いきなりの爆発音
大野さんと大急ぎで焼き、貴久さんの監督の元、早急に焼いた。というか庭で食べるとの事で、城中の人も紙皿に飯を入れて並んだ。
こんなクソ寒い中、外で食べるのかよ!?と思いながらも、さすがに文句は言えないからな。しかも貴久さんを先頭にちゃんと並んでいるし。岐阜なら後ろで喧嘩が始まってるよな。特に佐々さんと利家さん。遠藤さんは走り回ってるよな。
「馬鹿義弘が食って『美味い』と言っておったから、間違いないだろう。匂いからして初めて嗅ぐ匂いだ」
「ははは。この黒い汁が決め手なのですよ!肉は香草や酒、砂糖なんかを漬ければある程度は臭みが取れますよ」
「ほうほう。では今度試してみようかのう。うむ。食べるぞ?」
驚け!ぶっ飛ぶ程、美味い筈だ!
「どうですか?」
「うむ!其方の勝ちじゃな。尾張国は凄いな。流石、京に近いだけある。薩摩のどの飯より美味いと言える!皆の者も食ってみろ!」
最初こそ列を成していたが、お代わりを所望しだしてからはバラバラだ。我先にと言わんばかりに食べる食べる。ビックリするほど食べる。
「大野さん?薩摩人はよく食べますね!?」
「確かに驚きますな」
2時間程焼き続け、やっとの事で終わった。
「あぁ〜疲れた・・・」
「おう!終わったか!飲むか?」
「あっ、慶次さん。すいません」
「薩摩人は凄いな。よく食べよく飲む。流石の俺も願い下げだ。ウコンが無ければ既に潰れている」
「あぁ、部屋では宴会ですか?」
「あぁ。竹中が捕まっている」
半兵衛さんね。残念。あの人は引く事を知らないからな。
「義弘が『終われば声を掛けてくれ』と言っていたぞ?」
「何だろう?分かった。とりあえず大野さんも休んで下さい。皆もゆっくりしてほしいと伝えてくれます?」
「分かった。それと薩摩女達が鏡を褒めていたぞ?ゆきには内緒にしておいてやる!がははは!」
いやいや、なんだよ!?ワンナイトラブか!?そりゃ迫られれば抱くけど!?大判10枚までなら喜んで出すぞ!?
片付けは大野さんがやってくれるとの事で、城に上がった。義弘さんがどこに居るか分からない為、廊下に居た女の人に場所を聞き案内してもらった。
「こちらになります」
「ありがとうございます。どうぞ?飴玉と言って甘い菓子です。喉に詰めないように食べて下さい」
オレは岐阜城では当たり前になった、案内してもらったお礼の菓子渡しをした。最近では城の人達は、オレの案内やら何やらをした後に『何をくれるかが楽しみの一つ』だと、岐阜城の下女さんが言っていたのを聞いている。
「これが何かは分かりませんが、いただけません。平に・・・」
「いやいや。ただの飴玉だから、そんな大袈裟にしなくていいですよ?まあ貰って下さい。案内、ありがとうございました」
「そこに居るは剣城君か?入ってくれ!」
「あっ、すいません。失礼します。遅れて申し訳ない」
「良い!いやぁ〜、獣肉があんなに美味いとは思わんかった!」
「ってか頭!大丈夫すか!?めっちゃ青タンになってますよ!?」
「あおたんとはなんだ?こんなのは他愛ない」
いやいや、他愛ないって!?この人おかしいんじゃないのか!?
「いやいや、私の配下に薬貰ったでしょう!?早く塗って下さい!すぐ良くなるので!」
「あ、あぁ。そうか。分かった。おい!にし!こそこそするな!男だけの話ぞ!控えろ!」
「はいはい!すいませんでしたね〜!!(ペッ)」
え!?下女じゃない!?しかも唾吐いた!?
「いや剣城君すまん!あれはおいの伯母でな?種子島に嫁いだが色々とあり、薩摩に戻って来たのだ。肝付家に嫁いでいたが、またもや色々とあり戻ってきたのだ」
うん。性格に相当難ありと分かります。危うくオレも騙されるところだった。下女かと思えばかなり綺麗だし。ってか薩摩の女の人、皆、綺麗よな。
「まあ色々大変な事があるのでしょう。気にしてませんので構いませんよ」
「そう言ってもらえると助かる。あれは、にしと言うのだが剣城君の薩摩での、女の世話役にしている。何かあれば使うと良い」
いやいや、今、何ですと!?島津の血筋の人だろ!?無理だろ!?
「え!?あ、はい。何かあればお願いします」
それから今後の予定を話した。暫くの間、食料事情を変えるから開墾作業できる人が欲しい事、島津家で飼育などしている豚?猪?牛?なんかを分けて欲しい事を言った。
「父御は剣城君の申し事は何でも聞くと言うていた!今は飲んでいるから無理だが、明日には聞き入れられるだろう。中々ない事だぞ?父御は家族以外はあまり信用せぬ方。その父御が認めるなんてな」
「少し物珍しい物を持っていたからですよ。明日以降はもっとお近付きになれるかと。私が持って来ている肥料を使えば、すぐに収穫できますから」
それから暫く談笑をしていたが、急に爆発音が聞こえた。
ドォォォ────ンッ!!!!!
「何!?ビックリした!!」
「誰ぞ!何事だ!?」
「はっ!まだ確認できていませんが、海の方から焙烙玉の爆発音が聞こえました!」
「すぐに調べよ!剣城君?すまん!部屋に戻っていてくれ!」
促されるまま、にしさん?が現れ部屋に案内してもらった。入れ違いで貴久さんと義久さんが、オレの部屋にやって来た。
「芝田殿?中々に美味い肉と酒であった。しかも、こんな気持ちの良い酔い方は初めてであった。が・・・その酔いも醒める出来事があった。心して聞いてほしい」
「はい。何でしょう?」
「あの立派な船に焙烙玉が投げ込まれてしまったらしい。まず一つ申し訳ない。相手は肝付家の草の者達で既に捕まえている。すぐに連れて参る。そして船の見張りをさせていた者達の首も、すぐに持って参る。こちらの落ち度である。どうかこれにて──」
「っていうかその人達大丈夫すか!?怪我とかは!?私の配下も呼んでも!?鈴ちゃん!鞠ちゃん!居る?」
「「はっ!!」」
「貴久様?義久様?構いませんね!?すぐに怪我した人を治します!鈴ちゃん?鞠ちゃん?すぐに海に向かう。応急処置の用意を。爆発だから重傷者も居るかもしれないから、例の軟膏も」
「畏まりました!」
「剣城様?敵も治しますか?」
「いや治さなくていい。という事でオレは浜まで向かいます!くれぐれも首は斬らないようにして下さい!敵の人は要らないです!ノア!行くぞー!!!」
「あの者は何なのだ?義久?」
「いや・・・分かりませぬ。なんならこちらが賠償を考えていたくらいですが、そうでもなさそうですが?」
「いや、いかん!我らのせいで肝付なんかの間者にやられている!遅れを取るな!『味方を罰するな』と言うておったが、そうもいくまい!一度あの芝田殿の前に、全員連れて行け!」
「はっ!義弘はどうしますか?」
「あいつの馬廻りが見張り役だったであろう?それなりの罰を与える!」
「御意」
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