褌野郎再登場!
村に着いたらすぐに八兵衛村長が迎えてくれた。
「急に邪魔したが許せ。まずはこの村はお館様よりこの柴田勝家と芝田剣城がテコ入れをする事になった。詳しい事は剣城から話す。まずは皆を集めよ」
「ははーっ!勘助!みんなを集めろい。剣城よ?一体どういうことだ?」
「てーへんだっ!てーへんだっ!柴田の殿様がこの村においで下さった!!てーへんだっ!てーへんだっ!」
相変わらず勘助さんは拡声器だな。
「詳しい事は集まってから言いますが、今から私が種籾や色々な野菜の種や苗を渡します。それを育ててもらいます。成長速度は今ある野菜達と変わりませんが圧倒的に美味しい野菜、米になりますのでお願いします」
「分かった。まずは集まるまで待とう」
「やーい!褌のおっちゃん!また丸っこいやつくれねーのか!?」
「褌のおっちゃんが居なくなって寂しかったんだぞ!だからあの丸っこいのくれっ!!」
八兵衛村長の子供らはタカリか!?四郎君に関しては、全く寂しくなかっただろ!?飴玉が欲しいだけだろ!?
「チッ、しょーがねーなー!ほらよ!兄弟みんなで食べるんだぞ!」
子供達ははしゃぎながら家に帰って行った。するとガヤガヤみんな集まってきた。
「皆の者、聞いてくれ。このオレの横に居るのが柴田勝家殿様だ。その横に居るのが皆も知ってるとは思うがあの例の褌だった男だ」
例の褌て!?そもそも褌の件(くだり)要りますか!?村長!普通に紹介してくれて良くないすか!?
「急にこの村に来て怖がらせた事は謝る。許せ!そして、お館様が今回この村で特別な作物を育て、にわとりと言う鳥を育てよと申し付けられた。その監督がワシ、柴田勝家だ。詳しい事はお主らが知っておると思うがこの褌に聞いてくれ!」
えっ!?柴田さんも褌の件ですか!?そもそも柴田さん褌の件知らんでしょ!?でもこの一言で村人の強張ってた表情が緩み笑みが溢れだした。
あーそうですかいっ!オレを笑い者にするんですかいっ!!ぜってー熊さんにはこれから日本酒出してやらねーよ!
「えー・・・紹介に出ました先日までお世話になりました褌こと、芝田剣城です」
そこからオレはさっき八兵衛村長に言ったように種籾、種、苗などを渡し育てて欲しい事。肥料はこれから絶対人糞は使わない事を伝えた。
ニワトリをまず探さないといけないので伝兵衛さん達を狩猟班(約10人)、八兵衛村長達を栽培班(約70人)、太助さん達を開墾班(20人)に分けた。正直太助さん達が1番しんどいかもしれないけどここはたまに甘い物でもあげて頑張って田んぼを広げてもらうしかない。
それにオレは育て方までは分からんから試行錯誤してもらうしかないし。
《種籾(うるち種)10キロ》¥30000
《ジャガイモ苗10株》¥3000
《かぼちゃ苗10株》¥3000
《玉ねぎ苗100本》¥2000
《サツマイモ苗100本》¥7000
《鶏糞堆肥100キロ》¥10000
《配合飼料20キロ》¥3000
まだまだ購入しようとしたが残金が15万程でまだ余裕はあるが何かの時のためと恐らく布団をみんなに買ってあげないとダメだと思うのでこのくらいでとりあえずはいいかなと思い購入した。
少しみんなと離れて死角の所で購入したので例のホログラムは見られなかった。
「お待たせしました。これが色んな野菜の種や苗です。種籾は時期的に難しいかもしれませんが今度からはこれを使って下さい。
種や苗は私が用意できますが作り方は正直土に植えて水かけるくらいしか知らないので皆さんが試行錯誤して育てて下さい。
あと肥料に関してはこの袋に入ってるやつを使って下さい!くれぐれも人糞は使わないようにお願いします」
「とりあえずワシも訳が分からんが言われた通りにするぞー!」
正直無責任すぎると思うがこればっかりは農業初心者には分からんからしょうがない。八兵衛村長達に任せよう。
「よし!次は太助さん。これからどんどん種、苗を増やしていきます。畑の拡張をしていきたいのですが、これまた素人なので水路の具合とか考慮して出来る限り拡張してもらえませんか?」
「織田の殿様の命令じゃ仕方ない。だが急には無理だぞ?本来これからの脱穀作業もある」
くそ!ここであの有名なヤ○マーのコンバインかなんかがあればみんな楽にさせられるのに・・・。
「大丈夫です。少しずつで構いませんのでお願いします」
次は伝兵衛さんだな。
「ワシらはどうすればいい?また獣でも捕まえるのか?」
「いや、時告げ鳥を何匹か捕まえて育てます。簡易的な逃げ出さない様に木材で杭を建てます。そしてこの袋の中に入ってるのが時告げ鳥のご飯になります。
どのくらい食べさすのがいいのかは分かりませんがとりあえず、水桶二つに、このご飯と水を置いておきましょう」
「時告げ鳥かっ!?柴田の殿様!?構いませんので!?」
「うむ。ワシも気にはなるがお館様のご意向だ。構わん」
それからオレは村の端の方で伝兵衛さん達と一緒に木を切り適当な感覚で杭を建てて足元にロープを巻き付けてニワトリが逃げ出さないように柵を作った。
「ふぅー。疲れたな。もう夕方くらいか?
素人の見様見真似だが大丈夫かな?ダメならダメな時また考えよう。伝兵衛さん、申し訳ないですがまたみんな集めてもらって良いですか?」
オレは伝兵衛さんにみんなを集めるように言って、
《フルーツ飴玉12個入り×10》¥4000
を購入して1人1人に袋を開けて渡してあげた。みんな馴れない作業で疲れた顔をしていたが飴玉を口に入れた瞬間から笑顔に変わっていった。
「1日お疲れ様でした!馴れない作業で分からない事もあるかと思いますがこれからも頑張っていきましょう!それとさっき渡した甘い丸薬は頑張ってくれたお礼です!また明日朝には来ますのでよろしくお願いします!」
「「「おぉーーーっ!!!」」」
そう言い帰り際にみんなから『褌ありがとなっ!』『褌さん!また丸薬ちょうだい!』とか言われた。
褌じゃなく名前で呼ばれたら嬉しいのにとか思いつつ柴田さんに帰るように言うと殺気を感じた。
「細かい事をとやかく言うワシではないが、ワシには丸薬は無いのか?お主はここから歩いて帰るのか?ん?」
オレは濃姫さんや信長さんの小姓の動きの如く素早く柴田さんの口の中に飴玉を入れた。
「うむ。ワシが催促したみたいになったがこれはお主からワシに献上したのだな?仕方なくワシはそれを受け取った。そうだな?」
熊さんも我が儘ですか!?義理堅い人かと思ったのに飴玉にあんたも弱いんですかっ!?しかも何で変にプライド高いんだよ!!と思いつつみんな笑顔になった事にオレも自然と顔が喜びながら家に帰った。うん。柴田さんの背中の温もりを感じながら。
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