農業神様の御乱心

 迎えた1月7日。オレは清洲城近くの始まりの村に居る。


 農業神様と球体様の木像の前に、全員勢揃いさせている。その中には珍しく奇妙君と教育係の人達も居る。


 「まさか奇妙様まで来ていただけるとは思わず・・・」


 「お顔を上げて下さい。ここは手前は名目上でしか存在しない故、ここでの作業は皆の働きによるもの。どうか・・・」


 本当に凄い子だよ。失敗を知らないまま大人になりそうな子だよな。


 そして皆、一斉に祈りを捧げる。



 〜神界モニタールーム〜


 「農業神様ッッ!!!!神格メーターが我らまで上がっておりますッッ!!!!!」


 「どうしたんだなぁ!?」


 「お、おいの為にこんなにも祈りを・・・・うぉぉぉぉぉぉ──────」


 「「「「の、農業神様ッ!?!?」」」」


 「今すぐ支度をするのだなぁ!顕現してくるのだなぁ!!!」


 「そ、それはお待ち下さい!!地球に顕現するには力が強過ぎます!!!」


 「黙れッ!」


 ポワンッ


 「うっ、クッ・・・・・」


 「おいを待っている者が居る!おいを神と思ってくれている民が居る!その民の為ならば、おいは何だってする!おい!お前!顕現用の充電式バックライトを用意するんだなぁ?芸術神のような後光フラッシュして登場するんだなぁ!」


 「は、はい!法衣と杖はどうされますか!?」


 「準備するのだなぁ!」


 「戦神様!?お待ち下さい!」


 「がははは!どけッ!!!」


 ブォォンッ!!!


 「「「戦神様ッ!?!?」」」


 「よう?盟友よ?なんぞ楽しい事するみたいだな?その服は顕現か?」


 「おいを思って祈ってくれている、民の為に顕現するのだなぁ」


 「楽しそうだな?暇だから我も付いて行ってやろう!ほう?あっ!これはあの菓子の星か!?おい!お前!早くドワーフの供物をありったけ持って来い!」


 「ど、どの供物でしょうか!?」


 「馬鹿か!それでも我の眷族か!?ありったけだ!!」


 「は、はい!すぐにお持ち致します!!」


 「うむ。やはり顕現はこれなんだなぁ」


 「ほう?その姿、久しく見ておらなんだが中々の勇姿だ!」


 「では行くんだなぁ」




 「さぁ祈りも終えたし船造り開始しよう!」

 

 『ア〜ベマリ〜イア〜♪』


 「何だ!?空から何か聞こえるぞ!?」


 「剣城!!下がれ!!!甲賀隊!防御円陣!!」


 「慶次坊!!ここはワシに任せて我が君を背負い逃げろ!こんな禍々しい感じは初めてだ!!嫌な予感がする!!」


 「剣城様!!ノア嬢お連れ致しました!どうかこの場はお離れ下さい!奇妙様!くれぐれも剣城様とお離れなきよう!」


 うん。皆慌ててるけどあの空から聞こえる声・・・この讃美歌・・・農業神様しか居ないだろ!?しかも何故にAve Maria!?いつも現れる時はこんな神々しくないだろ!?


 「えっと・・・多分だけど皆、大丈夫。この木像の本人だと思う」


 「え!?神が!?本人が降りてくるのか!?本物なのか!?」


 「うん。間違いないと思う」


 パタパタパタパタパタパタパタパタ


 おっ!?天使か!?小さい子供の天使とか本当に居るんだな!?うん!?一人こっちに向かって来てるぞ!?


 「どうも人間?私です」


 「え!?貴方は球体様!?」


 「恥ずかしながら・・・はい。今回は農業神様が久しぶりの顕現との事で、Garden of Edenの社員一同にて、農業神様の強過ぎる権能を抑えて顕現されます。どうか人間達は無茶な事言わずに、受け入れていただきますよう・・・」


 強すぎる権能って何よ!?そもそもあの球体様が天使!?変装!?何で右手にハープ持ってるんだ!?


 「現れたぞ!!!!!」


 「剣城殿?これは・・・」


 「奇妙様・・・落ち着き下さい!私の師匠です!又の名を農業神様と言います」


 【わっははははは!!!おいを崇める民達よ!現れたんだなぁ!】


 うん。いつもの農業神様だ。いつもと服装が違いthe神様!って感じだし、ゴッドファーザーにも似てる感じがする。横に居る大きい人は誰だ!?


 【苦しゅうない!我は戦神である!地球の子達よ!我に甘味を捧げよ!】


 『せ、戦神様!?』


 【お、おう!間違えた!我は戦神である!古の魔法にて顕現したのである!】


 「次郎左衛門!急げ!!甘味だ!!甘味をありったけ作れ!!戦神様のご要望だ!!!動ける者は皆手伝え!!」


 え!?あの人が戦神様なの!?イメージと違いこの人も甘い物が好きなの!?ってかあのエコーの掛かった声何なの!?しかも芸術神様の後光フラッシュのような、ライトは何なの!?天使が後ろで手に持っているの分かるよ!?


 【やぁ我が兄弟!来ちゃったんだなぁ】


 いや来ちゃったんだなぁって!?そんなノリで来れるもんなの!?


 「まさか!?剣城様はやはり神様と同列でしたか!?」


 「我が兄弟と言われてますぞ!?」


 やはりってなんだよ!?オレは人間だよ!?


 【人間は皆兄弟なんだなぁ。おいは農業神なんだなぁ】


 「戦神様でよろしかったでしょうか!?大急ぎ故に、カヌレと、ホットケーキと、ティラミスと、カステイラしか作れませんでした。どうぞこれへ・・・」


 いやいや今の2、3分くらいでそんなに作ったのかよ!?大野さんやべーなぁー!?


 【ふぁふぁふぁ!よくやった!地球の子達よ!受け取れ!褒美じゃ!盟友よ!帰るぞ!】


 【うむ。おいを祈る民達が見れて良かった!これからもなんぞ困った事があれば、語り掛けると良いのだなぁ】


 「農業神様!大野次郎左衛門と申します!直答お許し下さい!どうか貴方様にお食べいただきたく候」


 【ふむふむ。良いマナを持っている。これは頂いて帰るんだなぁ。おいからの贈り物なんだなぁ。その前にこれを見てほしいんだなぁ】


 何がなんやら分からないけど天使達・・・恐らくネットスーパーの社員の人達だろう。いや神達だろう。スクリーンが現れ辺りが暗くなる。太陽が出ているのに暗くなっている。これが権能ってやつか!?


 『青い海!そこを走る一つの船!宇宙に地球が生まれ45億年・・・海から生命が息吹き………数多な困難を乗り越え………』


 おいおい!?広告か!?しかも壮大な広告か!?何で地球誕生まで遡るんだ!?


 『人類が海を求めるのは必然である。だが地球の人種は海で活動する事ができない。そしてこの船である!動力はヒヒイロカネの原石!この一つの石で65536日動くのである!』


 「「「「「オォォォォ─────!!!」」」」」


 いやいや、皆分からず雄叫び上げているだろ!?なんでここでも65536日なんだよ!?ヒヒイロカネって幻の石だろ!?


 「剣城様!あれが欲しいです!後学の為、買って下さい!!!あのヒヒイロカネというのを研究したいです!!」


 「わ、分かった!分かった!!芳兵衛君!落ち着いて!!!」


 『この旗艦に子供の船を2台付けてお値段・・・なんと100万円!そして!今なら燃料のヒヒイロカネが20個も付いてくる!さぁ!貴方ならどうする!?』


 いやいや、さぁ貴方ならどうする!?じゃねーよ!買うしかねーじゃねーか!?いやそりゃ、初めから買うつもりではあったけどよ!?


 「農業神様?いつもありがとうございます!買います!」


 【ありがとうなんだなぁ。ではいつものようにボックスに入れておくのだなぁ。それと残念だが皆には、おいの事忘れてもらわないといけないんだなぁ】


 「忘れてもらう!?」


 【そうなんだなぁ。このままなら影響が強くなりおかしくなってくるんだなぁ。さらばなんだなぁ】


 ポワンッ・・・・・パチッ


 急にボールが現れ弾け飛んだと思えば、皆が眠りだした。


 どうなっているんだ!?え!?ゆきさん!?何で起きてるの!?


 【ほうほう。その人間の女は一族になったのだなぁ?これからも我が兄弟をよろしくなんだなぁ】


 「は、はい!」


 【それにしても良い身体をしているのだなぁ?】


 「は?農業神様?」


 【ごめんなんだなぁ?さらばなんだなぁ】


 最後の農業神様のエロイ目・・・オレのゆきさんにあんな目は許さんぞ!!!!

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