チート自転車

 「「剣城?」」


 オレは2人同時に呼ばれた。


 「いやすまぬ。滝川殿からどうぞ?某はちと長くなりそうでな」


 「いやすみませぬ。某はすぐ終わりますので。剣城、ワシの故郷の者の事、すまんな。恩に着るぞ」


 「いえいえ。私は最初からもし誰か雇うなら、甲賀か伊賀の人と決めていたので」


 「伊賀如き使わなくて良かったのう。して、剣城の家が完成したが暫くは城勤めだろう?もうすぐにでも配下は入れられるがどうするか?」


 「もう来てるのですか!?お菊さんは正月明けにと言ってたのですが」


 「余程嬉しかったのか菊の言い方が上手だったのか、すぐに来た」


 「分かりました。まだ私も家は見てませんが、適当に生活してて下さいと言ってもらえますか?例の簡易的な家を出したいのですが、本当にちょっと銭の方がギリギリでして」


 「呼び寄せる途中、松茸を摘んで来ておる。この後、挨拶をさせようと思うがお館様はあまり好んでおらぬ。家で待機させておくのでお主の方から行ってはくれぬか?」


 「そうですね!分かりました!私の方から伺います!滝川様!ありがとうございます!最強忍者軍団作りましょう!!」


 「何じゃ!?最強忍者軍団!?ふん。何を訳の分からん事を──」


 「滝川殿!良かったではないか!?剣城はこれから、あの村に銃に農業に織田家に欠かせん人物になるぞ?

 その人物の家臣が甲賀一色になれば、草の者も評価が上がるのではないか!?

 最強忍者軍団と言うのが何を指すかは分からぬが、お館様は天下を見据えておる!最強とは1番強いと言う事じゃないか?」


 いや、森さんも黒歴史好きですか!?オレの言う事分かってくれますか!?


 「ははぁ〜・・・。森殿は良く剣城を推しまするな。そうですな・・・。某もこれから励みましょう。長々申し訳ない。では剣城、頼むぞ」


 「はい。滝川さん!ありがとうございます!」


 「・・・・・・・・・・」


 仲良くなったと思っても何か滝川さんは足りないんだよな。


 「して、剣城よ。まずはおめでとう!滝川殿にも言ったが村に鍛治に部隊長就任だ!まだ家臣の前で発表されておる訳ではないが、謹賀の時にでも言われるだろう!励みなさい。それで悪いがこのいーじすを乗るついでに、ワシの家まで来れるか?」


 「ありがとうございます!これからも頑張ります!自転車はバランスが大事なのですぐ乗れますよ!このようにすれば・・・いてっ!!!」


 「・・・・お主のように乗ればワシも転けてしまうのではないか?」


 何だよこれ!?オレだけ乗れないように呪いでも掛けられてるの!?森さんも普通に乗れてるんだが!?教える事何も無いんだけど!?


 「森様。もう少しゆっくりお願い致します!」


 「剣城が出した物なのに何故そのようにふらふらになるのだ!?真っ直ぐ前を見据えどっしり構えて居れば、いーじすはすぐ乗れる!これは戦でも同じ事ぞ!焦らず敵を引きつけ一網打尽にするのと同じだ」


 いや何で戦と自転車が同じになるんだ!?オレは普通に乗れるんだよ!乗れるけどスピードとペダルの軽さが合ってなくて、乗りにくいだけなんだよ!てか、ハンドルの所に3つボタンがあるけど何なんだ?押してみよう。


 「うをっ!!何かシールドみたいなのが出てきたんだけど!?」


 「剣城!それは何だ!?」


 「いや、右手の丸いのを押したら出てきました!」


 「うっ!確かに出てきたがこれは敵の矢など防御せずとも良いな!」


 「ちょっと止まって下さい!残り二つの丸いのも確かめます!」


 左手のボタンの方は・・・・押すと農業神様のホログラムが現れた。


 「やっと気付いてくれたんだなぁ」


 「あっありがとうございます!この自転車やばいですね!」


 「自転車じゃなくイージス自転車神様ver.なんだなぁ」


 「すいません。それで右手のボタンは分かったのですが、この左のボタン押すとカゴに救急箱みたいなのが出てきたのですが・・・」


 「もし・・・其方は何者か?」


 森さん、めっちゃオーラが怖いのですが!?


 「森様!この方は私の・・・師匠です!!この師匠の右に出る者は居ないくらいの師匠です!早く刀から手を離して下さい!!」


 「やぁ永禄の我が兄弟!中々良い殺気なんだなぁ。でもまだ迷いがあるんだなぁ。本当に令和の我が兄弟を守るならおいの事聞く前に斬る方がいいんだなぁ」


 「な、何が兄弟だ!!抜かせッ!!剣城!!下がってろ!!フンッ!」


 おいおいおい!ホログラムだけど森さんマジで刀で斬ったぞ!!ヤバイヤバイヤバイ!神様と言えば良かったか!?農業神様、優しいけどこれはキレるだろ!?まさか、メテオとか魔法使って滅ぼしに来るんじゃないのか!?


 「令和の我が兄弟!おいはこんな事で怒らないんだなぁ。メテオは星が死んだ時にゴミ箱に捨てる時に使うんだなぁ」


 いやホログラムだけど心読めるんですか!?


 「なっ何を!?小癪なッ!」


 「ホイホイホイのハッ!!」


 「ゔっ・・・」


 「森様!?・・・・農業神様!!どうか!どうか!!堪えて下さい!平に平にどうか!!この方は森可成様と言いまして、大変に私に協力し助けてもらってる方なのです!どうか平に・・・」


 「あれ?痛くないぞ!?しかも斬られていない!?」


 「おいは鍛治神のように短気じゃないんだなぁ。今のはおいの"本物の"オーラなんだなぁ」


 「鍛治神?それにおーらとは・・・。まさか・・・申し訳ございませぬ。神とは知らず刃(やいば)を向けてしまい・・・。斯くなる上はこの腹………」


 「そんな物要らないんだなぁ。おいは神なんだなぁ。けど商業神や生命神のように、偉そうにしたくないんだなぁ。おいはこの令和の我が兄弟と友達なんだなぁ」


 え!?オレ農業神様と友達なの!?兄弟じゃないの!?


 「おいが友達と思ってただけかもしれないんだなぁ・・・・」


 いやめっちゃガッカリしてるぞ!?オレを友達と言ってくれてるのか!?


 「いや友達でいいのか分からなく思ってただけです!すいません!兄弟と思って・・・それに心読むのは勘弁してく下さい!」


 「ありがとうなんだなぁ。兄弟とも言い、友達(マブ)とも言うんだなぁ」


 農業神様から友達超えてマブに格上げされました。どうもありがとうございました。


 「永禄の我が兄弟は中々良い動き、殺気をしてるんだなぁ。けどまだ無駄が多いんだなぁ」


 「某に無駄が多いと!?それはどのような・・・」


 「それは自分で考えるんだなぁ。人に聞いて剣の頂に到達はできないんだなぁ。永禄の我が兄弟は槍の才能があるんだなぁ。この時間軸なら同格も数人くらいしか居ないんだなぁ」


 え!?森さんめっちゃバケモンクラスじゃん!槍、日本一に1番近い人じゃん!


 「では某は今まで鍛錬してきた事は、間違いではなかったのですか!?」


 「その答えはいずれ分かるんだなぁ。それでこの左のボタンはイージス自転車神様ver.には5種類あるんだなぁ。眷族が付けた楽しいギミックなんだなぁ。けど取扱説明書忘れたんだなぁ」


 いやいきなり話戻すの!?それにめっちゃアフターサービスが良いんだが!?


 「それはどのような種類ですか?」


 農業神様が言うには、信長さん達に渡した黒の自転車は、何もついてない普通の自転車らしい。ただシールドだけは出るらしい。


 それで今、森さんとオレが乗ってる真っ赤なめっちゃ派手な自転車は、応急救護ができる装備が付いてる自転車らしい。

 この救護ボックスの中に医療の実が入ってるらしく、食べると人体構造、どの様な治療をしたらいいか分かる、前の知恵の実に似た物が入ってるらしい。あまり数がない事を謝られたが。


 次いで説明でボックスから全種類出したが、緑が両手離しても転けない前輪が2輪になり、身体を傾けるだけで曲がれる仕様になって、飛び道具が使いやすくなるらしい。


 黄色がシールドや残りのボタンは何も付いてないが、押すと1分間無音になり姿が見えにくくなるらしい。ただ目と鼻の距離くらいになると効果は現れないらしい。これは奇襲に良いと言ってた。


 青色のは5台しかなく1番攻撃的らしい。ボタンを押すと本物の令和の映画で見たような、スナイパーライフルがカゴに出てきた。


 聞いたところ、これは空気銃らしく弾も絶対この時代では作れないらしく仮に令和でも作れないマナを極小量使った弾でライフル並みの威力があるらしい。

 弾の補填は無くなれば勝手に弾箱に補填されるらしい。ただ24時間で50発までしか撃てないと言われた。


 最後のピンク色は押すと前方100度、50mに衝撃波を出すらしい。これは敵の突進を止めるのに役立つと自信満々に言ってた。

 ただこれも1台に付き1日3回までしか衝撃波は出せないのと、殺傷能力は無いとの事だった。


 振り分けが黒45台、赤10台、緑30台、黄10台、青5台だった。


 一つ言える事とすれば・・・・スーパー自転車じゃん!!!チート自転車じゃん!!


 「おいの神格が上がったお礼なんだなぁ。おいも頑張ったんだなぁ」


 「いやいや本当にありがとうございます!それで残りの真ん中のボタンは何ですか?」


 「真ん中のボタンはベルなんだなぁ」


 え!?こんだけ強い装備があって真ん中はベルですか!?しかもボタン式の!?試しに押してみたんだけど・・・・



 チリィンチリィン♪



 うん。普通のベルだった。


 「本当はそこを押すと、スイングバイ方式で光速加速する予定だったんだなぁ」


 いや何でスイングバイする予定だったんだ!?確か万有引力とかだったよな!?


 「眷属に注意されたんだなぁ」


 「そ、そうですか・・・。でも素晴らしい自転車・・・イージス自転車神様ver.ありがとうございます!」


 「これからも友達(マブ)を見守るんだなぁ。それと・・・ホイホイホイのハッ!」


 いや死体蹴りですか!?何で森さん吹っ飛ばしたの!?


 「じゃあさよならなんだなぁ」


 いや帰るんかいっ!!


 「最後の永禄の我が兄弟はおいの記憶を消したんだなぁ。それと次の歴史浪漫感じるシリーズは、無煙火薬じゃないと使えないんだなぁ」


 「そうなんですね。ではまた何かあればよろしくお願い致します。ありがとうございました」


 てか、せっかく黒色火薬作れたのにもうお古になるんですか!?でもまだ少しの間は黒色火薬でもアドバンテージ取れるよね!?オレめっちゃ、考えたのに!?


 「おっ!?何だ!?何があった!?」


 いえ、森さん。オレは貴方を尊敬しますよ!槍、日本一の称号頑張って下さい!

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る