倉庫補填

【アップデート完了致しました】


 無機質な声が頭の中に響き、オレは目が覚めた。横にお菊さん、ゆきさん、出入り口に金剛君が座り眠っていた。


 色々夢を見ていた様な気がするけど何だろう・・・。そういえば農業神様が何か言ってた様な・・・。未来は変わるだっけか?なんかあれは農業神様ではないような気もする・・・。とりあえず皆に挨拶を・・・。


 「ゆきさん?お菊さん?金剛君?おはよう」


 「「「剣城様!!」」」


 「剣城様、起きましたか!?」


 いや鈴ちゃん!?どこから現れた!?居なかっただろう!?


 オレはどうやら1日寝っぱなしだったらしい。今は倒れてから二日目の夜半みたいだった。鈴ちゃんが色々教えてくれた。新たに来た人達の中に不届者が居たと。


 やっぱあれは夢じゃなく、本当の事だったんだ・・・。


 「今何時かな?」


 「剣城様が分かる時間で言えば・・・2時くらいでしょうか」


 「げっ!?夜中か・・・。さすがにもう寝れないな。起きておこう。顛末、聞いていいかな?」


 それからオレが本当に意識が無くなってる時の事を聞いた。剛力君が急いで作った牢屋に大河原って人を入れてる事。


 国友さん、芳兵衛君が血相を変えお見舞いに来て、どのような作りにしたか分からないが、内側に針が付いてるような牢屋らしい。国友スペシャルとも言っていたそうだ。


 それと村の人達も大河原って人の拷問?をすると言って、諌めるのに大変だったと。新たに来た人達の為に、沢彦さんを呼んでいた事が功を奏して、民の人達を宥めてくれた。


 ただ、沢彦さんも過激な発言があったようで『真の呪詛を掛けてやろう』とか言っていたらしい。『拙僧がかすていらを食べれなくなれば、お主は二度と輪廻転生が出来ぬ様に呪いを掛けてやる』とか言ってたらしい。


 結局食い物かよ!?とオレは思う。やはり食は日常。大事な事だ。


 「剣城様、どうぞ。お粥です」


 「ゆきさんありがとう・・・。美味いね」


 「とりあえず、体の毒素は抜けたと思いますが無理をしないように。できれば今ここで技の飲み物を飲んでください」


 「鈴ちゃんもありがとう。ちょっとオレは倉庫に向かうよ。ちゃんとそこで飲むから。色々補填しておくから」


 「着いていきます」「私も着いて参ります」


 「一人で大丈夫だから。皆は休んでいていいよ」


 「いや、そういう訳には──」


 「大丈夫だから」


 「分かりました」


 オレは一人になりたかった。村のオレの家の6件隣の倉庫というか蔵だ。


 どれどれ?いや、あれだけあった日本酒やらビールが全然無くなってるな!?こっちの戸棚の薬は・・・いや、薬もあまり無いな。


 《業務用小麦×50》


 《麦茶パック×10》


 《緑茶パック×10》


 《オレンジジュース2ℓ×20》


 《サイダー2ℓ×20》


 《リンスインシャンプー×300》


 《石鹸×300》


 《歯磨きセット×300》


 《汗拭きタオル10ダース》


 《ノート筆記用具セット×200》


 《ビール1ケース×30》


 《日本酒一升×100》


 《大容量清酒4ℓ×100》


 《ウイスキー700ml×50》


 《コーラ2ℓ×50》

 

 《業務用醤油×30》


 《業務用味噌×30》


 《業務用料理酒×30》


 《業務用塩30kg×30》


 《業務用砂糖30kg×30》


 《神様印 切り傷軟膏×10》


 《神様印 皮膚再生軟膏×10》


 《神様印 栄養ドリンク×100》


 《神様印 止血剤軟膏×10》


 《神様印 麻酔軟膏×10》


 《神様印 金色ニワトリ鶏糞肥料》


 《板チョコ×100》


 《チョコシュー×100》


 《クッキー詰め合わせ×100》


 《ポテチ×100》


 《缶詰各種×200》


 《緊急用レトルト食品各種×200》


 《贈答用クッキー詰め合わせ×20》


 《贈答用 焼酎×10》


 《贈答用6缶パックビール×30》


 

 よし!とりあえずこれだけ買えばいいかな?値段が・・・・500万少々か・・・。また随分と金が減ったな。また草とか石とか探そうかな?


 うん?こんな所にスイッチなんかあったか?

ポチッとな?


 ブォォォォ─────ン。


 何だ!?何だ!?そういえばジオラマもアップデートするとか言ってた様な気がするけど・・・。


 音が鳴った後、蔵の足元に床下収納の様な取っ手がある事に気付いた。それとどこからともなく蔵の中が冷たい様な気がする。


 こんな物あったかな?空けてみるか。よいしょ・・・うん!?冷たい!?霜がある・・・。冷凍庫か!?どういう原理なんだ!?分からん!!

農業神様!!私は貴方に一生付いて参ります!かなり嬉しいです!!


 また岐阜で追々、硝石氷は試すとしてこれはこれで良いな!ついでにアイスとかも補填しておこうかな!冷凍食品もいいな!


 《バニラアイス×20》


 《チョコアイス×20》


 《抹茶アイス×20》


 《肉巻きポテト一袋×10》


 《ミートボール一袋×10》


 《焼きおにぎり一袋×10》


 《チーズササミ一袋×10》


 《唐揚げ一袋×10》


 《坦々麺×10》


 《チャーハン一袋×10》


 《冷凍海老一パック×10》


 《牛、豚 バラ肉各一パック×50》


 買った買った。また散財してしまった・・・。追加で70万も使ってしまったな・・・。いつもオレは金が貯まんねーな!?えっとどれも効能が同じだが・・・。


 (株)天照物産の新製法【無双三段】。この製法は常温40分で温かい物は温かく、冷たい物は冷気が逃げにくい、当社のみが使用できる製法を使用している。神界特許庁に出願中。


 何だ!?何だ!?凄い技術だな!?冷たい物が常温に戻るのじゃなく温かくなるのか!?素晴らしいぞ!!その製法の名前・・・【無双三段】とな!?カッコイイぞ!?

これで肉のストックも出来て、好きな時に肉が食べられるぞ!


 補填の方はこれで良しだな。次は大河原さんって人の所に行くか・・・。牢屋・・・牢屋は・・・。


 牢屋は村の端っこ、慶次さんの家の横にあった。うん。かなり禍々しいトゲトゲの床だけで他は鉄の箱型の牢屋だった。あんなに鉄を使うのは勿体ないな。


 「き、貴様は!!!?」


 「夜中にすいませんね?なんでもオレを殺そうとしたとか?随分と殴られてるみたいですね。腕も変な方向に曲がって痛くないですか?」


 「我は何も言う事はない!殺せ!」


 「正直、貴方にそこまで怒りは無いんですよね。なんなら治してあげてもいいかな?とすら思うんですよ」


 「ふん。変わった男だ。このような怪我が治る筈がなかろう。腕は使い物にならんだろう。意識も徐々にだが遠くなってきておる」


 「ところが私なら治せるんですよね。まあ、怒りは無くてもあの女ともう一人、諭吉さんの家に火を点けた男は許せないですがね」


 「何故、我は許せると?」


 「倒れてから夢を見てましてね。火事も最小限で食い止めてくれてるみたいですし。貴方が火を点けた所は、消火のしやすい井戸の近くだったでしょう?明らかに人が居ない所に点けてましたよね?」


 「何故それを知っている?それにそれはたまたまだ!」


 「だから夢を見たと言ったでしょう?火を点けた場所は意図的にだと思っています。何か考えがあるなら、私は本当に貴方を放逐しても良いかと思っています。さっき言った諭吉さんの家・・・。あそこには子供が3人も居るんですよ。まあ、私の配下は優秀なので怪我すら無いと思いますがね」


 「全幅の信頼をしてるのだな。甲賀者に」


 「当たり前ですよ。私が面倒見るって約束で来てもらいましたからね。それで・・・あまり話して皆を起こしたくないんです。どうします?」


 「こちらから我が君の声がする!!」


 「何!?剣城様の目が覚めたと!?」


 あぁ〜あ、皆気付いてしまったじゃん。


 「そこに居られるは・・・我が君ぃぃぃぃ!!!!!」


 "キャハッ♪剣城っち♪ノア頑張ったんだよ?褒めて?ねぇ褒めて?"


 ガジガジガジガジガジガジガジガジ。


 いやノア嬢さん?捕まえてくれたのは嬉しいし褒めてあげたいけど、強噛みは違うんじゃないすか!?病み上がりで涎まみれは嫌っすよ!?


 「剣城はどうかしてるぞ?許すだって?」


 「慶次さん、ありがとうございます。聞いてたんですか?」


 「当たり前だ。隣の家に居たんだからな」


 まああんな声で喋れば聞こえるよな。


 「殿!ご無事で何よりでございまする。この小七郎、大七郎、殿が彼岸に旅立つならお供させていただく所存でしたが、誠にご無事で何よりでございます」


 「いや追ってこなくてもいいですからね!?」


 「「「剣城様!!!!!」」」


 「皆静かに!村の人達も起きてしまいます!オレは無事なので!」


 「剣城!無事だったか!!!」


 「権助さん!すいません、起こしてしまいましたね」


 「これだけ人が集まれば起きるさ。倒れたと聞いた時はさすがに焦ったぞ?」


 「鈴ちゃん達のお陰ですよ・・・。諭吉さん・・・すいません!家は新築4LDKを用意するんで許して下さい!」


 「よんえる!?何だ!?いやそんな事は構わねーんだが・・・体の方は大丈夫なのか?」


 「大丈夫も大丈夫!以前より調子いいくらいですよ!ただ、家は明日にでもすぐに建て直しますので!!」


 「いや案外、げるてんとも悪くはないぞい?金剛様に用意していただいたのだ」


 いや、何で金剛君は様付けでオレは呼び捨てなんだよ!?


 「この人の処遇、任せてもらっていいですか?」


 「あぁ。剣城に任す。オレは寝るぞ!おい!たま!帰るぞ」


 「これどうぞ。剣城様の悪病が去るように彫った物です」


 「あっ、わざわざありがとうございます!このお陰で治りました!たまさん?すいませんでした!」


 「新しい家・・・・。期待しています」


 たまさん・・・。家を期待しているか・・・。女は怖い・・・。けどお守りまで作ってくれるか・・・。案外嬉しいかも。ちゃんとミニチュア農業神様みたいだしな。


 「この際、ここで言います。異論はあるかと思いますが、この大河原さんは許したいと思う。後の二人は絶対に許さないけど。皆の意見は?」


 「剣城は時折り強い言霊を使うな。それでこそ統率できるもんだ。オレは剣城に任す」


 「我が君の思い通りに」


 「ワシはこの手で捻り潰したいくらいだが任せます」


 別に普通に聞いたつもりだけどな。何でだろうな。この大河原さんって人は、今後重要な人の様な気がするんだよな。虫の知らせってやつかな?オレを殺そうとしたけど、あまり脅威にも思わないんだよな。


 概ねオレに賛同するか。


 「剣城殿・・・・」


 「望月さん?消火活動、頑張ってくれたみたいですね?ありがとうございます!ってか、凄い寝巻きですね!?ジャージは不便ですか?」


 「と、殿!それは違います!」


 「おい?望月頭領?つまらん事は考えるな」


 うん?寝巻きじゃないの?白装束・・・切腹?何で望月さんが切腹すんの!?


 「まさか切腹ですか?」


 「甲賀を纏めきれなかった某が、他の者の潔白を晴らします」


 いやいやいや!!貴方は何も関係ない事知ってるから!何で皆死にたがりなんだよ!?皆、太田さんの血が混ざってるのか!?


 「これもこの際だから言います。あっ、まずは短刀預かります。オレの許可なく切腹禁止!てか、切腹は余程の事がない限り禁止!勝手に死ぬ事も禁止!死ぬなら畳の上で往生して!」


 「な?望月頭領?言っただろう?剣城はこんな奴だ!つまらん事考える暇あるなら、どう失敗を挽回するかだ!」


 「クハハハハ!確かに面白い男だな?我もつまらん六角に忠節なんぞ貫くんじゃなかったな。芝田殿?此度の事はすまぬ。我は処刑で結構。他の者は関係なし。どうかこの首──」


 「いやだから今言ったじゃん!?処刑も切腹もオレは嫌いなの!なんならグロいの苦手なの!そりゃ少しはこの時代に来て慣れはしたけど、無理なもんは無理!」


 「この時代?な、何を言っておられるか!?」


 「とりあえず望月さんは今まで通り、まずは生活に慣れて・・・いや、罰として珍しい草とか石とか持ってきて下さい!それで許します!」


 「く、草とか石でしょうか!?」


 「はい。この大河原さんは望月さん預かりにします。良いですね?」


 「しゃーねーなー!望月頭領?ちゃんと頼むぜ?それに初任務、石集めと草集め頑張ってくれよ?」


 「鈴ちゃん?倉庫に補填してるから例のドリンクを」


 「・・・・・・」


 「鈴ちゃん!?」


 「しゃーですよ?」


 しゃー!?しゃー!?とはしゃーなしのしゃーか!?どこで覚えたんだよ!?


 「本当は私も許したくないのですが、剣城様が言うなら仕方ありません」


 「よっ!奥方がそう言うならしゃーねーな!がははは!」


 なんとなくオレはカッコつけようと思い、プロミネンス剣に頭で話し掛ける。


 "えっと・・・言葉分かります?"


 "面白い男だね?分かるさね。どうしたんだい?"


 "あの男が入ってる鉄なんだけど斬れる?"


 "他愛ない。私を誰だと思ってるんだい?"


 いや、名前も聞いた事ないっす。存じ上げませんです。


 "分かりました。頼みますね"


 "あいよ!"


 オレは静かにプロミネンス剣を抜き素早く横に薙ぎ払いをした。


 ジャキィィィィィーーーーンッ!!!


 「「「「「おぉぉぉぉぉーーー!!!!」」」」」


 「次はさすがに無いと願うけど、もし同じ事すれば次は無いですよ?死ぬ事より辛い事、生き地獄を見せますからね?大河原さん?」


 「・・・・・・・・・・」


 あれ!?めっちゃ決まったと思うんだけど!?何故に無言!?


 「大河原さん?」


 「は、は、は、はいっ!!き、肝に銘じてお、おきます!」


 「がははは!我が君は病み上がりだというのにやりますな!?鉄を斬りますか!ワシもまだまだ精進せねばなりますまい!」


 いや貴方はもう化け物の域に達してると思うよ!?なんて言ってもスーパー爺さんだろ!?強弓すら貫通しなかったんだろ!?

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