大黒剣の家

 ぜぇーぜぇーと息を吐きながらやっと城に着いた。


 「剣城様、お疲れ様でした。城に着きましたよ!」


 お菊さん・・・。城に着いたのは見れば分かるから、喋りかけないでくれ・・・。肺が壊れそうだよ・・・。

城に入ろうと城門を潜ったら兵の人達40人くらいが小屋?家?を建てていた。


 「池田さんこんにちわ。こんな夕方遅くから何してるんですか?」


 「なんだ?その情け無い面は!?顔を拭え!これはあの大黒剣(だいこくけん)の小屋だ!」


 「え!?わざわざ小屋建ててるんですか!?」


 「お館様が普請してきてな。突貫工事で今やっておる。明日までには完成するだろう」


 「そうですか。頑張って下さい。それと池田さんには酒とケーキを。他の兵の人達はホットコーヒーでもどうぞ」


 《チューハイレモン》¥150


 効能・・・・甘いお酒。ワシは好かん。


 《ショートケーキ》¥350

 

 《ホットコーヒー微糖×40》¥4000


 効能・・・・豆を厳選、一流の鑑定士が監修したホットコーヒー。体が温まる。



 ゴッドファーザーよ・・・。ワシは好かん。ワシは好かんって!!あんたの好みなんか聞いてないわ!!!!それに一流の鑑定士って誰だよ!?この時代に鑑定士なんか居る訳ないだろ!!



 「少ないですがどうぞ!ここの蓋を開ければ中身が飲めます!酒精が弱いですが甘くて美味しいお酒ですよ!この茶色い方は兵の人達に飲ませて下さい!温かいので冷める前にお渡し下さい」


 「おう。すまんな!今飲めばお館様に怒られるから小休止の時にでも飲むとする。対価はどうすれば良い?」


 「今回はサービスで良いですよ!日頃から鍛錬してくれてますしこの大黒剣の事もありますし」


 「さーびすとはどういう意味じゃ?」


 「あぁ!また分からない言葉ですいません!対価は要らないですよ!日頃の感謝を込めて差し上げます!これからも宜しくお願いします」


 「そうか。そうか。分かった。ではこれは頂いておく。それと謹賀の折の料理は剣城が監修するんだろう?楽しみにしておるぞ!」


 「何も言われてませんが多分そうなるでしょうね。まあ台所衆の人達と頑張りますね!」


 「おい!お前ら!剣城が差し入れをくれたぞ!礼を言っておけ!」


 

 「「「剣城殿!ありがとうございます」」」


 いや示し合わせたかのように言わんでもいいんだが!?


 「蓋の開け方は池田様に聞いて下さい!甘い飲み物なので飲みやすいのと温かいので寒い外の作業に良いと思います!頑張って下さい!」


 「「「ありがとうございます」」」


 「さすがに明日の鍛錬は休ませてくれ。剣城も新しい料理を作るんだろう?励めよ!ワシも楽しみにしておるぞ!はっはっはっ」


 そう言い池田さんは作業に戻った。





 ふぅ〜・・・疲れたな。風呂に入りたいな・・・。最近Garden of Edenの広告が無いな。よくよく考えて見ればあの広告の品はかなり良い物ばっかりだよな。正月の料理おせち・・・。おせちなんか作った事ないぞ!?もう未来のおせち購入するか!?安いのなら1セット1万くらいであるよな!?


 「剣城殿?居られますか?」


 「はい!どうぞ!」


 「御免!お館様が夕餉のかれーを所望しております。それと甘味も所望されております」


 「いやいやいや、遠藤さん大丈夫すか!?めっちゃ青タンできてますよ!?」


 「いやこれは、某がかれーにしか意識を向けず飯に意識が向かなかった自業自得でございます。気にしないで頂きたい」


 いや、マジでブラックだ。こんな織田家は嫌だぞ!!たかだか米如きで!!


 《傷治し軟膏》


効能・・・・打撲や内出血に良く効く軟膏。軽傷なら1時間で効果が表れる。


 《ショートケーキ×5》



 「ちょっと失礼します。よし!これですぐ治ると思います!信長様の小姓は大変だと思いますが頑張って下さい!それとこのケーキをカレーを持ってた人達と食べて下さい!俺からの普段からのお礼です」


 「いえ、某は剣城殿に何も…」


 「いいんです!いいんです!受け取って下さい!これからも何かあればお願いしますね!ではカレー持って行きます!」


 「はっ。ではこれは頂戴致しまする。仲間にも渡しておきます。心遣いに感謝致しまする」


 その後は信長さんにカレーを渡し、いつものようにケーキをお市さんと濃姫さんにも出して1日が終わった。


 そこから数日は変わらぬ日が続き、年明け1週間前の昼過ぎに唐突に告げられる。


 「急だが貴様の家が完成した。だが支城を落とすまで貴様は奇妙と共に居れ。それと、謹賀の飯は進んでおるのか?」


 「はい。尾張の物で作ろうとしたのですが、私も正月料理は作った事がなく分からないので、今回は未来の私の技で正月料理を出そうと思っております」


 「そうか。できればワシの国の物を使って欲しかったんだがな。貴様の未来にも負けんようにせんといかんが、知らん物を作れとは言えんな。致し方ない。良きに計らえ」


 「それで何人くらい参列される予定ですか?」


 「遠藤!謹賀の挨拶は何人くらいぞ?」


 「はっ。挨拶は100人程と思います。そして飯を振る舞うのが去年と変わりなければ60人程です」


 「分かった。下がれ。だそうだ。準備怠るなよ?うん?そうだな・・・。あの竹中にいい様にしてやられ、貴様もまだ本調子じゃなさそうだからな。何かワシが余興を考えてやろう」


 「余興ですか!?私は別に普通な感じですが?」


 「ふん。人は知らぬ内に変わるもんだ。貴様は前程笑わなくなった。沢彦にも聞いておるが貴様は竹中に仇討ちする予定だったらしいな?だから貴様は戦には呼ばん」


 「えっ!?何でですか!?」


 「ワシも昔勢いで数騎で仇討ちをした事がある。だが勝ちはしたが残るのは何も無かった。戦には戦の礼儀がある。仇討ちもいかんとは言わぬが、この戦ではしてはならぬ」


 「そうですか・・・」


 「ふん。初陣で首級を上げ天狗になるならまだ良し。貴様はいかん方に傾いておる。ワシが激昂して敗走してしまったせいじゃ。許せ」


 「いえ、私はそんな事は・・・」


 「構わん。誰しも初陣の後は何かしらに陥る。あの竹中は中々にやる奴だ。ワシはあいつが欲しい。貴様は殺してしまいたいと思うだろうがな」


 「いえ。殺しはしませんが一発くらい殴らせてもらおうか、と思ってます」


 「ふっはっはっはっはっはっ!殴るときたか!なら生捕りにした時、貴様を呼んでやろう!その時、竹中と話すが良い。だが、もしそこで貴様が復讐に走りつまらぬ事をすれば・・・後は分かるな?」


 「は、はい!そそそ、それはだだだ、大丈夫です!」


 「ふん。少しの殺気でそうなる奴が仇討ちとはな。だが嫌いじゃないぞ。これからも励め!下がって良いぞ」


 機嫌が良くなったり悪くなったり何なんだよ!!

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