みんなの頑張り
時計台を設置したり慶次さん、愛州さん達を平時は警備隊として機能し始め、暫く経った昼下がりに唐突に、信長さんが俺の家にやってきた。
「おう!邪魔するぞ!」
「こんにちわ。本日は何を所望でしょう?」
「ふん。ゆきとやらも、だいぶワシを分かってきたではないか。お濃めの腹もだいぶ大きくなってきおる。城の料理人の飯は食わず、お前の飯を所望しておる」
「濃姫様にお料理でしょうか?」
「うむ。みかんゼリーが食いたいと言っておったぞ。作ってまいれ!」
「畏まりました。剣城様?大殿様がお呼びです!」
この日、俺はお菊さんとやっと経済の町として動き出した、岐阜の事を聞いていた中での信長さんの来訪だ。
「は〜い。お菊さん?信長様を大部屋に案内してあげて」
「分かりました」
信長さんがお菊さんに案内され大部屋にやって来た。一段高い所に信長さんに座ってもらった。
「うむ。綺麗にしておるな?良い心掛けじゃ!」
「お菊さんや、ゆきさんが毎日掃除してくれてますからね。本日はどうされましたか?」
「そろそろ10月も終わり、寒くなって来る頃だろう。公家からそろそろ参りたい、と再三の嘆願書が参っておる」
「え!?嘆願書ですか!?」
「義弟に塩や砂糖、肉を輸出しておるだろう?奴は人の褌で相撲を取っておる。まあそれは別に良い。彼奴が考え儲けておるからな。かなり儲けておるだろうな」
要は転売か!?まあ別にオレ達にも儲けが出てるからいいけど。
「森様に砂糖作りを最初してもらってましたが、今は岐阜の方が生産力が高いですからね」
「あぁ。全て貴様と貴様の配下のお陰である!これに関しては手放しで褒めよう。貴様の蔵も中々になったのではないか?国友が『休みが無くて敵わん』と言っておったぞ?」
「あれでもかなり働き手が増えている筈なのですが、日々銭作りに勤しんでもらっても足りないくらい、ですからね・・・・」
近江から商人が相当数ここ岐阜に来て、買い物をし他国に品が渡って行く。鼻の効く商人は何も近江だけではない。近江商人に売り、その商人が京の商人に売ったり、信濃、甲斐、三河、はたまた相模の方まで流れている筈だ。
「たぬきの配下の者まで、最近では買い物に来ておるらしいな?温泉宿は連日の盛況振りではないか。まあワシは城でのんびり過ごせるから良いがな」
そりゃあな?我が儘言って城の一階に温泉室作って朝、夜と風呂に入ってるもんな!?遠藤さんが愚痴ってたぞ!?『某も入りたいのに中々許可が下りない』とな?
「しかしまあ・・・よくやったものだ。飯屋は多数。呉服屋、肉屋、魚屋、氷屋、温泉宿、両替所とな?」
「魚屋に関してはかなり大変でしたね。これも私の配下の葛城さんって方が、日々頑張ってくれています。相乗して若い男子の仕事としての飛脚も、今は給料をかなり良くしている為、なり手が多いですね」
「うむ。氷がなんと言っても大きいだろう。食材を運ぶに重要な物だからな。徐々に貨幣制度が染み渡ってきておる」
それに関しては国友さんの息子、芳兵衛君の発案だ。大きいクーラーボックスを作り氷を大量生産して、ゴムの木を植えそのゴムの木からゴムを生産し、タイヤ付きの車輪の発明で、飛脚界に革命が起きているのだ。
ゴムの加工は少し前に、魔改造されている清洲の村にて拝見したけど、悲しいかなオレには分からなかった。その昔、例の実をオレも食べている筈なのだが。
「このゴムの木から白いベタベタしたこの樹液を採取します。これを未来ではラテックスと言うみたいですね?まあ、これを桶に採取するのです!」
「へぇ〜。物知りですね?オレは全然分からなかったよ」
「甘い!剣城様はショコララテより甘いです!実はこのゴムの木・・・このラテックスは朝の5時〜7時までが1番取れるのです!」
「おっ、おう・・・そうなのですね?ではこれは芳兵衛さんにお任せ──」
「いやいや、ちゃんとお聞き下さい!この採取したラテックスから不純物を取り省き、濾過し…………あちらの燻す建物にて………水で洗い………乾燥させて成型するのです!分かりますか!?」
と、このように毎度ながら、かなりの熱弁な説明を強制的に聞かされ、今やゴム製品が色々増えている。
負けじと国友さんも銭作りと平行して、兵器作りも少しずつ進んでいるみたいだ。このゴムの説明を聞いた時、挨拶がてら鍛治場に足を運び、世間話を聞いた時に分かった事だ。
「おう!剣城か?久しぶりだ!忙しくて敵わん!だがあの温泉の素だったか!?あれをここ清州にも作ってくれて感謝している!あれは気持ち良いな?ははは!」
「それは良かったです!やる事多くてすいませんね」
「いいさ。いいさ。それで・・・これを見てほしい」
そう言われて見せられた物が、オレがタイムスリップする前に居た世界線で言えば、第一次世界大戦時に登場したであろう大砲だと思う。
「これだ!この兵器書のこれを見てくれ!この三八式十糎加農砲という物だ!」
見せられた物はその昔、大日本帝国が日露戦争の時に使用した、加農砲だと思う。
「素晴らしいです!よくこれを造れましたね!?」
「まあ?俺にかかればこのくらいはな?ははは!これは倅のごむの車輪だったか?あれがあって初めて作れる物だ。詳しく言っても剣城は分かるまい?簡単に言うとだな?段隔螺式で、装填は分離薬筒方式だ」
「装填は分離薬筒方式?」
「まあ、聞いてくれ。この兵器書によれば剣城が居た未来では、運動面があまり良くなかったらしいな?」
いやいや。聞かれてもオレはこんなの初めて見たんだけど!?
「オレは初めて見ました」
「そうか。まあ本来なら重たくてすぐに使えた物ではなかったが、無駄は省き砲身を本来の半分にし、口径を小さくした物だ。第一次世界大戦と、末恐ろしい世界の戦があったのだろう?」
「ありましたね」
「その戦、この書でしか拝見できないが、今この俺達が居る世界では天下無双なる物と思う!」
と皆が切磋琢磨し、どんどん発展しているのだ。
「おい!聞いておるのか!?」
「え!?あ!すいません。ここ最近の皆の働きを思い出していました。公家が来る件ですね?」
「そうじゃ。ワシが直々に出迎え致す。義弟の家臣共も現れよう。10日を目処に考えておけ!城に一室、帝が座す部屋にも負けない室を作れ!」
「帝に負けない部屋ですか!?・・・・善処致します」
「うむ。ついでじゃ!ワシにも昼飯を作れ!そうだな・・・今日は中華そばを所望する!」
何がついでじゃ、だよ!? いっつもオレの家で食べてるじゃんかよ!?
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