ふぐり・・・・

 「おぉー!お勤めご苦労だったな。それで殿はもう何ともないか?あの殿の事だ、お主もだいぶ無理したのじゃないのか?」


 「はい。柴田様、お疲れ様です。正直に言うともうヘトヘトです。昨日から徹夜でさすがに限界なので少し寝させてもらってもよろしいですか?」


 「帰ったか。酷い顔だな。顔でも拭いて少し体を休め」


 「ワシはお主が起きたらすぐびーるが飲めるように待っておるよ」


 クソっ!!勝兵衛さんは労いの言葉一つもねーのか!?まだ昼過ぎなのにもう夜の事考えてるのか!?


 何かイラっとしたのでオレは、


 《発泡酒350ml3本》¥550


 《激安布団セット》¥10000


 ビールを3人に渡して寝床に向かった。


 「柴田さんらにも布団見られたら絶対なんか言われそうだがもう無理!!信長さんにも献上してるし大丈夫だろう。何か言われてもみんなに献上したら文句言われんだろう」


 そう独り言を言いながらオレはすぐ深い眠りに入った。


 目が覚めるとほんのり空が明るくなりかけていた。


 よく寝たがさすがにオレ寝過ぎだろ!?多分朝の5時くらいじゃないか!?さすが現代の布団!激安布団でも藁に比べたら快適も快適!!やっぱ睡眠は大事だよな!!


 そう思いながらトイレに向かった。オレは柴田家のトイレに感動を覚えた。


 「おぉー!!現代には程遠いが木製のボットン便所じゃん!!!トイレットペーパーだけあれば何とかなりそうか!?」


 そう言いながら、


 《トイレットペーパー12ロールダブル》¥400


 を購入し、この時代に来て初めて快適トイレで糞をした。使ったトイレットペーパーをボットンの下の糞と一緒に捨てていいもんか考えたがいくら自分の拭いたものでもボックスには入れたくなかったのでそのまま捨てた。


 ニヤニヤしながらトイレから出ると茂左衛門とすれ違った。


 「おはよう。昨日はよく眠れたみたいだな。途中死んだかと思って何回も確認したんだぞ?変な白いもんにくるまって寝てるもんだから確認のためにワシも少し隣で横になってしもーたわ。随分良さそうなもんで寝てるんだな?」


 えっ!?オレおっさんと添い寝したんですか!?しかも何か不機嫌なんですけど!?オレトイレでまあまあご機嫌で出てきたら朝イチから怒られるんですか!?


 「おはようございます。昨日はすいません、気付いたら今さっきまで寝てました。あの白いのは布団と言いまして・・・昨日信長様にも献上したばかりでして、許しが出たら1番にお渡ししますので勘弁して下さい!」


 「そういう事なら仕方ない。許しが出たら殿の次に渡してくれ。その時はさすがに無償という訳にはいかぬから何か対価を渡そう。それとお主は厠で何故ニヤニヤしておるのか?・・・・・・・・・あっ、まさか・・・・・・・・お主一人で・・・・・・フグリでもシゴいて・・・」


 いやいや!茂左衛門さん!!ふぐりって何ぞや!?何もしとらんわ!!


 「いやいや、何もしてませんよ!ただ朝から凄い糞が出たので気分が良かっただけですよ!!!」


 「はんっ!どうだかな。別にお主のフグリなんぞに興味は無いが汚すなよ?」


 朝から色々考えさせられるのだった。それにしてもフグリって!!クッソ!!!


 少ししたら勝家さん勝兵衛さんも起きて来て、茂左衛門さんが作ってくれた朝ご飯をみんなで食べた。


 「1日2日でまただいぶ腕を上げたな?飯が美味いぞ」


 「左様。この甘い握りが何とも言い難い」


 「・・・・・・・・・・・・」


 「剣城はどうじゃ?口に合わんか?」


 なんでまた甘い握りなんだよ!!柴田さんも何が『腕を上げたな』だ!!味音痴共がっ!!


 「作って貰ったのにすいません。私は甘い握りはちょっと・・・。もし良ければこれお渡ししますので、これからはこれも上手く混ぜて作って下さい」


 《醤油》¥200


 を購入して渡した。


 「そんなにワシらに渡して、お館様は大丈夫なのか?」


 いや正直分からん。怒られるかもしれないが・・・美味しいもん食べたいやん!?


 「正直分からないですが、けど昨日信長様は皆さんが絶対食べた事ない超高価な物をお食べになりましたので、言われる筋合いは無いかと・・・」


 「その事はお館様の前では絶対に言うなよ?首が飛ぶぞ。それにワシらに色々お主がしてくれる事は嬉しいがあまり無理はするな?

 それとお館様から封書が届いたんだが、何やらお主は農業とにわとりとやらを育てるらしいな。

 封書に『全て柴田勝家監督の元、芝田剣城に一任する。必ず成功させよ』と書いてあった。

 ワシは何が何やら分からぬがどういうことなのだ?」


 そこからオレはニワトリは時告げ鳥でその卵は美味しく栄養価が高い事、その肉もまた非常に美味で信長様に食べさせたら大層気に入った事、オレが渡した白い米と同じ米を育てられる事、それをオレに一任され、オレが居た村でそれをする事を伝えた。


 「あいわかった。ではとりあえずこの後あの村に行くか。茂左衛門は引き続きこの握りを精進しろ」


 えっ!?まだ甘い握り食べるんですか!?もう食べたくないんですが・・・。甘い物みんな好き過ぎだろ!!って事は・・・最初渡したチョコレート・・・。

 まだ秀吉さんからしか感想聞いてないけどどうなったんだろ・・・。


 そう思いながら勝家さんの白馬に乗せてもらい村に向かう。

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