小川三左衛門の雄馬 ロザリーヌ

 『おい!剣城、聞こえるか!?』

 

 「はいはい。慶次さん?どうしました?」


 『今すぐに村に来い!大変だ!!』


 「え!?敵襲!?何があったの」


 『松風ぇぇぇぇぇ〜〜!!!!』


 おい!?何なんだよ!?松風がやられるレベル!?ヤバい!ノアは!?ノアは大丈夫なのか!?


 「小川さん!小川さんの馬に乗せて下さい!急いで村に!」


 クッ・・・。岐阜に大黒剣、置いておけばよかった・・・。


 「ロザリーヌ!!来い!我が君とワシを運べ!急ぐぞ!!!」


 こんな時だが、小川さんは何ちゅう名前付けてるんだよ!?ロザリーヌって!?しかも小川さんの馬は雄だろ!?まんま牝馬の名前じゃねーか!?


 「ゆきさんは家で待機!このトランシーバーを!向こうについて手に負えなければすぐに言うから、信長様に伝えるように!強化した身体でやられる事はそうそうないと思うけど・・・」


 「分かりました!お気を付けて・・・」


 「ロザリーヌッッ!!ハイヤッ!!」


 ロザリーヌの名前で少し笑ってしまった。今度落ち着けば名前の由来を聞いてみたい。



 村に着いた俺達は驚愕した・・・・。


 "キャハッ♪剣城っち♪喜んでくれる?あーしの眷族だよぉ♪"


 "何なんだ!?何でこんなに馬が居るんだよ!?"


 "え?あーしの眷族だけど?"


 いや真顔で言われても・・・。いやいや、真顔かどうかは分からないが・・・これは・・・。


 「おふっ!松風も楽しいか!こんなに馬が居る事なんかそうそう無いもんな!!」


 さっきのトランシーバーでの断末魔の叫びは、何なんだよ・・・。


 「小川さん悪いけど、ゆきさんに何でも無いって伝えてくれます?」


 「そうですな・・・ワシが伝えておきましょう」


 ノアが言ったのはノアが1人?1頭?で出掛けた時に見つけた馬だと。全員眷族にしているとも。


 「剣城様?よろしいでしょうか?」


 「はい。えっと貴方は確か神保さんでしたよね?」


 「いえ、神保はあっちです。ワイは高峰です」


 あちゃ〜・・・ドヤ顔で神保さんでしたよね?とか聞いて間違えたじゃねーか!恥ずかしいじゃねーか!


 「すいません。高峰さん?どうされました?」


 「いえ、太郎左衛門殿と今、ワテが馬の世話をさせてもらってます。ですが剣城様の愛馬のような飯で良いのか、と思いまして・・・」


 「わざわざすいません。今はオレも頭がこんがらがっています。少しお待ちを」


 ノアに聞くと他の馬は元々野生だった為『美味い草を所望する』だそうな。まあ俺が出した馬用の餌だな。それを与えるように言った。


 「悪いのですが正直、オレは馬の事そこまで分からないから、丸投げですが大丈夫ですか?必要な物は言って下さい」


 「はっ。馬の振り分けはどういたしましょう?」


 "ノア?全部でどのくらい居るの?"


 "あーしには8000人の部下が居る!!!"


 "いや、今はそういうのいいから。真面目に聞いてるんだよ。維持するのも大変なんだから"


 "ごめん・・・。あーし怒られた・・・。全部で120人くらいは居るかな?けど皆いい子だよ♪あーしと児玉さんのお家を少し大きくしてくれるだけでいいから、怒らないで・・・"


 いやノアよ・・・別に怒ってないよ?けどその話し方、人間の姿で聞きたかったよ・・・。健気に聞こえるじゃん。


 "分かった。俺の仲間に一番の仕事と言っておくよ"


 "キャハッ♪ありがとう!あの剛力って人間と一蔵って人間でしょ?『今のお家快適だよ』って言ってね!"


 "分かったよ。よく名前覚えたな?"


 "ここは神界に居る頃よりずぅ〜っと気分良いよ♪追いかけ回されないし、捕まえられないし、皆優しいし、走ってて楽しいよ♪剣城っち?こんな環境にしてくれてありがとうね♪"


 "こっちこそありがとう。これからもお願いね"


 "キャハッ♪"


 ガジガジガジガジガジガジガジガジ


 いやいや、最後の強噛みが無ければ最高だったじゃん!?何で強噛みするんだよ!?


 「ははは!剣城様はノア嬢と相思相愛ですな?それでどうしましょう?」


 「少し待って下さいね。剛力君!居る?野田さんも!」


 「「はっ!ここに」」


 「いや、やっぱ忍者だな!動きが分からなかったよ。ノア嬢が快適な家ありがとうだって!それで少し拡張してほしいそうなんだけど、岐阜城の事もあると思うけど、先にこっちをしてくれる?」


 「はっ。俺にかかれば1日あれば出来ます」


 「ほう。剛力は1日と言うか。剣城様?某なら半日で出来ます」


 「なっ・・・・いいえ、間違えました。俺は3時間あれば・・・」


 何でこの二人が張り合ってるんだよ!?仲良かっただろ!?


 「がははは!一蔵や他の者も自分の馬が欲しいのですぞ!」


 「え?そんなに馬が欲しいの?」


 2人とも無言で頷いた。


 「まっ、甲賀では騎乗できるのは憧れでしたからな。分からんでもないですぞ!ワシもこのロザリーヌと出会ってから、毎日朝からロザリーヌの身体を拭き、共に飯を食い過ごす!」


 そこまで、馬に憧れがあるのか。でも700人近く居る皆に馬は無理だよ。武田騎馬軍団ならぬ、織田騎馬軍団になっちまうよ。いや待てよ!?馬の輸出も考えられるよな!?いや、さすがに眷族だから無理か。


 「とにかく、すぐにこの馬は誰のとか決めるつもりはないから。ただ、もし馬の振り分けを考えるなら、最初にこの村に来てくれた人達からと思ってるから、それでいいかな?」


 「はっ。楽しみにしております!では作業に入ります」


 「ごめん!よろしくね!」


 早く岐阜に皆と引っ越したいのに、明らかに大工する人が少なすぎる・・・。もっと剛力君達の下に人を回そう。


 「おーう!帰った・・・・何じゃこりゃ!?」


 「あっ!八兵衛村長!丁度良い時に!」


 「こんなに沢山の馬どうしたんだ!?」


 俺はノアの事を言い、俺もこの事をさっき知ったと伝えた。それと、暫くすると俺達は岐阜に引っ越すとも言った。


 「ならこの村・・・村とは言えないくらい発展はしておるが、人が少なくなるのか?」


 「いえ、全員はさすがに無理なのでそうですね・・・。200名くらいはこの村に居てもらおうか、と思っております。幸いな事に甲賀の人達も全員が全員、戦に参加したい訳じゃなさそうなので」


 倉治家や岩根家、中山家の人達は高齢の人が多いので、無理に戦働きはしなくてもいい。と言えば進んで他の事をする、と言ってくれた人達だ。折角出したジオラマ街は、もう場所替えできないのでこの人達に住んでもらい、この村の警備もお願いしようと思っている。


 色々言っても結局はこの村が一番大事だし、盗まれてしまってはダメな物もかなりあるからな。後は金剛君が浅井さんの所から帰るのを待って、家康さんの綿を使い、試作の布団でも作ってもらうか!それを倉治さんとかに店を作ってもらい、売りに出せばいいな!


 考える事はいっぱいだ。やりたい事もいっぱいある!清洲と岐阜をアスファルトで結んだりもしたいな!ノアに監督してもらって、奥州に負けないくらいの馬の生産だって、してみたいよな!食肉も早く考えよう。

 


 

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