素人魔法使いにはキツイぜ・・・
「失礼します。お待たせしました。朝餉をお持ちしました」
「遅いっ!!早う持ってまいれ!」
そんなにお腹空いてたのか?まっ、こんだけ食欲あればもう大丈夫だろ!流石ゴッド風邪薬だな!続いて濃姫様さんも入ってきた。
「殿、お加減いかがですか?本日の朝餉は妾もお手伝い致しました。仕上げはここでさせていただきます」
さっきのオレとの対応の違いにビックリする。魔性だ。女は魔性だ!
「お濃か。お主が下女みたいな事をするのは珍しいな。それにここで仕上げか。既に美味そうだが、どれ。試してみよ」
濃姫さんはさっきオレが言ったように、味噌とネギをお粥に混ぜて素人魔法使いの前であるまじき行為をしだした。
「フーッフーッ、お口を開けて下さい。先日今川との戦で疲れてしまったのでしょう。体が戻るまで妾も面倒を見ます。どうぞ?あーん?」
クソがっ!!this is クソが!!なんちゅーもん見せてくるんだよ!な─────にが『あーん?』だ!!そりゃ夫婦だからおかしくはないが何故にオレに見せつけてくるんだよ!!!ノロケか!?これは信長がオレに対して見せつけてくるノロケか!?
居たたまれなくソッと廊下に出ようと下がろうとしたら声が掛かる。
「この事は他言無用ぞ?さもなくば・・・・・分かるな?」
ぺっ!!現代科学を駆使して一眼レフカメラで4k画質で撮影してコピー機で写真量産して各武将に送ってやろうかと思ってたのになっ!!
「大丈夫です。私は何も見ておりません。後程また参ります」
そう言い、廊下に出たらさっきの濃姫さんに詰問されてた小姓の人が声を掛けてきた。
「剣城殿、さっきはありがとうございました。助かりました。あっ、拙者信長様の小姓をしております左脇藤八と申します」
「いえいえ、構いませんよ!あの濃姫様ですからね。しょうがないですよ。気を落とさないよう頑張って下さいね!これは元気が出る丸薬です。喉に詰めないように食べて下さいね」
そう言い、飴玉なら良いかと安易に考え小姓さんにプレゼントした。これが後にちょっとした騒動になる事も知らずに・・・。
「これを拙者に?構わんのですか?ありがたく頂きまする・・・・・・・・んっ!?!?これが丸薬!?さすが剣城殿!!これ程美味い丸薬初めてでございます。これは食べるのが勿体なく思うくらい美味い丸薬ですね」
「そんなにすか!?まぁー、そんなに喜んでくれるなら後3つくらいありますのでどうぞ?小姓の人に全員には無理かもしれませんが他の人にもあげて下さい。信長様の小姓は大変だと思いますが頑張って下さいね」
「ははっ!ありがたき幸せ!同僚の特に仲が良い、加藤、長谷川、山口にでも食べさせておきます!ではこれにて御免」
さすが小姓の人だな。動きに無駄が無いな。オレには絶対務まらん仕事だな。そう思いながらオレもお腹空いたな。それに徹夜明けで甘い物も食べたいと思い、ネットスーパーで、
《おにぎり2個》¥200
《フルーツ飴玉》¥400
を購入して城から出て人が居ないとこで食べた。
「あんなにあった残金だいぶ少なくなったな・・・・。本当に早く金策しないと。たしかこの後、徳川家康・・まだこの時は元康だったかな?と同盟して斎藤との戦だよな・・・。濃姫さんの実家に攻めるんだよな・・・・」
「おぉー!剣城殿!!昨日ぶりじゃ!!お館様が快復して良かったのー!」
「あっ!木下様、どうも!!昨日弟さんが家に来て下さって知らせて頂いてありがとうございます!でもよく、私が呼ばれるの分かりましたね?」
「なんのなんの!お館様は明らかに普通の咳病な感じがせなんだのでな。信包殿や信治殿に、剣城殿の事を話しておったのじゃ。
凄まじい技を持っておるとな。すると、お二方がお館様が祈祷で変わらんかったら剣城殿を呼ぶと話が出ておったから、先にワシが秀長を使って知らせただけじゃ!そんな事より、秀長からお土産を貰ったぞ!!それに、ねねの分まで済まんの!あの丸っこいの初めて食べたが物凄く美味かったぞ!礼を言う。
ねねなんかワシの口から奪い取ろうとしたくらいだぞ!それにあの黒い糞みたいな見た目のやつもこの世の物とは思えんくらいの美味だったぞ」
「そ、それは凄かったのですね。黒っぽいのはチョコレートと言いまして、色んな種類があります。それにまだ他にも美味しい物はありますので何かの時でも食べましょう!それと、柴田様の家でお世話になってる身ですが、柴田様の配下の方が秀長さんを侮辱した様ですいません」
「剣城よ。ワシに頭下げるのは辞めておけ。仮にも柴田殿の預かりじゃ。ワシとは天と地の差があるあの柴田殿じゃ。情報や街の様子を見る、戦とは関係ない事を探るのは、元農民のワシの仕事じゃ。気にする事はない」
たった、ちょっと喋っただけで信長さんとは違う人を"引き"寄せる何かを持ってると感じたオレ。さすが天下人になる人は違うのかな?と思った。
「それでも私はどんな人も侮辱する人は嫌いです。これは個人的な考えですが戦は事前にどの様な敵が何人居るか、布陣はどうなのか?という情報が大事だと私は思いますので、木下様の働きは素晴らしいと思いますよ」
「お主の言葉、秀長にも伝えておこう。こんな事、直接ワシの口から言ったと分かれば柴田殿に怒られるしもっと嫌われると思うが、もし柴田家からお役御免したらワシのとこに来い。周りからの印象は悪いが配下の者だけは絶対食わせてやる」
本当に人を"惹き"寄せるものを持ってるな。秀吉さん。
「お誘いありがとうございます。もし、その時があればよろしくお願いします」
そう言うとニコッと笑顔になり歩いていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます