むしろ、我々の業界ではご褒美です

 「市か。おぬしも此奴考案の飯を食いに来たのか?」


 やっぱりお市さんだったか。


 「いえ。兄上様と義姉様の姿を見るだけでお腹一杯でございまする」


 かぁ〜っ!!!!!兄弟で相思相愛か!?ぺっ!!!


 「そう言うてもだな?市も食べてみよ。ほれ?」


 お前らは恋人か!?信長が妹に『あーん』してるよ!!森さんにはケーキ一口しかあげなかった癖に、お肉山盛り食わせてるよ!!信長よ?妹に甘過ぎるぜ・・・・。


 「兄上!!!これはなんとも美味!!!妾もご相伴に預かってよろしいでしょうか?」


 「ほんに、お市は面白い女子(おなご)よな。それでこそ妾の義妹じゃ。カエ・・・剣城!お市殿が夕餉を所望じゃ!持って参れ」


 「お濃、ワシの家臣じゃ。ワシが命ずる。今すぐワシのおかわりと市の夕餉を持って参れ」


 糞がっ!!!!オレはパシリか!しかも未だにカエルと間違えそうになりやがって!!!!クソビッチ我が儘が!!!


 「かしこまりました。すぐにお持ちします」


 台所に着いてもう一膳と信長のおかわりをよそっていると伊右衛門さん達が『ワシらの夜食がぁ・・・』と言っていたがこればっかりはどうしようもない。済まん!!と心の中で呟いた。


 「お待たせしました。信長様、お市様。どうぞ」


 「カエルよ!大儀であった」


 「そうじゃ。ついでに、お濃と市にも甘味を出してやれ。ワシはまだ食べた事ない甘味を所望する」


 はいはい、分かりましたよ!!なんとなく3人に出さんとダメな事くらい知ってましたよ!!!


 《果物たっぷりショートケーキ×2》¥1200


 《生チョコ12ピース》¥2000


 購入した時お市さんは驚いてたがさすが織田家の血が繋がってるのか驚くだけで取り乱したりはしてなかった。


 「この3個で今日は勘弁して下さい。果物が乗ってる方がお市さんと濃姫様で、こちらの生チョコは信長様、どうぞ」


 「チッ、市やお濃の方には見た事ない物が乗ってはおるが、ワシの方はたったこれだけか?それに市やお濃の方が大きいではないか!!」


 おいっ!ケーキより高い生チョコ選んで買ったんだぞ!!!文句言うなよ!!しかも大きさで!!!


 「信長様にお出しした生チョコは果物のケーキより高価でございます。食べたら後悔しないと思いますが・・・」


 「兄上!これは見た目もさる事ながら、大変美味しゅうございます!食べるのが勿体ないくらいでございます!兄上は毎日こんな美味しい物を!?」


 おいおい!お市さん抵抗なくもう食べてるよ。


 「市よ。落ち着いて食べろ。甘味は逃げはせん。それに毎日は食べておらん。ではワシもこのなまちょことやらを・・・貴様!いや、剣城よ。貴様に命ずる!

 これから己が死ぬまでワシに仕えよ。間違ってもこの、なまちょこやらやけーきやらを六角や三好、それに斎藤なんかに食わせるなよ」


 はんっ。どうせ毎日甘味が食べられなくなるのがイヤなだけだろ。間違いなくオレ以外こんなの出せる人居る訳ないしな。


 「兄様!そんな事言わなくてもこの剣城殿は仕えて居るではないですか。あまり家臣を締めつけ過ぎると反発しますよ?適度な距離感が大事なのです」


 おう・・・お市さん急に真面目モードですか・・・。信長に意見できるとは・・・それにギャップ凄過ぎ!そして・・・・マジで可愛過ぎるぞ!!!

 浅井さんと結婚するんだよな!?悲惨な最期になると思うけどマジで羨ましいぞ!!!!オレもお市さんにせがまれたら何でも買ってしまいそうだな。


 「ふん。市に言われんでも分かっておる。それにワシは此奴に約束した事がある。ワシが作る日の本を此奴に見せてやるのじゃ」


 信長さんもカッコイイ事言ってるが右手に生チョコ持って言ったら説得力ね〜ぞ!!!


 「ありがとうございます。信長様が作る日の本を私も楽しみにしております。ではまた何かあればお呼び下さい。失礼します」


 そう言って借りてる部屋に戻った。


 あ〜疲れたぞ!精神的に疲れるな。って、くそう!柴田さんのプレゼント渡すの忘れた!!またあの中に戻るのは・・・・無理だな。後でこっそり側女さんに言って渡してもらうか・・・。

 いや、直接渡さないとダメだな。布団でもプレゼントしてその説明の時にでも一緒に渡そうか・・・。

 あの変なあだ名付けた濃姫さんは普通より少し良い布団にしてやろうか!!なんなら、お市さんにあだ名が伝播してるし。

 それとお市さんは可愛いから最高級布団セットだな!信長様は・・・・新しいの用意しないと絶対文句言ってくるよな・・・。



 《布団セット》¥10000


 《高級布団セット×2》¥180000



 軽く30分くらいは悩んだんじゃないか!?布団も色々あり過ぎるんだよ!効能も色々あり過ぎて買うのに時間が掛かり過ぎる!それにクッソ高い!!

 でもあの高級布団セットの効能も割と良かったよな。その日の疲れが98%取れ、良い夢しか見ない。とか軽いチートだよ!チート!

 オレも少し高いが次の収入源があったらこれを買おうか!


 それから信長さんの寝室に向かい挨拶をして入った。


 「どうしたんだ?また甘味でもくれるのか?」


 おいっ!!また甘味かよ!!どんだけ甘い物好きなんだよ!!!


 「夜更けにすいません、信長様、お市様、濃姫様にも布団を用意しようと思い持って参りました」


 「良い心掛けじゃ。早速出してみよ」


 それから高級布団を出してマットレスを敷いて、めっちゃフワフワなシーツを敷いて凄い優しそうな枕、分厚いのにかなり軽い布団をセットしてあげた。


 「これは・・・・・極楽じゃ!以前は寝るのも惜しいくらい刻が欲しかったが今は寝るのが楽しみじゃ。大儀である。下がって良いぞ」


 「濃姫さんやお市さんにもお渡ししたいのですがお部屋に行ってもよろしいですか?」


 「ん?構わんだろう?貴様がお濃や市に手を出せる程気概がある様には思えん。軽くいなされるだけじゃ」


 「いや、変な事はするつもりは無いですが、夜更けに失礼かと思いまして。ではすぐに持っていきます。失礼します」


 「濃姫様、夜更けにすいません。信長様から許可は貰いました。入ってもよろしいですか?」


 「なに!?殿から許可を貰ったじゃと!?嫌じゃ!殿のお考えがあろうとも妾はお主にだけは抱かれとうない!!嫌じゃ!嫌じゃ!お主に抱かれるくらいなら腹を斬る!!」


 えっ!?いやいやそんなつもりじゃないんだけど!!!オレの言葉足らずも悪いんだがそこまで拒絶せんでもよくない!?切腹するくらいオレを拒絶するのか!?!?


 「すいません、そんなつもりじゃなく夜も安眠できる布団・・・敷物をお渡ししようかと思い持ってきました。信長様にもお渡ししました。でも私の事そこまで拒絶されてると思ってなくすいません。側女様にお渡ししておきますので下に敷いて寝て下さい」


 バタンっ!!!!


 「済まぬ。入れ」


 襖が勢いよく開けられ中を見ると側女さん4人が並んで座っていた。いや、確かに誰も居ないのは可笑しいと思ったんだけど何!?この状況。


 「濃姫様は今酔っておられまする。殿方に失礼があるやもしれませぬ」


 「妾は酔ってなぞおらん!!殿が最近夜に呼んでくれんで・・・・うわぁぁぁぁん」


 おい!あんな毒舌、天上天下唯我独尊さんが酒飲んだら泣き上戸かよ!!!キャラ変わり過ぎだろ!!!


 そこから30分程付き合わされてなんとか側女さんに、布団の説明をして退出した。退出間際に側女さんに『お市様にも布団を渡すので部屋を教えて欲しい』と伝えたら先に退出してお市さんの側女さんを連れてきて案内してくれた。


 「失礼します。夜遅くにすいま・・・・・せん」


 お市さん・・・・。オレ・・・貴方の為なら何でもします!!すっごい綺麗なんだが!!!軽い着物姿が凄く映えるんだが!!!


 「何じゃ!?気色悪い顔を妾に向けるでない!カエルが!」


 むしろ我々の業界ではご褒美です!どうもありがとうございました!


 それから信長さんの時と同じように説明をした。


 「ほんに、よく気が利く家臣じゃ。妾の下男にしてやっても良いぞ?」


 この際下男でも下僕でも何でもなりたいです!むしろこちらからお願いしたいです!!!!!足で踏んづけて下さい!!!!


 「じゃからその気色悪い顔をするでない!いい加減にしないと兄様に言い付けるぞえ!?」


 「あっ、すいません。できれば下男になりたい・・・是非、ならせて頂きたく思いますが、私は信長様の家臣で・・・」


 「ふん。社交辞令じゃ。真に受けるな。それに鼻息も荒くするな」






 ・・・・・・・糞が!!!!!何が『社交辞令じゃ。』だ!!!馬鹿にしやがって!!激安布団にしとけばよかったか!!このビッチが!!!女は魔性だ!!!


 「すいません。真に受けてしまいました。以後気を付けます。後、これは柴田様からの贈り物です。お市様にお渡しするように賜りました。花瓶と花です、どうぞ」


 「これはまた・・・雅な花瓶・・・。妾見た事ないの。・・・・・・正直嬉しいが贈り物ばかり皆から貰って返礼を考えるのが大変なのじゃ。柴田殿には後日返礼すると伝えてくれるか?」


 「はっ。分かりました。明日柴田殿とお仕事がありますので伝えておきます。ではゆっくりお休み下さい。失礼します」



 くそ!!織田の我が儘、ぶりっこ姫はお市さんに決定だな。性格悪過ぎだろ!!貰い物貰って返礼が大変とか思っても人には言うなよ!!!

顔は超超超可愛いし、良い匂いもするのに性格悪過ぎ!!!


 でも・・・・裸足で踏んづけられたい。もっと罵られたい・・・。そうもう1人のオレが囁いている。

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