いつのまにか友達になっていた!?
「ははは!ならば本当に友好関係を築く為に来たと言うのか!?たまたまおいの船に乗ったが、乗らなかったからどうしてたのだ!?」
「正直考えていませんでした。まずはこの辺の事を調べてと思いまして・・・」
「正直だな!嫌いではない!親父に会わせてやろう!だがさっきも言った通り、少しばかり城の者は殺気だっておる!それに治療の礼もしなくてはならぬ!嫁に其方等の事も自慢したいしな!」
確か愛妻家で有名ってのも逸話であったと思うが、本当なんだな。
「そんな自慢される程の者ではありませんよ」
「い〜や!兄者も弟も畿内に友達は居ないであろう!おいの勝ちだな!」
いつのまにか友達になっていた件。しかも話し方が農業神様に似ていて、親近感が湧くんだけど!?ってか本当に猛将なのか!?そんな風には見えないぞ?
「店主!すまない!銭は払うから暫しこの者達を休ませてやってくれ!何と畿内から参ったそうだ!何ぞ新しい飯でも教えて貰えば良かろう!」
「若、それが実は既に・・・」
「うん?」
「剣城様!那古野コーチン並みに美味い鳥ですよ!!この唐揚げ食べて下さい!」
「うん?どれどれ・・・え!?美味ッ!?しかも甘い!?何で肉が甘いの!?砂糖混ぜたの!?」
「いえ、漬け込みタレに多少は入れましたが、そんなに入れてませんよ?」
「おいも食わせてくれ!どれ・・・うん!?うむむむ!!このサクサクっとした茶色いのは何だ!?ただの油で揚げた訳ではないだろう!?」
流石だな。油で揚げたの分かるんだ?
「これは唐揚げと言って、サクサクっと感じる物は衣ですよ。小麦と水だけでもそれなりにできますが、そこから色々混ぜ物をして味付けするのですよ」
「おい!リリー!この作り方を覚えておいてくれ!また食べに来るぞ!今度は兄者達も連れてくる!」
「は、は、はい!!」
リリーって!?明らかに日本人なのに外国の名前だよな!?
「名前に驚いているだろう?あの者は洗礼を受けたのだ。きりしたんだ!おいは他宗教でも禁止しないのだ」
器の大きい人だ。キリシタンか。ザビエルさんはもう死んでるのだよな?会って、話してみたかったけど。
それなりに腹は探ったつもりだが、まだ隠してる事があるな。きりしたんにも驚きやしない。そしてあの食べ物もである。いくら華やかな京に近かろうが、薩摩も負けてはおらぬ。そのおいが全く知らない物を出しおった。
薩摩の兵児(へご)の威圧にて喋らせるか?いや、ここで敵を作ってどうする。礼には礼を以て返すのが薩摩人だ。それが例えどんな苦難な道だろうと、薩摩人は義を通す。
「とりあえずオレの船に乗ります?内城でしたっけ?案内してくれます?」
「うむ。だが何も手土産なく親父と会わす訳にはな・・・」
「あぁ〜大丈夫ですよ。かなり土産は持ってきてますので!」
「ほう?ならその中に酒はあるのか!?」
え!?この人まだ酒に期待してんの!?
外に居る義弘さん仕えの町民に扮した人達が、戸棚を用意してくれ担架の様に皆を運ぶ。情け無い家臣達だ!何ならオレも横になりたいくらい酔っている。
「中々に美味い酒だった!明の者共よりは尾張人は飲むようだ!だが親父に会った時はこんなもんじゃないぞ?」
「マジか・・・・」
「うん?マジとは何だ?」
「すいません。本当かって意味です」
「そうか!ならまじだ!大まじだ!ははは!」
「よくぞ参ってくれた!いやぁ日の本の言葉は難しい故に、伝わり方が間違える事がある。その時は素直に言ってほしい」
「いや、構わない」
「うむ。まずは俺達は明の商船団の朱華様を頭領としている。そちらは?」
「岐阜から参った、芝田家の一兵の杉谷膳住坊である」
「そうか。ならば杉谷殿?まずは我が明国が誇る、歴史ある酒を飲んでいただきたい。毒味として俺が先に飲もう。あっ、忘れていた。俺はこの船を仕切る浩宇という」
「はおゆーだな?」
「ふふ。そうだ。まずは一献。して、何の目的でこちらへ来たのか?」
「それこそ異な事。海は自由と聞いている。薩摩を治める島津殿と、友好関係を築こうと参ったのだ。ほう?飯は炒飯に白湯スープに獣肉の挽肉炒めか」
「何!?知っておると!?」
「うむ。尾張や岐阜では施しを受ける者ですら食べておる物だ。少し我らの方が豪華かな?炒飯には沢庵やらっきょうも食べれるからな?いや失礼。別に船の長旅の中で満足させる物を作るのは、至難の技よのう?いただこう」
あまり下手にならず相手の事を屈服させねば、皆に笑われてしまう。いやしかし味が薄い。醤油は使ってないのか?塩の味しかしないぞ?正直不味い。そして船が臭い。風呂に入っておらぬのだろうか?
「ただいま!あれ?小泉さん?杉谷さんは?」
「え!?今、明の船に出向いてますが?」
いやいや明の船!?何で!?
「なんと!?一人で明の船に行っておるのか!?その男は是非薩摩に欲しいくらいだ!我が友よ!勿論、向かうよな!?」
いや、何で小川さんみたいなノリになってんだよ!?
「それでどの明の船ですか?」
「はっ。丁度横におる、あの船になります。隣の方は?」
「小泉さん!この方があの有名な島津義弘さんです!」
「おいは有名なのか?」
「そりゃもう知勇兼備の武将として、有名も有名ですよ!」
「島津様とは知らず、軽口を叩き申し訳ありません」
「おいは、そんな者ではない。いつも通りにしていただいて結構。むしろおべんちゃらを言われるのは好かん」
「まあ、明の船に行ってくるから島津さんの配下の人に、ドンペリの案内でもしてあげてくれます?慶次さん達は飲み過ぎで寝てるだけだから。鈴ちゃんも行くか?」
「はい!行きます!鞠も行こう!」
「・・・・行きます」
それから義弘さんの小早に乗り、隣で止まっている明の船に向かう。見れば見る程デカい。
「○≧□¥≦〒&¶∨≪!?」
「チッ。明の言葉か。おい己れ等!日の本の言葉を喋れやッ!!!!」
この言葉だけだが、この島津義弘さんは本物だと思う。慶次さんに似た言葉の力を感じる。
「何の用だ?」
「オレの配下がそちらに居ると聞いたが?」
「まさか!?鉄の船の主ですか!?」
「まあ、一応そうだが?」
「=¶√∩∇♭Ⅰ∑∈∟〓Å∨#Ⅲ≠▼?」
「∫∴⊂♯◆∩□∑≪∞⊆∧Å∈⇒!」
チッ。明の言葉が分からん!まさか馬鹿にされてたりしないよな!?ってか、海の上は寒いんだから早く乗せてくれよ・・・。
ゴッドファーザーの身体でも寒く感じた為、オレは以前農業神様に土産で貰った、オーディンの帽子を被った。
「ははは!中々面白い南蛮の烏帽子を持っているのだな?」
「似合いませんか?」
「似合う似合わないは関係ない。自分が良いと思う物、事は貫く事が肝要ぞ?ははは!」
似合わないって事ですね。まあ少し期待したのは、このオーディンハットを被れば明の言葉が分かるかと思ったが、そんな事はなかった。本当にただのレプリカだわ。
〜神界モニタールーム〜
「農業神様!!例の人間は、翻訳機能が内蔵されているオーディンハットを、求めているようであります!!」
「我が兄弟は、おいのヴァルハラの土産を使ってくれてるのだなぁ。嬉しいんだなぁ」
「どうしますか!?開発されますか!?」
「当たり前なんだなぁ。それにそろそろ我が兄弟が芸術神に頼んでた物も、出来あがるのだなぁ」
「畏まりました。技術開発部の方にデータを回しておきます!」
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