奥さんも天上天下唯我独尊ですかっ!?
さすがに寝ずの看病だったので昼前くらいにオレも眠くなってきてウトウトしてるところで、天上天下唯我独尊の信長さんが目が覚めた。
「今朝よりも体が軽いな。また貴様が何かしたのか?」
「いや、明け方に薬を飲んで頂いたのと少しお顔を拭いたくらいで後は何もしておりません。恐らく信長様の体が咳病に勝ったのかと思います」
「であるか。それより腹が減った。昨晩貴様が飲ませたぶよぶよの水みたいなのは、甘くて美味かったがあの食感が好かん。それに腹も満たされん」
「誰ぞある!」
そういうとササーッと小姓が現れた。
いやいや忍者ですか!?声掛けてから1秒くらいしか経ってなくないですか!?
「今すぐ飯を作ってまいれ!ついでに、此奴の飯も作ってやれ」
「ははっ!かしこまりました」
「ありがとうございます。しかし信長様は病み上がりなのでお粥みたいなのが良いと思いますが、もしよろしければ私が作りましょうか?こう見えて料理が好きなんですよ」
「どう見ても貴様の腹を見れば食う事にだけは長けておるのは分かる。自慢する事ではない」
病み上がりから凄く辛辣な言葉頂きました。どうもありがとうございました!
「ワシは食い物には然程興味はないが貴様が何を作るかは興味がある。作ってまいれ」
そう言われとりあえず廊下に出たが台所ってどこだよ!?そこでウロウロしてたら一際綺麗な女性が歩いて居た。とりあえず会釈して、すれ違おうとしたら側女?みたいな老婆に怒られた。
「濃姫様の御前である!」
すぐさま土下座をしたが、濃姫さんはこの令和の時間軸で、日本一土下座に定評のあるオレが気になるのか立ち止まり声を掛けてきた。
「見かけぬ殿方。名は何と申す?」
いやいや、口調めっちゃ男みたいやん!!顔かなり可愛いのに性格が男勝りなのか!?さすが信長さんの奥さんだな!!!!こちとら、女に耐性が無いからこの方が気が楽ではあるけどもよ!
「芝田剣城(つるぎ)と申します。先日から信長様にお仕えし、柴田勝家様の預かりです。よろしくお願いします」
「何をよろしくされるのかの?剣城という名前は良いのに本人を見れば・・・・・・まぁ良い。
それに"しばた"が"しばた"に、預かりになるのは可笑しい事。血縁者じゃないのかえ?」
何すか!?何で『本人を見れば・・・まぁ良い』とはどういう事ですかっ!?初対面でまた名前負けと言いたいのですかいっ!?かなり失礼じゃないすか!?このビッチがっ!!さすが天上天下唯我独尊の奥さん!!ブイブイ飛ばしてくるじゃねーか!!絶対この人にはプレゼントしてやんねーよ!!
と心の中で誓うのだった。
「いえ、字が違います。同じ"しばた"ですが血縁者じゃなくたまたま柴田勝家様預かりになっただけでございます」
「たしかにあの熊とは腹こそ似ておるが顔が違うの?それで、蛙はどこに向かっておるかえ?」
えっ!?蛙!?それはオレの事か!?
「蛙は其方の腹と同じじゃ。今日から蛙ぞ」
えっ!?マジっすか!?信長さんも変なあだ名付けるの有名だったが奥さんもあだ名つける系ですか!?それにオレの腹は蛙ですかっ!?蛙というあだ名に戸惑ってると・・・。
「濃姫様!殿方に失礼でございます。ちゃんとお名前でお呼びした方が・・・・」
「あー。すまぬ。妾の悪い癖が出てしまったわ。ほんに許せ。それで、かえ・・・剣城よ。どこに向かっておる?」
いや側女さんが注意したのに、全然反省してないっすよね!?言った側から間違えそうになってますよね!?
「信長様が目を覚ましまして、朝餉をお作りしようかと台所を探しておりました。もし良ければ場所を教えてもらえませんか?」
「そら見た事か!サルや熊がピーピー泣きながら騒いでおったが妾は殿が咳病如き遅れを取らぬと思うておったわ。其の方、台所と申したか?」
いえ、名前は剣城です。台所の場所を聞いただけです。と内心ツッコむ。
「はい。どちらにありますでしょうか?」
「おもしろい。妾も少し手を加えてやろう。着いてまいれ」
えっ!?マジか!ネットスーパー使いにくいやん!と思いながらこの天上天下唯我独尊の奥さん…いや、むしろ信長さんより奥さんの方が天上天下唯我独尊だな。と内心思った。
台所は一階にあった。まぁ昔ながらの竈門が5つ程あって既にお膳に玄米、味噌、沢庵が乗せられていた。
いや、さすがに病み上がりで玄米はいいかもしれんがこんなご飯は栄養も無くダメだろうと思い、ネットスーパーで購入しようか迷ってると小姓の人が現れ耳打ちしてきた。
「お館様よりお聞きしました。剣城殿の技は一子相伝の飯の作り方のため皆を下がらせるように言伝られております。暫しお待ちを」
なにっ!?一子相伝の飯の作り方!?そんな作り方があるのか!?まさか、北○百烈拳的な技をオレは使うのか!?
まぁ信長さんが気を利かせてくれたのだろうだけど・・・絶対奥さんは下がらんだろうな・・・。
「なにっ!?妾も下がれと申すのか!?妾を誰だと思っておる!下郎!名は何と申す?」
いや、小姓の人半泣きになってるじゃん!しかも下郎って・・・名前聞いてどうするんすか!?ヤンキーみたいに闇討ちとかですか!?さすがに見てられんな。
「えっと、もしよろしければ濃姫様が料理して頂いたら信長様も大変喜ばれるかと思います。お手伝いお願いできますか?」
「はんっ。剣城は中々分かっておるではないか。妾がここは手伝ってやろうではないか。聞いたか皆の衆。妾とこの、かえ・・・剣城が殿の朝餉を作る。下がってよいぞえ」
いや、何でまた蛙と間違えそうになるんですか!?
変に時間かかってしまったな。早くしないと怒られてしまう。もう奥さんの前ならネットスーパー使っていいよね!?信長様も許してくれるよね!?そう思いながら
《卵12個入り》¥300
《即席ご飯》¥100
《ハチミツレモンジュース》¥100
を購入した。
ゴッドファーザーのありがとうのホログラム見たら絶対濃姫さん騒いでしまうと思ったが実際はホログラムを見るだけで静かにしていた。
とりあえず即席ご飯と卵を鍋の中で温めて簡単にお粥と、この調理場に元からあった、たくあん、ネギ、味噌を小皿に入れて、湯呑みにハチミツレモンを入れてお膳に並べた。
「お主が、何者かとは聞かぬ。先日、殿が初めて妾に家臣の話をしてきた。『ワシの考えと同じ事を考える奴が、お主の他にも現れおった。日の本の事を考えられる奴じゃ』と。お主の事じゃろう。
妾は織田家に嫁いで未だ義務を果たしておらぬ。普段、妾の前で良い顔しておきながら裏で"石女"じゃ"畑が悪い"じゃ言われておるのも知っておる。
妾が男なら殿の横で戦う事も出来るがそうもいかぬ。お主は男で殿の横に立つ事ができる。これからも支えてやってたもれ」
なんか凄い辛い事言われてるんだな。色々オレも初対面で言われたがこの人の事は憎めないな。
「はい。いずれ信長様から私の事を言われる事があるかと思いますが、微力ながら織田家を支えていければと思っております。出来上がりましたので信長様にお持ちしましょう。食べる前に少し味噌とネギを入れて、本人の前で仕上げてやって下さい。物凄く美味しいと思いますよ」
そう言い、信長さんが寝ている場所にお膳を持っていった。
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