お市さん推しのオレにはどうって事は・・・

 「おう!ねね!戻ったぞ」


 木下さんの家はかなり小さめの、なんなら八兵衛村長みたいな家だった。


 「お帰り!あんたが剣城殿かい?うちのから話は聞いてるよ!あの甘味は美味しかったよ!ありがとうね!さぁ上がって上がって!」


 ねねさんは何て言うか・・・キャピキャピ系と言えば良いのかな?ちょっと苦手かも・・・。


 「おう。これがワシの妻、ねねじゃ」


 「木下藤吉郎の妻、ねねと申します。今日は我が家で夕食を一緒にと思いまして、遥々ありがとうございます」


 「いえ、私は芝田剣城と申します。今日はご相伴に預かります。それと・・・木下様から夕餉で作って欲しい物があると聞きましたので、一緒に作りましょう」


 《カレー粉》¥300


 《鶏肉1パック》¥500


 これを購入して野菜は収穫した野菜をボックスから取り出してねねさんに渡した。


 「きゃっ!!もののけが!!」


 「どうした!?ねね!!」


 「すいません。私の技を使い城の夕餉の材料を購入したのですが、例のお爺さんの上半身だけが現れて驚いたのだと思います」


 「ねね?この剣城はお館様も使えん技を使えるから仕える事を許されたのじゃ。この事は他言無用ぞ?」


 「はい!藤吉郎様!」


 ぺっ!!ねねさん、木下さんにゾッコンだな。何でオレの説明するのに木下さんの手を握る必要があるんだよ!!!未来の秀吉さん?

 あんたが浮気したら1番に言いつけてやるからな!!

 なんなら、ねねさんにカメラ付きトランシーバーでも渡してリアルタイムで言いつけてやるからな!!



 「え〜と・・・という事なので、この事は近しい人には構いませんが、あまり他人に言わない様にお願いします。ではお腹も空いて限界なのですぐ作りましょう」


 城の台所で作った様に説明もして、1時間程で出来上がったカレーを米の上に乗せて居間に向かう。


 「おぉ〜っ!やっと出来おったか!匂いがたまらんので気が気じゃなかったぞ!」


 「藤吉郎様!私初めてかれーなる物を作りました!お口に合うかどうか・・・。はい、アーン?」


 オレはまたもや寒気がした。一応客人?ではあるオレの前で現代の10代のカップルでもしない事をここで、この戦国時代でしますか!?


 「おい!ねね?剣城の前だ。控えよ」


 「あら!?やだ!忘れてました!剣城様、お許しを」


 「まあ、とにかく食べましょう」


 「これがかれーか!実に美味い!この野菜も食べた事ないし、肉も全然臭くない!!ねねもどうじゃ!?」


 「本当に美味しゅうございます!剣城様?ありがとうございます!良ければ鍋に入れた茶色い粉を少し分けて頂けませんか?」


 「ねね姉様!?何やら凄い良い匂いがしておりますが大丈夫でしょうか!?」


 外から知らない女性の声がした。戸棚を開けて出迎えると一際若い女性が立っていた。

 お市さん推しのオレからしたらお市さん程ではないが普通に可愛らしい感じがする。


 「まつ殿、ごめんね!藤吉郎様のお客人に夕餉を作って頂いて一緒に食べてるの」


 「あら!?失礼致しました。妾は前田利家が妻、前田まつと申します。不躾な願いですがよろしければ、椀に少しで構いませんので妾にも分けて頂けませんか?」


 「おぉ〜!まつ殿か!今日も綺麗じゃな!椀に少しと言わんでも沢山持ってっていいぞ!なぁ剣城?」


 この人があの利家さんと合法ロリ結婚して沢山の子宝に恵まれるまつさんか。普通にうらやま・・・けしからん!!


 はぁ〜・・・・・・。まつさんにも裸足で踏まれたい・・・。




 「初めまして。芝田剣城と申します。これはカレーと言いまして米の上にかけて食べる物です。良かったら沢山作ってますので持ってって下さい。それとどうせなら利家さんも呼んで一緒に食べますか?」


 「貴様!どこぞの家の間者かっ!?妾とも今日初めて会ったのに何故利家様の事を馴れ馴れしく呼ぶのか!?」


 まつさん?今貴方が前田利家が妻とか名乗りましたよね!?そりゃ未来から来たから大物の前田さんくらい知ってますが何もおかしくないですよね!?


 「え〜と、まつ殿?お主、今自分で前田利家が妻と言わなんだか?何もこの剣城の事は可笑しくはないと思うぞ?」


 「そうだよ?おまつちゃん!この剣城様は何も可笑しくないし"久しぶりに私も藤吉郎さんと一緒に"夕餉を食べさせてくれたんだから」


 木下さんを見ると少し目が泳いでいる。毎夜、他の女と浮気してるんじゃないのか!?


 「ねね!その事はお館様の仕事をしておるからしょうがないじゃないか!そんな事よりまつ殿もとりあえず入りなさい」


 木下さん、図星ですね。確実に浮気してますね。今度高性能カメラで撮影してねねさんに渡しますね!!

 

 「どうせならもういいかな?まつさん?私は未来からやってきました」


 「おい!剣城!?」


 「木下さん?大丈夫です。それに、まつさんだけじゃなくねねさんも利家さんもそれに慶次さんなんかも後世では有名ですね」


 「えっ!?此奴まさか語り物か!?ねね姉様も藤吉郎様も早くこちらへ!!危のうございます!ここは妾は命果てども足止めします!城へ、お館様の元へ・・・」


 「まつ殿?この剣城が言う事は本当じゃ。今織田家の1番の機密情報じゃ。剣城?証拠を見せてやれ。対価はワシの奢りじゃ」


 どうしようかな?甘味を出してもいいけど食べ物はカレーもあるしこの後普通に皆でケーキでも食べようかと思ってるからな・・・。女の人が喜ぶ・・喜ぶ物は・・・シャンプートリートメントとかどうかな!?


 《シャンプー、トリートメント、石鹸各2本》¥2000


 「これなんか如何ですか?見慣れない容器に入ってますがこの部分を下に何回か押したら中から液体が出てくるのですがこれを髪の毛を濡らして泡立てると綺麗な髪の毛になります」


 「きぃえやぁ〜!!!もの、もの、もののけが出やる!!!足が無い人が見やる!!!!」


 「おまつちゃん?これはもののけではなく剣城様の技だそうですよ?そう驚いたら駄目ですよ?」


 ねねさん子供を諭すかの如くまつさんを宥めてた。


 「えっ!?ねね姉様はご存じなのですか!?」


 「私もさっき技を見て驚いたけど慣れました」


 えっ!?1回見ただけで慣れるもんなの!?ねねさんすげーよ!!


 それから、ねねさんとまつさん未来で夫婦2人は円満を迎えてた。利家さんと木下さんは生涯親友的な感じだったと教えた。

 他にも言っても良かったが歴史が変わって違ったら嘘つきになるので余計な事は言わなかった。その後、シャンプートリートメント石鹸の使い方を教えた。


 「これだけでは何の証拠にもなりませんがまずはとりあえずカレーを食べましょう。お腹が空きました」


 「そうじゃな。まずは食べよう!おまつ殿もこっちへ」


 「ねね姉様、藤吉郎様、ありがとうございまする。では一口・・・何ですかこれは!?変な色なのに凄く美味しい!!こんなもの食べた事ないです」


 「おまつ殿?これはかれーと言う食べ物じゃ。未来では普通に食べておる。それに中に入っておる具材は"ワシ"が監督して尾張で育てておる野菜じゃ。肉は剣城の技で出してもらったがのう」


 いやいや、何で木下さんが1番のドヤ顔なんですか!?ここはオレがドヤ顔するとこじゃないですか!?


 「ならこれからもこのかれーなるものを食べられるのですね!?剣城殿!是非妾にも作り方を教えて下さりませんか!?」


 「おまつちゃん?私が作り方教えてもらったから私が教えるよ!それに殿方は少しの間ここでお待ち下さいね!しゃんぷーとやらを使ってみたいです!藤吉郎様、良いでしょう!?」


 「あぁ、使ってくるが良い」


 それから2人は布切れを持って外に出ていった。どうせならタオルも出してあげれば良かったな。ミスったな。


 「それで剣城よ。どうして未来から来たと申したのじゃ?」


 「いや、未来で前田まつさんと利家さんはかなりの年齢差の結婚で有名なのです。確か今は利家さん放逐されてるんでしたよね?」


 「やはり未来から来ただけあって知っておるのじゃな。お館様のお気に入りを斬ってしもうてな。利家殿はワシの親友じゃ。戻って来たら是非剣城にも紹介しよう。それと慶次が何故に有名なのじゃ?」


 「そりゃ慶次さんは傾奇者でしょ!?なんてゆうか漢の生き様じゃないですけど未来では慶次さんが主人公のマンガもあってそれなりにこの時代の人気武将の1人ですよ!?」


 「まんが!?傾奇者!?ぷはっはっはっはっ!まんがが何を意味しておるかは分からんが、彼奴が傾奇者!?はっはっはっ!剣城も笑わせてくれる!少々槍の名手ではあるが森殿程でもないハンパ者よ」


 え!?でもちょっとお近付きになりたいかも・・・。




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