戦神様のサブスクリプション
岐阜城に繋がる一本のアスファルトの道。そこを行くのは島津貴久一行だ。
先頭はオレの大黒剣。その後ろに義弘さん達、薩摩衆だ。
そのアスファルトが敷かれた道に貴久さんが感動している中、両端にはオレの配下を配置してある。
見様見真似で思いついた事だ。装備を統一させ、火縄銃に剣を装備させ銃剣にさせている。それを指揮するのが慶次さんだ。
「うむ。これは壮観だ!」
「はい。諸外国のように、戦に出た兵士が凱旋するかのように考えております」
なんとなくゲームにありそうな事をやっているのだ。正直、将軍を出迎えする時より派手だと思う。
「捧げ銃ッッ!!!!」
慶次さんの一声にて皆が同じ動きをする。
カチャカチャカチャカチャカチャカチャ
「うむ!尾張の者!おいなんかの為に御苦労ッ!!」
本当は、空に向かって撃つ演出も考えてはいたが、落ちてくる弾が誰かに当たったら、怪我じゃ済まなくなるからやめたのだ。
ちなみに、やめた方が良いと教えてくれたのは農業神様だ。
この装備を一新するにあたり、芸術神様にお願いしたところ・・・。
「あら?仕立てるのは別にいいわよ?どうせなら、黄金に輝く装備で統一すればいいのじゃないかしら?」
「芸術神様!さすがにそれはやり過ぎだと思うので、そこそこで大丈夫です!」
「あら?面白くないわね?」
スチャ
この時、芸術神様が脚を組み変え、スリットの入ったスカートのような履き物から、太ももが露わになる。
「後光フラッシュ!!!」
「うわぁぁぁぁ!!!!」
「ふふふ。私は相手の事が分かるのよ?今、邪な想像したわね?」
「す、すいませんでした!」
一瞬だが、この時、芸術神様のことを想像してしまい、久しぶりに後光フラッシュを受けた。
まぁそんなこんなな事があり、一着5千円で背中に織田木瓜紋入り、材質はファフニールという、芸術神様のペットのドラゴンの鱗を使った、紫色とも見えるし黒色とも見える、色合いは暗いが見れば分かる、威圧感のある仕上がりの甲冑を作ってくれたのだ。
また伝説上の生き物が出てきた訳だが、その生き物がまさかのペットだという事も驚きだ。
「ありがとうございます!それでこれを着て、銃剣装備させて空に向かい1発撃って、出迎えしようかと思っております!」
「それはやめておいた方がいいんだなぁ。7.62×39㎜の弾ならベースは81メートル/秒なんだなぁ。タンブリングは48メートル/秒なんだなぁ」
うん。とりあえずタンブリングやらベースやらは分からないけど、やめた方がいいという事なんだな。祝砲はやめだ。
あと、この会議?をしている間にもう少し後にはなるだろうが、帝の正親町天皇と謁見する時の贈り物も、お願いする事にした。
すると凄く日本史に重要な事も教えてくれた。
「あぁ〜。あの彦火火出見の子孫の事なんだなぁ」
「は?え?ひこほほでみ!?」
「我が兄弟の世界線では、神武天皇と呼ばれているんだなぁ」
「嘘!?なら本当に神武天皇様って居るんですか!?」
「居るんだなぁ。神格はおいより少し下だが高天原に居るんだなぁ」
さらりと凄い事教えてくれたぞ!?やっぱ天皇は凄い人なんだ!!
「彦火火出見には昔、世話になったんだなぁ。だから奮発するんだなぁ」
「あ、まだ希望は言ってませんが・・・」
「いいんだなぁ。御物として刀を渡すといいんだなぁ」
ポワン
「こ、この日本刀は!?」
「アースガルドに伝わる刀なんだなぁ。十束剣なんだなぁ」
「カッコイイ・・・・」
「これを渡すと良いんだなぁ」
「ありがとうございます!」
「がははは!農業神!ここに居たか!うん?おぅ!おぅ!いつかの人間ではないか!何をしているのだ?」
「せ、戦神様!?」
「今日も甘味を持って来ているのか?うん?」
いやいや、何でこんな威圧的なんだよ!?
「ボックスに生チョコがあります。ど、どうぞ」
「うを!?これじゃ!これじゃ!流石、農業神を祀るだけある!食い物が美味い!おい!人間よ!ワシも最近は銭稼ぎに興味がある!なんでもサブスクリプションというのが流行っておるそうじゃな?うん?何じゃ芸術神?」
「(チッ)寄らないで!汗臭い!」
「な!?おまっ!これは漢の匂いだ!その言い方はさすがにキツいぞ!?」
「勝手に現れて供物を強請るなんて最低ね。反吐が出る」
いやキツい。ドSな発言だ。
「ここに居ればイライラする。おい!人間!1ヶ月に1回武器を配達してやる!そこらへんの鈍(なまくら)ではなく本物の武器だ!契約しろ!1ヶ月3000円にしておいてやる!」
「やっす!3000円で武器貰えるなら契約します!」
とまぁ、こんな関係ない事も起こりながら、貴久さんの出迎えとなった今・・・。
城の1番外側の鉄製の防御扉がある所に・・・。
「貴久殿!よう参った!」
「うむ!人の多さ、民の顔の違いに驚いている!こんな出迎えをされたのは初めてで気分が良い!おい!お前!早く例の物を渡せ!」
「はっ!」
確かに後ろの人が大きな木箱を大事そうに抱えていた。中身は確認しなかったが、その中身は驚愕だ。
「ふむ。これは何だ?」
「シルバーですか?」
「剣城君がそれを間違えるのは良くない!それは南蛮の者は偽物と言い捨てるそうだ。だが、おいは野田に聞き、織田殿は『大変に喜ばれるだろう』と言い買い漁ってきたのだ!」
「偽物・・・捨てる・・・まさか!?プラチナですか!?」
「うむ。剣城君はそうやって言うのか?おいが聞いたのはプラタと聞いたのだが」
いや、多分南蛮と言ってもイスパニア・・・現在のスペインの船だろう。確かにプラチナは融点が高く、加工できないからとシルバーの偽物と言われ、よく捨てられていたと聞いた事がある。まさかこれがプラチナなのか!?
たしか昔、野田さん達と話した事があった。
「古今東西、今も昔も未来も金、銀、プラチナの値段は変わらないもんですよ」
って。それを覚えてたのか!?
「ほう?剣城がそう言うのならば間違いないのだろう。おい!剣城!これがどのくらい凄いのか、簡潔に分かりやすくワシに分かるように答えよ!」
クッソ!また無茶振りか!?分かりやすく・・・分かりやすく・・・見た感じ30キロくらいの大きさの物が4箱・・・。
「はい!恐らく城が3〜5程は建てられるかと思います」
オレがそう言うと、持ってきた貴久さんも信長さんも、皆が目を見開き驚いていた。
「何故じゃ!?何故そんなにこれが高価なのか!?」
「詳しくは・・・ただ、大量の鉱石に対して、金や銀より圧倒的に産出が少ないのがこのプラチナです!金の融点は約1000度に対し、このプラチナの融点は1700度と非常に高温です。南蛮の人達はその術を持っていない。だから捨てられるのだったかと・・・」
「うむ!よう言った!まぁここではなんだ!貴久殿!とにかくよくぞ参った!このぷらちななる物はありがたく頂戴致す!」
「うむ。喜んで貰えてなによりだ!よろしく頼む」
こうして貴久さんが城に到着した。ここからの動きは早くなるぞ。来週には恐らく出発する筈だ。
とにかく・・・あのプラチナ羨ましいぞ!一欠片くらいオレも欲しいんだけど!ゆきさんに指輪作ってあげたいんだけど!
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