれーを所望する!

 台所衆に聞いたらなんでももっと美味いかれーを作ろうと昨夜切磋琢磨したらしいがどうも肉を切らしたらしい。

 本来なら手打ちにしてやっても良いがあの味で満足せず高みを登ろうとした事は称賛に値する。よって許した」


 朝からカレーかよ!しかもそれで肉が無いから呼び出されたのか!?もう牛肉でも出してみるか!?!?


 「信長様、実は鳥の肉ではなく牛のお肉も大変美味でございます。もし良ければ牛肉でカレーを作ってもよろしいですか?」


 「ほう。あの神聖なる牛も未来では食すと申すか。ならばワシが食わねばなるまい。作って持ってまいれ」


 オレは台所に行きカレー用の肉を購入しようとGarden of Edenを起動させたらビックリした。


 《カレー用カット済み牛肉10パック》¥8000


 効能・・・・人間種の場合一口食べれば筋力が少し上がる(最大1.15倍)。


 おいおい!農業神様が最大レベルまで上げてくれたせいか普通の牛肉にも効能が書いてるんだが!?そりゃ嬉しいけどこれ大丈夫なの!?織田軍最強説になるんじゃない!?


 「これは昨日見た肉とは違うが大丈夫なのか?」


 「伊右衛門さん、よく聞いて下さい。これは牛肉と言いまして、カレー粉で煮込む前に少し焼いておく必要があります。その時に少量の酒を足して焼いて下さい。焼き目が付いたら後は同じ様にカレー粉と煮込んで下さい」


 「分かったがそんな事せんでも一緒に煮込んだんじゃいかんのか?」


 「この肉は臭みが強い肉なのですが昨日の肉より美味しいんです。美味しい肉は美味しく食べたいでしょう?」


 そう言って40分程煮込んで信長さんに持っていった


 「お待たせしました。牛肉カレーでございます」


 「やっと来おったか!ワシはこれを織田家全員に食わせたい!そのくらいかれーとやらは美味い!貴様もそう思わんか?」


 「えっ!?あっ、はい!非常に美味しいと思います」


 甘味中毒の後はカレー中毒かよ!!!


 「これは美味い!この牛の肉とやらは昨日の鳥と違って少し臭みがあるがなんとも美味いっ!!!!台所衆何人か見繕って新たにかれー衆を創設する!その人選は貴様に任せる!励め!」


 かれー衆ですか!?何ともおじさん臭そうな名前ですが!?


 「分かりました。何人か見つけて美味しくなるように伝えておきます。では本日も村で収穫して参ります。失礼します」


 「待て!貴様、何か忘れておらんか?ん?」


 このプレッシャー・・・。


 「甘味・・・でございますか?」


 「甘味は夕餉の後じゃ!!全てを言わんと貴様は分からんのか?ん?」


 糞!!このプレッシャーが凄過ぎる。何か今まで信長さんが食した物・・・。コーラか!?


 《コーラ1ℓ》¥300


 効能・・・・イライラした事を忘れさせてくれる。


 おいおい!とうとうコーラにも効能がついたのか!?それにイライラ忘れさせてくれるとか信長さんにぴったりじゃん!!


 すぐ購入して恐る恐る渡そうとしたが、信長さんが引ったくった。


 「そう、これじゃこれ!よく分かっておるではないか!下がってよいぞ」


 えっ!?コーラ凄過ぎじゃね!?秒でイライラ治まってんじゃん!!!




 それから木下さん、柴田さんと合流して木下さんが連れてきた人、約150人程を連れて村に向かった。


 到着すると新たに連れて来た人達はみんなビックリしてたが、これは慣れてもらうしかないのでオレは見てるだけで、八兵衛村長達に対応は任せた。

 そして柴田さんはまた子供さん達の稽古、オレと木下さんは蔵に行き収穫物を荷車に乗せた。


 「さすがに2日連続、しかもこんなに沢山の野菜を収穫すると思わんかったぞ?あと果物だったか?それに稲も大変だったんだぞ!?」


 「八兵衛村長、すいません。けどこれをどんどんこの村から尾張一帯に広めて行きたいのです。どうかよろしくお願いします。それと信長様からの褒美です。受け取って下さい」


 そこでオレは信長さんの沽券に関わるらしかった5貫と、


 《大容量清酒4ℓ×5》¥100000


 効能・・・・悪酔いしにくくなる。


 レベルマックスのGarden of Edenさん凄いな。これむしろ効能ついてない方が珍しいんじゃないのか!?

 これを八兵衛村長に渡した。


 「剣城?酒は嬉しいがこんなに銭は貰えん。それにワシ達は野良仕事しかしておらん。褒められるのは剣城だ」


 「いや、いいんです!貰って下さい!ただこれから山に入った時、もし覚えていたら松茸を取ってきて欲しいんです。あれは良い銭になるので助かります」


 「剣城がそこまで言うなら貰うがそれに松茸なんかそこら辺にいくらでもとは言わんが生えておる。あんなのが良い銭になるのか?椎茸なら分からんでもないがな。まぁ分かった、引き受けよう。それと脱穀なんだが・・・」


 「あっ、脱穀は良い物が見つかりました!」


 そこからオレはドヤ顔で脱穀機を出してオレが村で唯一絶大な信頼を寄せる八兵衛村長に金色(こんじき)の実を1つ食べるようにお願いした。

 木下さんも八兵衛村長もビックリして何も問い掛けてこなかった。


 「剣城、この実は見た事ない色をしておるが食えるのか?」


 「これは誰にでも食べさせてあげる事ができない実です。私も食べた事ないのですがこれは特別な人しか口にできない食べ物です。これを食べればこの脱穀機の使い方が分かる筈です」


 「木下様もワシが食べてもよろしいので?」


 「あぁ。ワシが管轄しておるが村長が実質村を支配しておる。良きに計らえ」


 「では・・・・ゔぅぅぅぅっ!!!何だこれは!?苦い!?臭い!?辛い!?」


 「すいません!八兵衛村長!数に限りがあるので吐かずに飲み込んで下さい!!!!!」


 てか苦い臭い辛いって不味い味オールスターじゃん!!!


 「あぁー!!!飲み込んだぞ!!」


 「何か変化はありますか?」


 「んっ!?この脱穀機、あれ!?ワシは初めて見たのに使い方が分かるぞ!!しかも道具さえあれば作れそうな気もする!見た事ない部品も何となく作り方が分かる!!」


 すげ〜!金色の実、不味いらしいが効果は間違いないじゃん!!!オレも食べようかな・・・。

 けどもっと有効に使ってくれそうな人に託す方が発展するよな・・・。

 あと4粒は温存しておくか。

 これでこの村はこの明治か大正か分からんけど足踏み式脱穀機で何とかなるかな!?


 「おい剣城?一体あれは何の実なんじゃ?」


 「あれは強制的に閃きを持たせる実です。本来は鍛治師なんかに食べさせたら良さそうなのですが急遽八兵衛村長に食べてもらいました。結果、成功でした」


 「剣城はこの村人で実験をしたのか!?酷過ぎるぞ!?仮にも剣城を助けてくれたのはあの村長なんじゃろ!?」


 「いや、効果は分かりきってたので実験ではないです。それにさっきも言いましたがこれは数に限りがありますのでちなみに後4粒ほどです。

 誰にでもは渡したくないですし信用してる人にしか渡しません。なので私がこの村で1番信用してる八兵衛村長にお願いしました」


 「そうか。いや口が悪かった、許せ」


 それから村長が村人に脱穀機の使い方を教えて、特に女性の人達でも簡単に出来る事であっという間に白い米が出来上がった。


 よく見たらこれただの脱穀機かと思ったんだけど籾摺りも精米も同時に出来てるんじゃね!?


 1番上に槍みたいな杭が刺さってて、その隙間に稲を入れて落ちた稲が足踏みと連動して、木の金槌みたいなので打ち付けてそのまま溝に落ちていき、最後は籾摺りと同じ様に足踏みとの連動で石と石が擦り合わされて玄米から白米に変わってるんだけど!!この機械マジで凄過ぎるんだが!!!


 「剣城!これは本当に凄いな!ワシはこれを作りたい!是非とも織田の殿様に申してくれんか!?」


 「えっ!?あっ、はい!伝えておきますので是非ともお願いします!私もこの原理がイマイチ分かってませんが・・・」


 あの金色の実を食べた八兵衛村長は何かに火が付いたかのように、現代の工業者が使うようなオレが聞いた事ない単位を使いながら、如何にこの機械が凄いかを語ってきた。


 「おい!村長とやらよ!それくらいで勘弁してやれ!剣城の頭が爆発しそうじゃ」


 木下さん!助かったぜ!


 「まぁ信長様に進言しておきます。まず大丈夫だと思いますのでよろしくお願いします」


 そこから八兵衛村長に例のさくらんぼの餌を渡し、ニワトリに食べさせるように言って、皆でよく現代の時代劇とかで見た米の俵詰めをしてたがあまりの収穫で俵が足りなくなったのと、他の収穫物も荷車に乗せられなくなったので追加で持ってきてもらって、50人程で城に運んだ。

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