俺が産まれた森は無くなった・・・亡くなった・・・

 次の日の朝。早速、柴田さん木下さんと村に向かった。勿論、柴田さんの白馬に乗って柴田さんの温もりを感じながら。

 とりあえず分かった事・・・。木下さん柴田さんマジで仲悪過ぎ!!朝の挨拶以降、全く会話が無いんだが!!!その嫌な空気の中、村に到着した。


 「柴田様、それに剣城!後もう一方は・・・・」


 「あー、ワシは木下藤吉郎。お館様の家臣の1人じゃ。ワシは"農民上がり"なんでそんな畏まらなくて構わんぞ」


 木下さんもわざと農民のところを強調して言ったな。現に八兵衛村長の表情が柔らかくなったな。本当に上手いな。


 「うむ。村長よ。今日からワシ、剣城、木下殿と3人で村を管理する事になった。それと徐々にだが人数も増やしていく方針だ。ワシは村近辺の警護を担当しようと思うが、人手と農作業は木下殿に任せても良いか?」


 「へへぇ〜。我々は誰が管理しましょうが言われた事はちゃんとやります」


 「あっ!!そうだ!!柴田様、この八兵衛村長の子供さんが将来信長様に仕えたいと色々稽古してるみたいなのですが所詮子供の我流なので手が空いてる時だけ子供さんの稽古を見てあげては如何ですか?」


 「いやいや!剣城!何を言っておるか!!柴田様、すいません。ワシら農民の子供なんか見なくても・・・」


 「良かろう。2、3日だが剣城には世話になった。それと例の件のお礼もある。ワシが暫くは面倒見てやろう」


 そこから暫く、柴田さんと村長の問答があったが子供達が現れて『本物の侍だ!』とか『ヒゲがかっちょいい!』『おっちゃんの刀カッコイイ!!』とか言われ柴田さんは上機嫌になり林の方に向かって行った。

 意外にも子供好きなのかな?見かけは熊そっくりなのに接し方が上手いな。柴田さんの意外な一面も見れたな。


 「剣城よ、済まんな。ワシの子供の事で・・・」


 「別に構いませんよ!それに稽古してくれるのは柴田さんなので。では早速、昨日植えたのを見せてもらえますか?」


 「それが・・・その・・・」


 村長が言うには植えた作物全てが実りに実りまくって畑だけに限らず林近くのとこにまで、見たことない作物が伸びまくって、とりあえずどこが可食部分か分からないが実の部分だけ刈り取って村唯一の蔵に入れてるらしい。



 とりあえず蔵に案内してもらったら・・・・・。



 「剣城ぃぃー!!村長ぉぉぉー!!何じゃこりゃ!!!」


 木下さん、めっちゃ興奮してる件について。


 いや、オレもかなりビックリしてるけど人間ビックリを通り越したら冷静になれるってのは本当だった。


 「剣城よ。実の摘み方はこれで合っていたか?というか織田の殿様には悪いと思ったがあの赤色の小さな実は、それはもう歩く踏み場が無くなるくらい実ったもんで村の人間と食べたのだが皆感動してしまってな。勘助の婆さんなんか食べて涙流してたぞ」


 「とととりあえず!!自分もこんなに実るとは思ってなくてビック・・・驚いてます!木下さんも落ち着いて!

 これからこの村はこんな感じになっていくと思います!これを見ても驚かない人手を集めてもらえますか?それと八兵衛村長、包丁を貸してもらえますか?」


 八兵衛村長は家に行き包丁を持ってきてくれた。木下さんは放心状態になっていた。


 とりあえず蔵いっぱいになってる、というか蔵の横にも木の上に無造作にイチゴが置かれてるがそのイチゴを寄せて、バナナ、パイナップル、みかん、バナナを一つずつ皮を剥いて木下さんと八兵衛村長に食べさせた。


 「ぬぅあぁんだぁ!!!この食い物は!!ワシも畑の事はそれなりに知っておるがこんな物見た事ない!それになんともまぁ水々しくて甘い食い物なんじゃ!!!このみかん、ワシが前に食ったのより断然甘い!それとこの小さい赤色の物も甘いぞ!!!」


 そんなに騒ぐほど美味いか?言うて、イチゴ、みかん、パイナップル、バナナだろ!?そう思いオレも一つ食べてみた。


 「あっま!!!めっちゃ甘っ!!!!これ糖度高過ぎだろ!!!!」


 「何故、剣城が焦っておるのじゃ?剣城が植えさせたんじゃないのか?」


 いや八兵衛村長、冷静にツッコまないで頂きたく候。


 「いや、すいません。自分が知ってる果物より甘さが強くて少々取り乱しました」


 あの常世の長鳴き鳥の子孫のうんこ・・・いやウンコ様と言おうか。あのニワトリのウンコ様の鶏糞肥料凄過ぎだろ!!農業神バンザイ!!!


 それからオレ達は八兵衛村長ら村の人が見ても分からないという竹に似たのが生えてきてると言うので裏の林の方に向かった。

 多分サトウキビかな!?なんとか、ここから砂糖を精製できれば農民にも甘味が流行るかも!?

 皆の笑顔の為に頑張るぞ!!!林に着いたら・・・えっと、ここは日本ですか?

 オレが産まれたタイムスリップした林は・・・・森を通り越して原型を留めてないくらいジャングルになっていました。

 小鳥の囀りが聞こえてもおかしくないメルヘンチックでカラフルなジャングルになってました。
















 所変わって天界。



 ピコンっ!神格が上がりました。


 「うをっ!!!これは久しく聞いてない我が父の世界の声。そして1億2000年振りに神格が上がったぞ!!これで私も我が父に近くなって権能が使える!!父よ!!我が父よ!!!」


 「農業神め、やっと神格が上がりよったか。随分長かったの。のう?商業神よ」


 「そうだな。戦神よ。まだ俺らみたいに権能は少ないが我ら皆兄弟。これからも父に尽くそうぞ。だが何故いきなり神格が上がったのじゃろうな?」


 「さぁ?ここ最近の時間軸で飢饉なぞ起きておらんぞ?・・・・・何か一つ見れない時間軸があるぞ」


 「真だな。確かに見れない時間軸がある。それも我が父しか見れんようになっておる。これは怪しいのう」


 「これは我が父の思惑が働いてるに違いないぞ。のう?そう思わんか?商業神よ」


 「ふぉふぉふぉ。流石、分かっておるな?戦神よ」


 「とりあえず、農業神を祝ってやるか」

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