お菊さんのリクルートスーツ

 「おぉ!剣城殿!お早いご到着で!それにその乗り物は!?」


 「益重様、こんにちわ。これは私の乗り物で──」


 「来たか。疲れただろう?城に上がると良い」


 「「「滝川様・・・・・・」」」


 「!?!?その格好は!?それに皆の者も息災なようでなによりじゃ。何も無いがゆっくり今日は疲れを癒やしてくれ」


 元々、滝川さん配下みたいな感じだったし、久しぶりの再会なんだよな。

 オレは空いてる所に、以前甲賀の人達に渡したプレハブを出して、皆はこの中で寝てもらう事にした。勿論、布団付きでだ。

 実は一度出した大型の物も収納できる事が分かったのだ。タブレットを近付けると収納ボタンが出てくるから、押すと収納された事が以前分かったからだ。ただ間違っても手を置かない事。一度手を翳して収納して出すと重さが急に感じ腕が折れそうになったからだ。目の前に出てくるから、気を付けておけばいいだけなんだが。


 「金剛君!!後方は!?大膳君はどうした!?!?」


 「はっ、後方はもう少ししたら着きます!」


 大膳君は道草食ってるのか!?いやあいつならマジで食ってそうだな。


 その後、オレと直近の配下の者だけ城に入ってくれと言われ、城に案内された。外で見た感じと同じ様に、城の中は殺風景と言えば悪いがまんま殺風景だった。飾り気が無い城もどうかと思うな。


 「剣城様、大膳達後方が着いたようです。なんでも、剣城様が喜びそうな物を見つけたとかなんとかで、遅れたそうです」


 「それをわざわざ今見つけなくてもいいのにな?まあ分かったよ。大膳君に例の缶詰と卵と米を、滝川様に渡すように言ってくれる?明智様はまだ挨拶してないから後で渡すよ」


 「はっ」



 「度々すいません。二つ言う事があります」


 「うん?どうした?」


 「大膳が生きた鳥を捕まえたようで今見てほしいそうです。それと剛力達はこの城の土塁の固め方が弱いようで、地揺れが起こったりすれば危ないとの事で、早急に固めて良いかと」


 「見ただけで分かるんだ?剛力君達工兵は素晴らしいな。滝川さんに許可を貰うから、とりあえず今日は休むように言ってくれる?オレは大膳の元に行くよ」


 そう言いプレハブに向かうと大膳君達と甲賀の人達が5羽の鳥?チャボ?みたいなのを捕まえていた


 「剣城様!この鳥は昔とある任務の時に食した事があるのですが、村で育ててる鳥にも負けないくらい美味いのですよ!」


 「美味い鳥?何て言う名前なの?」


 「いえ、名前は知りませんが数が居ないので、滅多に獲れないんですよ」


 一瞬、名古屋コーチンが頭によぎったが、あれは未来の誰かが品種改良して出来たもんだろ!?と思ったがどうなんだろう。色も茶色く鶏冠の部分が綺麗な真っ赤で、尻尾が黒っぽく見えるが・・・。村にいるニワトリとは違うよな・・・?美味いなら育ててみるか?


 「剛力君、それに青木さん、野田さん。仕事です!空いてる場所に小屋を作り柵を作ってくれますか?」


 「はっ。滝川様の許可は取りましたか?」


 「今から取ります。ダメとは言わないでしょう。大膳君、休憩してからでいいから例の村のニワトリに食べさせて──」


 「持ってきております!こちらです」


 糞!!大膳のくせに準備いいじゃねーか!?仕事はデキる男か!?大膳に負けた感じがして悔しいんだが!?


 「なら後は分かる?繁殖させてみよう。それで上手く繁殖できれば、何羽か村に持って帰って交配させてみよう」


 「ディティールの方は、飛び跳ねて怪我でもしないように例の綿花をクッションに敷き、手摺りの部分は鉋で丸くして、掃除も楽にするようにコンクリート舗装にして、水捌けを……………」


 剛力君はいつそんな事まで覚えたの!?ディティールとか使う人初めて知ったぞ!?どんな鳥小屋作ろうとしてるの!?なんならオレの家より豪華な家建てようとしてるの!!?


 「とりあえず任せるよ。材料は大丈夫なの?」


 「はっ、それは大膳に任せております。現在でも強固な陣を7つ程、作れるくらいには用意しております」


 剛力君も、大膳君には全幅の信頼を寄せてると・・・。それにやる事はやはりちゃんとしてるんだな。なんか悔しい・・・。


 オレは城に戻り俺達を対応してくれる滝川益氏、滝川さんの従兄弟が対応してくれる事になった。


 「益氏様とお呼びして良いか分かりませんが、滝川様にお話がございます。お通ししてもらえませんか?」


 「暫しお待ちを」


 やはり従兄弟だけあるか。言葉少なくオレの事にも無関心て感じだな。


 数分後、声が掛かった。


 「こちらへ」


 「失礼致します」


 「なんか外でわやわやしてる様じゃが、何をしている?」


 オレはさっきの鳥の件を言い、育てる小屋を作りたいのと、この城の土塁の地盤が弱い事を伝えた。


 「正式にまだこの城はワシの城ではないが、地揺れに弱いのは駄目だ。お主に頼むとしよう。それと鳥の件はワシは分からぬ。それも任せよう」


 「何人か私の村から派遣しても良いですか?育てる人が居ないと駄目なので」


 「お主が身元を保障できる者、数名だけ許す」


 「はっ。ありがとうございます。それとこれは差し入れです。大きい米俵や野菜、卵は益重さんにお渡ししました。これは缶詰といって行軍中や戦の時に握りと一緒に食べると良いかと思います」


 「うむ。すまぬ。野田や小川は働いておるか?」


 「はい!大変頑張っております!人手はまだ足りませんが、あの村もまあまあ変わったと自負しております。一度落ち着いたらもっと人を呼びたいくらいです」


 「なに!?この暫くの間でか?もう菊もお主の配下でワシは報告すら聞いておらぬが、謙遜するお主がそこまで言うか・・・」


 「はい!お館様が美濃を取ったら一度遊びに来てく下さい!最近は私の技を使わなくても、美味しい料理を皆が作ってますよ!あっ!!それと今日のご飯は私の配下の琴、鈴、奏、鞠、凛に作らせようと思いますが!?」


 「それはいかん!こちらが招いたのだからこちらが準備致そう。それに明智殿とお主は初めてであろう?紹介も兼ねておる」


 「持ってきた物資に初めて見る物もあるかと思います。手伝わせるくらいは宜しいですか?」


 「それくらいなら頼む」


 その後、琴ちゃん達に指示して飯を作る手伝いをする事を、オレは剛力君達に許可を貰えた事を、大膳君には村の何人かを明日以降に呼んでもらう事を伝えた。


 その日の夜半前に大広間に直近の人達と呼ばれる。

 

 「最近、偉い人と会う席に立ち合ってなかったから、緊張してきた」


 「剣城様は今や我らの大将で殿です!胸張って下さい!」


 「お菊さんいつもありがとうね。濃姫さんから貰った服だけど、おかしくない?」


 「お似合いです。私もお呼ばれして頂いたので、今日はリクルートスーツにしてみました」


 そう、女の子ちゃんず達の服で正装が無かった為、効能も何も無いけどリクルートスーツを渡していた。


 「おっ!いいね!女性の正装は着物とされてると思うけど、パンツスタイルもいいね!痛っ!!」


 「はっ、申し訳ございません!いやらしい気を感じたのでつい・・・」


 「がははは!剣城!相変わらずだね〜」


 糞!目の保養に舐め回して見た事がバレたのか!?


 「お待たせ・・・しました」


 益氏さん、一瞬お菊さん達見てビックリしたな!?ふん!見るといいさ!オレも今後の為に、脳に焼き付けておかないといけないからな。


 案内されるも、他の人達は既に綺麗に座って静かに待っていた。人数にして20人くらいかな?まあ、あの詰問の時よりはましかな?多分先頭に居る人が明智さんかな?痩せ型の優しそうな顔の人だな。イメージはキザで嫌味ったらしい人かと思ったけど・・・。

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