いい感じだったのに・・・・

 結局、明るくなっても眠くはならなかったのでオレは家に戻り、夢の中?で会った農業神様からのプレゼントを確認した。


 1日寝てたらしいからな。いくらあっても時間が足りないくらいなのに・・・。


 《初心者でも始められる漁業のススメ》


効能・・・・養殖業から囲み漁、延縄漁法まで近代の漁業に関する事が記される本。漁業神、海神監修。習熟度大幅up。



 《和食、洋食、中華レシピ本》


効能・・・・通常のレシピ本とは違い、冠婚葬祭や祝い事などに出される料理の事が書かれている。天界5つ星ホテル、全知全能ホテル、総括料理長監修。習熟度up。



 《初心者でも始められる農業のススメ》


効能・・・・田植えからハウス栽培まで、近代農業に関する事が記される本。農業神監修。習熟度大幅up。



 《神様印 戦の全て》


効能・・・・戦神が監修した、かつての神々の戦いから現代までの戦いの形。陣形から装備まで事細かく記される本。習熟度大幅up。



 《手織り機、編み機×5》


効能・・・・芸術神監修の木製織り&編み機。着物からtシャツまで作れる簡単構造。説明書付き。習熟度up。



 《各種、コマツナギの種》


効能・・・・衣服の染料に使える植物の種。病気に強い。



 《塩田の全て》


効能・・・・男の夢、塩職人。その塩職人になれるまでのプロセスが書かれている本。海神監修。習熟度大幅up。



 これまた色々プレゼントしてくれたな!?本当に的確な本だな。よし!これを主要な人に見てもらおうか!おっ!?何かバナーが出てきたぞ!?


 【新たな本の始まり。サブスクリプション】


・色々なジャンルの本が、30日一回10冊定期購入できるお得なサービス。検索履歴にて貴方の好みに合わせた本を、神界一優秀なAIにて自動判別!月額¥10000



 これいいな!1万円くらいなら何とかなるだろう!ファッション雑誌とか増えれば、暇潰しくらいになるだろうし図書館も作れるな!購入しよう!


 オレはバナーをクリックすると、クレジットから1万円が引かれ、ありがとうございましたと表示がされ、お届け先の項目にはオレが居る部屋の画像が出てきたので、訳が分からないがとりあえず【はい】を押した。


 何も変化は・・・無いな。まっ、一ヶ月後に届くだろう。何かあればヘルプだな!


 その後、勉強を兼ねて戦神様監修の戦の全てをオレは読み始めた。この本も見た事がない文字だったが何故か書いてる事が理解でき、あたかも自分が体験したかの様な感じになった。


 習熟度upとはこの様な感じになるのか。確かにこれなら、熱中してしまうのが分からないでもないな。


 オレは明るくなるまでの3時間程、この本を読んだが・・・。このギガントマキアの戦いとか、もろ神話の戦じゃん!?


 一人ノリツッコミをしながら人間の戦いまで読み終えた。


 「魚鱗、鶴翼、雁行、彎月、鋒矢、衡軛、長蛇、方円・・・これは和名なのか・・・。これを八陣図で基本と・・・」


 「おはようございます。お加減いかがですか?」


 「あっ、ゆきさんおはようございます!結局眠れなくて起きてたんだよ。昨日はありがとうね?もう完璧に大丈夫だから!」


 「それは良かったでございます。それと・・・先程、大野様から搾りたての牛乳だそうです」


 「大野さん、搾り方よく分かったね!?」


 「なんでも、以前技で出したレシピ本に少し乳牛の事が書かれていて、真似したらしいですよ。一応、煮沸消毒はしたみたいです」


 「うん。ありがとう。いただきます・・・。美味ッ!牛乳ってこんなに美味かったっけ!?ゆきさんも飲んでみて?」


 「え!?よろしいのですか!?では、グラスを・・・」


 「いや、オレのでいいなら半分残したから飲んでいいよ!」


 「え!?・・・・いた、いただきます!・・・美味しい・・・」


 「これは未来でもかなり体に良い飲み物なんだよ?あの児玉さんって牛には頑張ってもらわないとね!」


 「剣城様・・・・。本当に目が覚めて良かったです・・・。あのまま目を覚さなければ私は・・・私は・・・」


 「あの意識が無かった時、夢を見たんだ。鈴ちゃん達が一生懸命オレを処置してくれて、ゆきさんがオレの手を握ってくれてたのを天井から見てたんだ」


 「それは・・・一度死んだって事ですか!?」


 「それは分からないけど、その夢の中で自分が死にそうな筈なのに、オレは何故かゆきさんに申し訳なく思ってしまってね・・・。ゆきさんは本当にオレなんかでいいの?」


 「・・・・・・・・・」


 いや何で無言!?まさか本当はオレは嫌です!とかじゃないよな!?


 「私・・・・剣城様じゃないとダメなんです!!」


 キタコレ!!!ヤバイ!女に慣れてないせいかドキドキしだしたぞ!?落ち着け!落ち着け!賢者モードになるんだ!温泉のサウナを思い出せ!家康さんを思い出せ!


 「剣城様ぁ・・・・」


 ゆきさんが目を閉じて唇をこっちに・・・これはキスか!?キスなのか!?牛乳飲んだ後だから息臭くないか!?大丈夫か!?もういい!キスするぞ!


 【お届け物で〜す!】


 はっ!?めっちゃいい感じの時に何してくれてんだよ!?


 「も、申し訳ありません!」


 「いや、ゆきさん?オレの方こそごめん。ちゃんと結納してから・・・」


 そう。この時代、身分のある人の婚前交渉は御法度と、お菊さんに聞いたんだ。特にお菊さんは厳しく、いくら男の剣城様でも許しません!とキツく言われたんだった・・・。


 「はい・・・。けど私・・・剣城様となら・・・」


 おい!?これはあれか!?試されてるのか!?こんな事言われたら我慢できないだろ!?この時代に来てのっぺら女の春画で我慢してるんだぞ!?


 「剣城様、ゆき?おは──」


 「剣城様!!御免ッ!!!(バチンッ!!!)何してるんですか!?」


 「痛ッ!お、お、お菊さん・・・。おはようございます!これは・・・ハグしてただけです!!!」


 「なりません!殿方は朝は元気が良いと言われてるではありませんか!?なりません!」


 お菊さん・・・厳し過ぎだろ!?


 「すいません。気を付けます。それとそこにある10冊の本は野田さんに言って、図書館作ってもらって誰でも読めるようにお願いします」


 「話を逸らさないで下さい!ゆきも!少し護衛を任せればすぐにこんな事に・・・・」


 回避失敗です。どうもありがとうございました。



 その悶々とした気持ちを落ち着かせながら、大野さんの元に向かう。


 「大野さん?今朝の牛乳、ありがとうございました!美味しかったです!これ新しいレシピ本です。どうぞ」


 「いやいやなんのなんの!某も初めて飲みましたが癖になりますな!?ははは!乳を搾るのは初めてでしたが児玉殿が賢い為、搾りやすかったですぞ」


 え?あの牛さんは賢いのか!?


 「ははは!これからもお願いしますね!確か・・・同じ北山の岩室さんを付けたと思うのですが・・・」


 「あぁ、そうですな。岩室も中々に包丁捌きが達者な奴でしてな?野鳥なんかを捌くのが早かったですな!」


 「おう!次郎左衛門!あっ、申し訳ございませぬ。剣城様、おはようございます」


 「いやいやそのままでいいですよ!おはようございます。これから食の事、よろしくお願いしますね?この書物をまずはお読み下さい。後は大野さんに聞いて下さいね?できれば朝飯はここで食べたいな、と思っております」


 「はっ。誠心誠意励みます。それと同じ甲賀の・・・」


 「その話はもう大丈夫ですよ!皆が皆と思ってませんし、できれば皆を疑いながら過ごしたくないですからね。ある程度料理に慣れたら、配下の方を岐阜に派遣して、あちらでも店を出せたらなと思ってます。その方向でお願い致します」


 「折角ですから朝飯食べますか?どうも卵焼きなる物に某はハマってしまいましてな!?砂糖を混ぜると甘く美味い卵焼きだと思うのですが・・・」


 また甘い物かよ!?普通の醤油だけでいいんだけど!?


 「大野さん!オレは甘い卵焼きは嫌いかも・・・」


 「はっ。申し訳ございません。以後気を付けます」


 「とりあえず普通のお願いします。お腹空きました」


 

 「どうぞ。米と卵焼きですが未来では朝飯の定番らしいですな!?」


 「これまた美味ッ!ゆきさんも作ってもらいな?かなり美味いよ!」


 「奥方殿も今お出ししますので」


 「美味しい・・・。大野様!本当に美味しゅうございます!」


 「ははは!これからどんどん増やしていきますので、いつでもお越し下さい!」


 よし、今日は渡せる物、皆に渡して慶次さんと警備の確認しようか。

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