コシヒカリ最強説

 時刻は多分夕方くらいかな?そのくらいに城に戻り、柴田さん、木下さん、オレが同じ部屋で待たされた。

 またこの険悪な空気ですか!?何でこんなにこの2人仲悪いの!?


 「柴田様!最近信長様も好きになってるカレーを作りました!木下様の奥方様に作り方と材料を渡してます!良かったら茂左衛門さんにも作り方教えますので一緒に食べませんか?」


 「剣城よ。余計な心配無用。ワシはお主に沢山、未来の物を貰った。たまに酒をくれるだけでよい」


 「柴田殿はワシみたいな元農奴とは飯も酒も一緒にとはいかん。剣城もその位は知っておるじゃろ?気遣い無用じゃ」


 「ワシは木下殿のその裏表はっきりせん性格が嫌いじゃ。何か言いたい事があれば目の前で言えばいいだろうが」


 やばい。徐々に柴田さんヒートアップしてるぞ!!余計な事言ってしまったか!?


 「柴田殿?そんな裏表なんかワシにはありませんよ?」


 いやいや、木下さんもあの発言は明らかに煽ってるだろ!!!


 未来の利家さん?まだ現実の利家さんにすら会ってもないですが、賤ヶ岳の戦いの時は多分今のオレの感情と似ていたんでしょう・・・。大変だったんだな・・・。


 「おうっ!勝家もサルも元気そうだな!なんでも勝家は珍しく農民の童を稽古してやってるそうだな。小姓にでもするのか?」


 「いえいえ、お館様。あれは剣城が面倒を見てほしいと言ってきて、ワシも剣城には世話になったので見ておるだけです。それにいずれ村の警備は村人でと思いまして、今はワシの手勢で見廻りしております」


 「であるか。サルも150人もの人を使い寝泊まり出来るように手配したそうだな」


 「はっ。剣城の技で大きい建物は出しましたが半数の奴らは他の家々に交渉しました」


 「まぁまずは収穫物を見ようか。誰ぞある!収穫物を持って参れ!」


 「お館様?少々荷が多いようですが・・・」


 「ワシはここに持って参れ!と言わなんだか?」


 おい!どこぞの魔王か!?荷物多いならわざわざ持って来させずにオレ達が下に行ったらいいじゃん!?


 「遠藤!!!貴様、たるんでおる!もっと精進いたせっ!」


 「はっ。すいません!精進いたします。お待たせしました。ハァーハァー…これで収穫物一つずつお待ちしました」


 おいおい、あの人米俵二つ一回で持ってきたぞ!?全然たるんでなんかないですよ!?むしろ凄いですよ!?


 「ん?何故米俵だけ二つなんじゃ?」


 「遠藤さんに変わって私が説明します。まずこっちが普通の米です。精米もしております。そしてこっちが未来のブランド米、コシヒカリを作った石墨慶一郎氏が開発した米でございます」


 「ぶらんど米とはどういう意味じゃ?」


 「すみません。簡単に言うと石墨慶一郎氏がこのコシヒカリという名前の米を未来で作りました。その種籾で作った米がこちらの米俵の方に入っております」


 「たしかにこっちの米の方が粒が大きく色も白いな。誰ぞある!ただちにこの二つの米を炊いてまいれ!」


 少しして遠藤さんが持って来た。


 「これは!!見ただけで分かるぞ!こっちが石墨何某とやらが作った米だな!?」


 「お館様!?ワシにはどちらも一緒に見えまするが?」


 「勝家ぇ!!!これが分からぬのか!?お主はもっと目を肥やせ!」


 えっ!?そこ怒るとこですか!?


 「この米・・・咳病の時に食わされた米みたいに美味いぞ!実に美味い!それにかなり甘いぞ!これを貴様は量産できるのか!?」


 「はい。私の肥料さえあればどこの村でも土がある場所ならどこでも作れます。それとこの米を食べると力が今までより強く、走る速さも今までより速くなります」


 「なに!?米如きにそんな能力があるのか!?」


 「はい!この石墨慶一郎氏が作った血と涙と情熱の結晶コシヒカリは一味も二味も違うのです!!なので普段はこちらの普通の米を育て、こちらも普通に美味しいですし織田家の重鎮もしくは信用ある者への贈り物などに使う事を進言します」


 急に信長さん、目が変わったぞ。


 「して、その心は?」


 「もしこの米を管理せずに皆で食べたとします。1日2日食べたくらいでは、何も変わらないと思いますが毎日食べれば先程言った能力が上がり、もしこれを食べた兵士が相手ならどうなりますか?

 こちらの兵士がこれを食べてたら能力は消されますが。ではこちらの兵士だ・・・」


 「構わん。皆まで言わんでも貴様の言いたい事は分かった。こちらの兵士にも間者が潜んでおるやもしれんから兵士でも馬廻りと小姓くらい。あとは部隊長くらいにしとけという事だな?」


 さすが信長さん!頭の回転が早いな!


 「もう一つ、ワシからも進言致します」


 「サルか。申してみよ」


 「これを収穫した村の村長が米を脱穀、籾摺り、精米を一度で出来る物を作りたいと言い、実際それを使ってこの米を完成させました。

 実際には剣城が出した物ですが村長は作れると言い、剣城が使い方を言う前に村長が使い方を知っておりました。村長はその機械なる物を作りたいと申してます」


 「ほう。農民にも秀でてる者もおるか。ではサルに任せる、励め!」


 「勝家は何かあるか?」


 「少々村の近くまでで村に入ってはきておりませぬが見慣れぬ"農民のもどき"が居りまする。幸い近寄ったら離れていくのでそのままにしておりますがひっ捕えて尋問致しますか?」


 「お主の兵は集団向きの兵じゃな?戦では使えるがこういう間者の探り合いは向かんな。一益をお主に預ける。恐らく斎藤だと思うが今川やもしれん。怠るなよ?」


 「サルと勝家は下がれ。貴様は残っておれ」


 何でオレだけ残らないと駄目なんだよ!!早く帰りたいんだよ!!!どうせ夜ご飯だろ!?時間的にも夕餉だしな!!!


 「して、色々収穫した事は大儀である!このまま手柄を立てよ!今日はかれーを食べようか!持って参れ!それと間違えるな!あの石墨何某の米と牛の肉だ!」


 何が今日はカレーを食べようかだ!昨日も今日の朝もカレーだったじゃん!!流石に飽きたわ!!!しかも速攻で牛肉の虜になってるじゃん!!!


 《カレー用牛肉3パック》


 《シュークリーム×3》


 効能・・・・瞬間的なストレスを軽減する。


 《歯磨きセット》


 効能・・・・虫歯になりにくくなる。


 どうせ例の我が儘姫2人も来るだろうと思い、先に購入して肉だけ伊右衛門さんに渡してカレーを作った。


 出来上がり信長さんの部屋に戻ると案の定、濃姫さんと今日も一段ではなく五段くらい可愛く綺麗で良い匂いのするお市さんが待っていた。ついでに収穫したブドウとリンゴとスイカも切って持ってきた。


 「それは今日収穫したやつだな?かれーの後に食ってやろう」


 「カエルよ!大儀である!妾も食べたいぞ」


 「うむ。カエ・・・剣城殿よ!妾も甘味とかれーが食べたいぞえ」


 濃姫さんは未だにカエルと間違えてるのか!!それに命名した濃姫さんはまだ言い直してくれてるからいいがお市さん!あんたはそのまま呼ぶんかい!いや、若干嬉しい気もあるけども!


 そのままカレーを食べ終えて果物を食べ始める。


 「カエルよ!この丸い粒は何という名じゃ?」


 「それはブドウという名前の果物です。お酒も造る事ができます」


 「兄上様!妾はこれが1番美味しゅうございます!これはこれからも食べられるのですか!?!?」


 「うむ。剣城よ?皆まで言わんでもワシが言う事、分かるな?」


 いやいや、皆まで言わんでもって何も言うてなくないですか!?量産しろって事ですか!?肥料使えば出来ますけども!!


 「量産でよろしいでしょうか?人手がまだ足りないのと、少し銭がかかるのと、まだ手慣れてないので毎日は無理ですが、慣れれば出来ると思います。 ただ日持ちしないのでどうにか他にも加工できる様にこれから考えます。折角収穫した物を腐らせたら勿体ないです」


 「ではその様に致せ。だが!!市には好きなだけ食わせよ」


 出たよ!!甘々なチョコより甘い信長さん。お市さんにだけやたら優し過ぎだろ!


 でもオレもあのお市さんに『ぶどう食べたい』と言われたら迷わずネットスーパーで最高級シャインマスカットを買ってあげるだろうな・・・・。

 あぁ〜・・・お市さん美しい・・・。素足で踏んづけられ罵倒されたい・・・。


 それからシュークリームをお市さんと濃姫さんに渡して歯磨きの仕方を教えて下がらせてもらった。


 部屋に戻ったオレは手拭いで体を拭いていたがやはりどうしても、この時代にタイムスリップして入り損ねた湯船に浸かりたいと思いGarden of Edenを起動してお風呂を見てみる。


 農業神様がマナを使った何とかとか言っていたので何かマナを使う温泉とかあるかな!?と思い探してたが所謂普通の湯船とかプールみたいなのしか無かった。

 お湯を出せたら強行で湯船に浸かれない事もないが・・・。溜め息を吐きながらこの日は寝た。



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