国友善兵衛の閃き

 村に着いた俺達は、久しぶりの八兵衛村長や国友さんに会い、挨拶をして作業場に向かう。


 「国友さんお久しぶりです。明けましておめでとうございます。横が息子さんですか?」


 「あぁ。おめでとう。今年は色々共に頑張ろう。横に居るのが俺の息子だ」


 「国友善兵衛の長男、芳兵衛と申します。剣城様の元で鍛治業を手伝わせて頂こうと思いまする」


 「うん。よろしく!早速なんだけどこの金色の実を食べてくれる?」


 それからすぐに金色の実を食べて、俺も感じた不味い味を一通り言った後ぶっ倒れ、起き上がると善兵衛さんと同じ様に色々閃き、分かる分かるぞ!と喜びだした。


 「剣城様!あの実、味は不味いですがこのように頭が冴えると言いますか!?凄いですね!」


 「オレも食べたけど確かに凄い閃きますね。ただやはり専門職じゃないので国友さん程は分からない部分もあります」


 その後、しばらくは国友さんの一門衆の人達の紹介が始まり、オレの直属の配下になった金剛君達を紹介し、後日、加藤清忠さんが来るので一緒に仕事して欲しい事を伝えた。残り一つの実は加藤さんに食べてもらおう!

 八兵衛村長も作業場に呼び、例の歴史浪漫感じる火縄銃を作る所を実演で見せた。


 「おい!剣城!この銃は何だ!?こんな簡単に作れるのか!?しかも何故この様な色になるのだ!?」


 「父上!この銃は何なんでしょうか!?」


 「これは、恐らく剣城の技で出した銃だ!芳兵衛!この銃に負けない銃、国友銃を完成させようぞ!!」


 「はい!頑張りましょう!」


 国友さんに着いて来た20人程の一門衆の人達が、先日来た時に何に使うか分からなかった木で出来た物を準備しだした。聞くとこれは天秤ふいごという物で、たたらに風を送り込むのに使うらしい。オレはそこまでは分からないので、後の事は国友さんに任すようにして、鋳型で作った銃を国友さんに撃ってもらう事にした。国友さんが火薬を火蓋に入れ、玉型で作った弾を作り村の裏の森の方向に撃った。


 「何じゃ!?この威力は!?しかも真っ直ぐに弾が飛びよる!!この玉型も変な形しておると思ったのじゃ!」


 国友さんは自分の世界に入り込み『銃腔のライフリング…ジャイロ効果で…』とか『紡錘形の弾の形は…重心の圧力…』とか専門的な事を言い出して、俺は話に着いていけなくなった。


 《古代〜現代までの銃の歴史合作本》¥40000


効能・・・・銃の歴史が詰まった、男なら誰しも夢見る武器商人になった気分になる本。習熟度が少し上がる。


 この前見つけていた本を国友さんに託した。


 「国友さん。オレも一度読みましたがある程度しか分かりませんでした。が、国友さんなら役立ててくれると思います。オレが居た時代の銃くらいまでは書いてる書物になりますので、決して間者や信用ならない人には見せずに、保管して下さい」


 「この書物は・・・剣城、すまん・・。何て書いてあるか分からないのだが・・・。この綺麗な絵はさぞ高名な絵師が書いた物だとは分かるのだが・・・」


 いやいやそこからですか!?まあそりゃ現代の文字やなんなら無煙火薬の事まで書いてるから数字も分からないよな・・。沢彦さん!チート沢彦さんが後10人くらい欲しいんですけど!?


 「金剛君!沢彦さんに習った事分かる範囲でいいから国友さんに字と数字を教えてくれる?」


 「はっ。かしこまりました!」


 「オレの配下の金剛君です。沢彦さんに習ってますのである程度の字とか教えられると思うので聞きながら読んでもらえますか?」


 「すまん。助かる。それとこの試作1号は借りてもいいか?」


 「あぁ、後さっきの鋳型で後一丁作れますので、皆さんで役立てて下さい!信長様は銃の部隊運用が出来だしたら、本格的に美濃攻略に動くと言われました。予定では2ヶ月後には1部隊作れるかなと思っています」


 「2ヶ月だと!?たたら製鉄をフル稼働して・・・火薬は堺に急いで連絡して・・・」


 「あっ、火薬なら出来上がりましたよ!」


 「何!?出来ただと!?」


 いやオレさっき試し撃ちの時、火薬渡したじゃないですか!?


 「まさか・・・これは本物じゃ!!やりおったか!!!火薬を日の本で作っておるのはまず間違いなくここだけじゃ!!でかした!!」


 「けどさっき渡した本を見れば分かりますが、この黒色火薬は古いです。無煙火薬という最新の火薬の事が書かれています。その無煙火薬もニトロセルロース、ニトログリセリン、ニトログアニジンと、他にも種類がありますので最適なのを見つけて下さい」


 「おい、俺はそこまで分からん──」


 「信長様が!!!!!信長様が国友さんには期待しています」


 オレは被せるように言ってその場を後にした。いやだって詳しく聞かれてもオレも分からねえんだよ!!あの実のお陰で少しは分かるけど、肝心なところまでは分からん!使える実かと思ったら使えねーんだもん・・・。



 「国友殿、ここはニトロセルロースと書かれていて…」


 「分かる!分かるぞ!ニトロセルロースを基剤として膠化剤、安定剤、緩燃剤、焼食抑制……分かるぞ!」


 いや、あんたもチートか!?こんな簡単な金剛君の教え方で分かるのか!?クッ・・・これがセンス・・センスの差なのか!?

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