本物の天下人でした

 神様が消えて普通時間に戻った。変わらず後ろ手で褌一丁だけどな。


 さっきの神様の助言?みたいなので気が楽になったオレだが、目の前には物凄いプレッシャーをかけてくる紫のオーラ出してますって信長だろう人が再び声を掛けてくる。


 「貴様ワシの言う事が聞こえんのか?」


 もう後は野となれ山となれだ!ゴッドファーザー!!!私は貴方を信じてますぞ!!!!!!!!!


 「その前に聞きたい事一つ聞かせて下さい。そうすれば自分の秘密を言います」


 ここで滝川さんや柴田さん、周りを固めてる兵士の人達もオレに向かって斬りかかろうとした。

 信長らしき人はこれを手で制しアゴをクイッとして『続けよ』と言う。



 ふぅーと息を吐き、



 「まず貴方のお名前は織田信長様で間違い無いでしょうか?そして貴方はこの先どの様な日の本を目指してますか?」


 オレは人生で1番緊張した声で質問する。


 「ほーう。ワシに日の本の先の事を聞くか。この世は乱世。将軍から貰いし領土だ何だと言ってその将軍はこの乱世を正そうとせず、ましてや力を持った守護同士を争わそうとする。

 その被害を受けるのは国の民、兵士、武士。何とも面白なき悲しき世じゃと思わぬか?ワシは武を以って天下を制す。ワシは織田信長じゃ。して、貴様は何者ぞ?」


 「偉そうに聞いた事はすいません。最後に、できれば、ここに居る直近の人達だけでもいいです。お名前を教えてもらえませんか?」


 「貴様!この期に及んでまだ聞かれた事も申さぬと言うのか!!」


 滝川さんが青筋浮かべオレに殺気立てながら聞いてくる。信長さんはまたもや手だけで制す。


 「ワシの前に現れた奴、うぬ程の奴はこれまで見た事もない。貴様の聞きたい事全て答えてやるのも一興。左から、池田恒興、森可成、滝川一益、丹羽長秀、柴田勝家、木下藤吉郎だ。周りに居るのはワシの馬廻り達だ」


 錚々たるメンバー、全員名前も肖像画もある人達じゃん!!と内心興奮する。

 けど明智光秀は居ないのかとも考えるがまだ明智は家臣じゃないのか?いやそこまでオレは分からん。歴史知ってるって思ったけど家臣の事までは覚えてないな。くそっ!勿体ない!


 「まず自分がこの様な姿ですが自分はこの後の世、約400年程未来から来ました。来たと言うよりこの時代に迷い込んだという方が正しいかもしれません」


 柴田さん、木下さん、丹羽さんは目を開き可哀想な目でオレを見てくる。森さん、池田さんは静かに刀に手を置き構えている。滝川さんはオレに抜刀して斬りかかろうとしている。


 いやいや!!滝川さんっ!!なんで貴方だけそんなに好戦的なんですか!?そりゃ、褌一丁で変態者丸出しですが!!オレ貴方に何かしましたか!?なんなら現世で色んな人のラノベで大体の作品、貴方は良い感じに書かれてる事が多いので好印象だったんですが!!!


 信長が静かに口を開く。


 「何を世迷い言を・・・。と、言いたいとこだが何となくそうなんじゃないかと思う事がある」



 『殿!!!!!』みんな一斉に叫ぶ。



 「先日、今川を討った夜に夢を見た。ボロを着た老人が現れワシに『お前に良き理解者が現れよう。拒む事なかれ』他にも色々言っていたがワシが覚えているのはこれだけだ」


 そう言うと信長は扇子をパンッパンッと叩き出した。

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