大黒剣って元々オレのじゃなかったですか!?

 「それは・・・未来で行われる作り方で作成しました。簡単に作れる方法があって、3丁までしか作れませんが試作で1丁作りました。色の件はそういう物だと思って頂くしか・・・」


 「ふん。まあ色の事は良い。この威力は素晴らしい。それに弾が真っ直ぐ飛び、弾も玉型で簡単に加工できる」


 「はっ。それは良き事で」


 「この銃は量産できんのか?貴様も見てみろ。60間離れても足軽の甲冑を貫く威力がある」


 いやだから60間って何メートルだよ!!あの100メートルくらい離れてるやつか!?あんなのどうやって当てるんだよ!!


 「そうなんだ。剣城?ワシもそこそこ銃を撃っておるから慣れておるというのもあるが、こんな距離を外さず何発も命中させるのは、中々に難しい」


 滝川さんが当てたのかよ!凄過ぎだろ!?スナイパーじゃん!!今日は普通に喋ってくれたぞ!!


 「弾を真っ直ぐ飛ばすにはライフリング加工と言って、銃腔にスリッドを入れればいいのですが、従来の形の弾でそれをすれば威力減衰が激しいと思います」


 「そのらいふりんぐ加工とは?すりっどとは何じゃ?」


 オレはそこから例の実のお陰か、作り方は分からないが意味は分かる為、ライフリング加工の事を簡単に説明した。


 「ライフリングとは、この銃腔の中に螺旋状の溝を掘ることを言います。弾丸が通る時、溝で弾を回転させながら飛ばします。そして弾丸が発射された時、進行方向に対して駒の様に回転するのです」


 「なんで弾を回転させるのじゃ?」


 「進行方向に対して弾丸を回転させることで、上下左右からの衝撃、風の影響を受けにくく飛んでいきます」


 「この弾はそれでこんな歪な尖った形をしておるのか?」


 「そうですね。私の技で出した物なのに申し訳ないです。正確な理由は分かりませんが、この紡錘形が威力減衰しにくい、という認識をしております」


 「ほう。貴様、分からん分からんと言いつつ分かっておるではないか。一益!可成!この事、お主らは分かっておったか?」


 「すいません。某は撃つ事だけで・・・」


 「某もそこまでは・・・」


 「ふん。貴様も聞いたか?この織田家の重鎮らをも知らぬ事をお主は知っておる。勿論ワシは知っておったがな」


 「さすがお館様です!!」


 いやどこから佐久間さん現れたんだよ!それに絶対知らなかっただろ!?オレも実を食べてなかったら知らんかったわ!!!ここでも負けず嫌いか!?佐久間さんもよいしょするなよ!!


 「その理論が分かれば、鍛治師に伝えれば後はワシらだけでも作れる。よくぞ言ってくれた」


 「え!?あ、はい!このくらいなら分かりますので。それとこの際ついでに・・と言えば失礼ですが、ある物を見つけました」


 「何じゃ?それは?」


 「これはこうやって跨いでここのペダルを漕ぐ……。うをっ!!速っ!!痛っ!!」


 「剣城は何を遊んでおるのか?顔を切っておる。拭え」


 「森様、すいません。ありがとうございます」


 久々に自転車に乗ったってのもあるけど、初動からスピード出過ぎだろ!転けてしまって恥ずかしいんだが!?ヤバっ!信長さんプルプルしてる・・・。


 「ワシにも乗らせろ!此奴は自分で出した物も満足に乗れんようだ。ワシが手本を見せてやる!」


 いやいや、誰だってあんなの最初は………。


 「おおう!!これは良い!かなり良いぞ!!!」


 いや、何で自転車初めての信長さんが乗れてるんだよ!?


 「お館様!お似合いでございます!」


 いやだから佐久間さんよいしょし過ぎだろ!?


 「どうだ!?貴様が乗れんかったのをワシは一度で乗りこなしておるぞ!!ふははははっ!!」


 ドヤ顔か!?糞!これがセンスか!?センスの差か!?


 「これは良いな。馬より速く小回りが効く。先日貴様が献上した大黒剣より良いぞ!あれも中々に速く疾走を味わえれるが、あれは小回りが効かぬ。大黒剣は貴様に下賜してやろう!その代わりこれを一つ寄越せ」


 「お館様!あの大黒剣も元は剣城殿の物!無闇に配下から召し上げるのは・・・」


 「可成も平手の爺の様に言うのか!?いや・・・そうだな。それで爺を亡くしてしまったのだな。可成、忠告感謝する」


 「いえ、勿体のうございまする。お館様を諫めるのも某の役目でございますれば」


 「あっ、これはまだ台数ありますのでいいですよ。てか主要な人に渡そうと思ってましたので。100台ありますので、森様も滝川様も佐久間様も如何ですか?両手が塞がりますので、馬上攻撃的なのは難しいかもですが、偵察部隊とかには良いと思うのですが」


 「そうか。なら1台貰っておこう。可成、一益、信盛!1台ずつ貰っておけ。それとちゃんと剣城に相応の対価を渡しておけ」


 「「「はっ」」」


 「剣城、すまんな。後で乗り方を教えてくれるか?」


 森さんは物腰柔らかい優しい雰囲気の人だな。


 「はい!分かりました!それと私を呼んでくれたみたいで?例の醤油とかの件ですよね?」


 「そうなんだが、それもまたその時に話そう」


 「剣城!ワシは織田家の宿老!こんな物、赤子を捻るようなもんだ!」


 フラグ立ったな。絶対転けるやつだ。自転車に宿老なんか関係ねーし!!


 「・・・・・・・・」


 いや滝川さんは何か言えよ!!!


 「謹賀の前だ。そこそこにしておけ!それとこの名前は何と言うのだ?」


 「これはイージス自転車神様ver.と言います」


 「いーじすじ・・・言いにくい!貴様が出した物は言いにくい!今日からこれはいーじすだ!良いな!?」

 

 theゴリ押しですね。分かります。


 「このいーじすは一旦剣城預かりに致す。使い道は考えておく。それとこの銃は後2丁作れるのだな?」


 「はい。2丁作れます」


 「正月明けに早急に作れ。そしてあの村を中心に一大生産地を作る!その監督を剣城、貴様に申し付ける。奇妙を補佐しつつ早急に鉄砲の量産を急げ!正月明けに稲葉山を・・・今度はしくじらんぞ!」


 「剣城、良かったではないか!これからも励むんだぞ!」


 森さんが労いを言ってくれたが良かった事なのか!?


 「一益!甲賀の者を移住させろ。此奴に部隊を作らす。まずはワシ直属の部隊とする。あの村に居を構えさせよう」


 「お館様・・・・。ありがとうございまする」


 「ふん。礼なら此奴に言うておけ。各々励めっ!」


 いや佐久間さんは何も無いのかよ!?

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