引っ越しに向けて
次の日。俺は主要な人達を集め、引っ越しの事を言った。
「なら俺達も岐阜詰めになるのか?」
「端的に言えばそうですね。この村の家々は勿体ないとは思いますが、信長様が言ったから。だから戦関係とは違う職に就く人は、ここに残ってもらいます!」
「そうか。まっ、清洲だろうが岐阜だろうが、俺は剣城が出した米と酒と酒が飲めればそれでいいさ!ははは!」
いや、何で酒が2回出るんだ!?
「それと馬なんだけど、半分は岐阜に連れてくからそのつもりで。剛力君、野田さん、青木さん、それと高峰さん、新庄さん、多喜さん、内貴さん?これからフル稼働で家、ノア達の家、牛の児玉さんの家もお願いします!」
「心得ました」
「まだ何人か木下様配下も残ってますよね?」
「30名程は残っております」
「出し惜しみせずに、色々皆で手分けして作業するように!暫くは内政務めるからね?オレも出し惜しみせず、やれる事は一気にやるから」
「「「おおおぉぉぉ───!!」」」
「国友さん達はここで開発を継続してもらうから、小泉さんは居残りになると思うけど大丈夫ですか?何かあれば呼ぶ事になると思うから、新たに来た馬を一頭選んで下さい」
「え!?構わないのですか!?」
「だって、小川さんに負けたのが悔しかったんでしょ?構いませんよ!その代わりこれからもお願いしますね!この村の警備隊も兼任してもらいます!新たに下に着いた人、誰でしたっけ!?」
「はっ。俺は頓宮忠兵衛です。父、正吉の息子です」
「ワシは倉治吉之助です」
「頓宮さんと倉治さんですね!忠兵衛君は父と一緒に頑張ってね!あと、同じ甲賀出身ですが青木さんの言う事を聞くように!ちゃんと7日に1度は休むように!命令です!沢彦さんに勉学も学ぶように!」
「「はっ」」
「それとこれは適当・・・ではないけど、今から名前が呼ばれる方は明日、俺と那古屋の海まで向かいます。金剛君に任せてたけど浅井様の所に居るから、俺が現地の人達と話するから」
「先に言っておくが、ワシは金剛の代わりに護衛だからな!菊はどうも小見様に気に入られたみたいだからな。がははは!我が君!ワシがお守り致しますぞ!」
「分かりました。お願いします。芥川さん!葛城さん!八田さん!高野さん!今呼ばれた家の代表の方は明日、俺と海に向かいます。馬は明日、各々選ぶように!あっ!与える訳ではないのでご容赦下さい!」
「やっと、おいどんが活躍できるのですな!?がははは!」
芥川さんか?また濃い人だな!?リアルにおいどんとか言う人、初めて見たよ。
「我が右手を必要とする日が来ましたか。この右手は剣城様に」
葛城さんか!?この2人は何だよ!?
「えっと・・・明日お願いします」
「「「「「はっ!!」」」」」
「じゃあ俺は岐阜城に戻るから!ノア!」
「ロザリーヌ!帰るぞ!それと喜左衛門!金剛が居ない今、甲賀一手先が器用なお前がご婦人方に芋虫・・・失礼。天蚕の監督しておけ!縫い物に関して、お主より右に出る者は居ないであろう」
「父上?剣城様に命令されておらぬ事は・・・」
え!?小川さんの息子さん縫い物もするの!?マジで!?
「何を驚いておりますか!?この喜左衛門、手先が器用で女がする仕事を、甲賀でもしておったのですぞ?」
「父上!やめてくれ!」
「凄いですよ!恥ずかしがらなくてもいいですよ!ならそのまま、蚕の仕事は喜左衛門さんにお願いしていいです?あぁ見えて金剛君は、マルチに色々してもらいたいのです!」
「えぇ?では某は戦には出さないと!?」
やっぱ親子か・・・この人もバトルジャンキーだったよな!?
「戦の時はお呼びしますので、平時ではお願いします!基本、今後オレの部隊も完璧な兵農分離する予定なので、村の者達だけで立ち行きできるように、人を育てて下さいね!」
「はっ!かしこまりました」
「あっ、小川さん?帰るの少し待って下さい!塩屋さん呼んできてくれます?」
「はっ!喜んで!」
熱い・・・小川さんが熱すぎる・・・。
「お待たせ致しました」
「剣城殿、お久しぶりです!今か今かと待ち構えておりましたぞ!」
「こちらこそ、何回も面会断り指示も出さずすいません。慣れましたか?」
「えぇ。妹も米が美味い、畑は1日で収穫できると楽しんでおります!」
「ははは!それは良かった!少し歩きましょうか。見てもらいたい物があります」
オレは塩屋さんを連れてとある畑に向かう。本来は例の肥料を使えば必要はないが、念の為、ハウスで栽培している胡椒の木だ。
「この木の実はまさか・・・」
「はい。胡椒です。確か胡椒はかなり貴重だった認識ですが、合っていますよね?」
「はい!触ってもよろしいですか?」
「えぇ。どうぞ。ではこのまま大野さんの飯屋に向かいますよ」
少しの距離だが塩屋さんは胡椒の実を見てから、ブツブツ呟きながらついてきた。
「大野さん?急にすいません。下味付けず、肉だけ焼いてくれます?米は大丈夫です」
「はっ」
数分後、オレが出した豚肉を焼いただけの物が出された。
「このまま大野さんも聞いてくれます?」
「何か始めるので?」
「まあ、この胡椒を・・・」
「塩屋さん?食べてくれます?」
「え?あぁ、ではいただこう・・・う、美味いですな!?」
いや嘘付け!味付けしてない肉なんか臭いだけだろ!?
「では、次はこの塩のみで」
「これはまた、サラサラの混ざり物が全く無い塩ですな!?これをどうやって!?・・・いや申し訳ないです。いただきます。う、美味い!!?塩を付けるだけでこんなにも化けるのか!?」
「塩だけで旨味が分かるのは中々通ですね!?そして、最後に塩、胡椒を振って食べて下さい」
「更に肉の旨さが引き立ちましたぞ!?少し舌がピリッときますが後引く味・・・」
「これが胡椒の元となる物でしたか。いやはや清洲総料理長として無知とは、恥ずかしい限りですな」
いやどんだけ誇張して言ってんの!?清洲総料理長・・・でも言葉はカッコイイぞ!?いや待て・・・この人は沈黙の処刑人・・・調子に乗ってたら殺られてしまう・・・。
「これを乾燥させて、水分が無くなったのがこれです」
胡椒は伝兵衛さん達の片手間で風通しの良い場所に置いて乾燥させた物だ。
「では、これをすり潰してこのような容器に入れ使うと?」
「塩屋さん!御名答!塩と胡椒と言えば調味料の定番!肉の臭み消し、味を変えたい時、卵焼きなど何でも合います!これの販売を貴方に一任したいのですが?それともう少しすれば、以前も言った塩の方もテコ入れしますので、それもお任せしたいです」
「やります!やらせて下さい!後、出過ぎた事を言いますが胡椒を育てるのは難しいので?」
「いや、仰々しくハウスで育ててますが、オレが出した肥料を使えばすぐに育てられますよ。どうしました?他国に出す予定は無いですからね」
「いやいや、よければ姉も働かせていただけないかと・・・」
これは願ったりだな。調味料はこの人達に任せよう。
「では、そのようにしましょう。この村の伝兵衛という人に姉の事、伝えておきますのでよろしくお願いします。それと、塩屋さん独自の人を雇ってもいいですが、管理はお願いしますね?勝手に色々持ち出しは──」
「塩屋殿?全てを剣城様に言わさなくても分かるな?」
いや大野さんいつ脇差し抜刀したの!?怖いんだけど!?
「は、は、は、はい!!!分かっております!!!!」
「よろしい。ではその胡椒の栽培は料理研究の片手間ですが、某も見る事にしましょう」
「大野さんすいません。何から何まで負担してもらって。まっ、塩屋さん?そんな緊張しなくても、普通にしてくれれば大満足なのでお願いします!」
引っ越すって言ってるけど中々だな。どうしたものか。
とりあえず明日の準備をして岐阜に帰ろう。
投網を買えば早いけど、あれは人力だから小さい魚しか獲れないよな。いや、定置網とかそもそも売ってるのだろうか?検索してみるか。
おっ!?あるにはあるけどこんなに大きい網、沖合に運べるのか?とりあえず一つポチってみるかな?
《刺し網》
効能・・・・船から落とし一定時間放置した後に回収すると、主に中型から大型魚まで捕獲できる。若魚は逃す事を推奨する。材質は神界産100%フロロカーボン。海底に絡まっても糸が切れる仕組み。その切れた糸も65536分後には水に溶ける仕様。
ここでまたプレミア的な確率か!?これいいな!これにしよう!値段は・・・30メートル50メートル100メートル200メートルか・・・10万・・・20万・・・。10万刻みで値段が変わるのか。最初は小さい30メートルのにしておこう。
よし!これで準備万端だ!明日も頑張ろう!よし!今度こそ帰ろう!
「小川さん!帰りますよ!」
「はっ!ロザリーヌ!今度こそ帰るぞ!」
毎回だがやはり名前に笑ってしまうな。
"ノア?帰るよ!"
"キャハッ♪了解♪"
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