信長さんを狙撃した杉谷善住坊さんでした

 村の奥の方に入ると簡易的な家が・・・いいえ。廃墟に近い家が建てられていた。


 「お菊さん。あの今まで建てられている廃墟みたいな家が、甲賀の人達が住む家なの?」


 「はい。大急ぎで建ててるので、とりあえずは雨風が凌げる程度で、という感じで建ててもらってます」


 いや、そりゃ雨風は凌げるだろうと思うけど、これは可哀想過ぎだろ!?プレハブ出してしまうか!?でもそこまでし過ぎると、さすがに信長さんに怒られそうだし・・・。


 「剣城様。とりあえず整列させましょうか?」


 「うん。そうだね。お菊さん、呼んでくれる?」


 これは名前覚えるの大変だぞ。暫くはオレと話す前に、名前を言ってもらうとするか。

甲賀の人は大体100人程来たみたいで、今寝泊まりしてる所は一つの廃墟に雑魚寝も雑魚寝で、10人で寝泊まりしてるらしい。代表の40歳くらいの人が教えてくれた。


 「某、この甲賀の一団の代表。甲賀、五十三家の一つ杉谷家当主。杉谷善住坊と申します。この度は貧しい甲賀の者をこんなにも沢山の──」


 「うん!?杉谷善住坊!?マジで!?思い出したぞ!!!貴方、杉谷善住坊さんですよね!?あの有名な!?」


 「そ、某はそんな有名な事はないと──」


 「何言ってるんですか!杉谷さんって鉄砲の名手なんですよね!?」


 「こんな甲賀でも小物の杉谷家を、調べておいでですか!?いやはやさすが殿です!少し鉄砲は撃っておりまするが火薬が高価なので・・・。ただ某は命中させる事が得意で──」


 「完璧!!100点!!お菊さん!なんで杉谷さんが居る事言ってくれないの!?」


 「そ、そう言われましても・・・申し訳ございません。それとこの甲賀約100名程は、例の剣城様の事は知りません」


 「さすがに全員には言えないから、代表の人に言うようにするよ」


 それから代表の人6人。小川家、大野家、杉谷家、野田家、青木家、小泉家の代表というか、当主の人達が『甲賀に見切りをつけて移住してきた』と言った。名前も太郎左衛門とか権左衛門とか、似たような名前ばっかりで覚えられそうにないので、申し訳ないけど暫くは話す前に、名前を言ってもらうようにお願いした。


 「とりあえず信長様、貴方達の大殿様は早急に兵、しかも特別な兵を望んでいます。今向こうの作業場で国友善兵衛さん、その息子芳兵衛さん達が鉄砲の量産をしています。連れて来た人達で動ける男手の人は何人居ますか?」


 「6家代表で杉谷家が代表して言いましょう。およそ42人が男で兵として戦えるのは40人程です。後二人はまだ乳飲み子で・・・」


 「16歳以下を省いて下さい。何人になりますか?」


 「そう言いますと32人になりますが、何故16歳以下を省くので?」


 オレは16歳以下の人は、まず読み書きの勉強をしてもらい、こんだけ人数が増えたからさすがに、例のスーパー肥料で作って保存していた野菜や米も足りなくなる…と思うので農業と並行して、勉学を学んでもらう事を言った。大人の人達も手が空いたら勉強してもらう事を伝え、とりあえずは純粋に農業をして欲しい。寝床は早急に何とか改善すると伝えた。


 「お菊さん、分かりやすいようにオレの出自を伝えてくれる?」


 「はっ。かしこまりました」


 この代表の人達は色々な驚き方をしたが、途中でコーヒー牛乳を出してあげて、時間も夕方になったので、八兵衛村長達にお願いして久しぶりに皆の歓迎会を兼ねて、バーベキューをする事にした。太助さん達がニワトリを上手く繁殖させ、今では卵も皆、毎朝食べれるくらい産んでくれてるらしく、鶏肉はこの村で育て太助さんが名付けた、乙姫ちゃんと沙耶姫ちゃんと言う名前の2匹を食べる事にした。


 いやいや、名前付けるのはいいけどよ!?狂気か!?名前付けたら食べにくくならないの!?


 「乙姫ちゃん?美味しく食べてあげるからね?沙耶姫ちゃんもだよ?」


 「コケーッコッコッコッコッコッ」


 太助さん・・・・。狂気だ・・・。


 

 いつもの幸せ肉盛りを今回は大盤振る舞いの100キロ購入し、酒はさすがに大吟醸は勿体ないので大容量お得用の激安酒を100ℓ程購入し、女性陣には今後生活する上で必要な調味料、醤油、砂糖、塩、胡椒、緊急時のふりかけ、カップラーメン、インスタントの丼飯各種、即席カレー、石鹸、歯磨きセット、激安スウェット上下セット、女性下着を購入して渡してあげた。


 この前、森さんから貰った槍やら甲賀の人達が持って来てくれた松茸売って、1000万近く金があった筈なのに、もう400万くらいに減ったんだが!?オレは金がすぐ無くなるような貧乏神でも憑いてるのか!?プレハブでも購入しようと思ったけど、これじゃ無理じゃん!?今後生活が豊かになっていけばレシピ本でも出して、肉じゃが、すき焼き、ガーリックチャーハン、ラーメンとか色々ご飯屋さんを作ろう!



 「いきなり物が現れたぞ!!?」


 「「「おぉぉぉぉ───!!?」」」


 「これがこの剣城様の秘密です。勿論、他言無用です」


 「なんと!?見た事ない物ばかり!?」


 「砂糖!?これは砂糖か!?こんな真っ白な砂糖!?」


 「これを各々の家の方に平等に渡します。無くなれば言って下さい。何も働かない人には渡せません。怪我や病気で動けない時などは休んでいいので、これから宜しくお願いします」


 「「「「お──────っ!!!!」」」」



 「剣城?今日はばーべきゅーするのだろう?」


 「あっ、八兵衛村長、すいません。その予定というか決定してしまいました。準備手伝ってもらえますか?それと奥さんや他の村の人にも、明日から食糧が必要になると思うので、季節外れかもですが色々作ってくれますか?」


 「それは構わんが、ワシらは明日から何をすれば良い?」


 「とりあえず甲賀の人達があんな風に、オレに土下座したり畏怖したりしてる人が居るから、普通に接するように、と。皆に肥料の使い方や収穫方法とかも、教えてあげてくれます?」


 「分かった。だがあの肥料を使えばすぐ収穫できるからな。昨日まで勘助の奴も帰ってきておったのに、剣城と会えれば良かったな。あいつが出向いておる村も、軒並み大変な事になっておるらしいぞ?」


 「それは良い事じゃないですか!勘助さんが教えてる村の収穫物を、売りに使ってるんでしたよね?」


 「そうだ。すぐに売り切れるらしいぞ?詳しい事はワシは分からんが、滝川様の配下の人達と市井に出歩いて、売ったりもしておるらしい」


 いい傾向だな。これでどんどん食べ物が溢れ、飢餓が無くなり発展して更に人が集まり、他国に物が売れるレベルになれば言う事なしだな。その後は中国やスペインだか、どこぞの国に日本の金を取られないように、堺とか後は九州が貿易が盛んだったかな?で、粗銅を購入しよう。間違っても島津とは戦ってはいかんな。



 「剣城様、私もバーベキュー食べて宜しいですか?」


 「え?あぁ!良いよ!お菊さんから言ってくるのは珍しいね。家の女の子のお土産分も取り分けておいて!後で持って行ってあげるから」


 その後は正に戦場だった。皆、最初は恐る恐る食べてたが、酒が入り村の人達と仲良くなれば肉の争奪戦だ。やれ青木家が古くから…とか、小川家が最初に甲賀を抜けると言ったとか、杉谷善住坊さんも某は未来で名前が有名なんだ!と速攻酒が入ると秘密にしてる事を漏らすし。


さすがに未来で信長さんを狙撃した人、とか言えないよな。とりあえず部隊を率いるのは金剛君達だな。その後は甲賀の人達を隼人君や剛力君に付けよう。工兵の道具も買ってあげるか作らないといけないな。加藤さん!早く来てくれ!もっともっと作りたい物があるんだよ!!!!それと慶次は働かねーのかよ!?いつまで遊んでるんだよ!!

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