ノア嬢無双

 次の日の朝に大広間に呼ばれ、論功行賞をすると言われる。


 「此度の稲葉山城攻略、皆の者ご苦労!第一功、森可成!」


 「はっ」

 

 「可成がこの稲葉山城の支城、大小7つ落とした事により連携を取れなくして、攻めやすいように致した。ワシは最もこれを褒めてやりたい!銭10貫、美濃の金山城を与える!それとここ美濃で醤油の一大生産をせよ!」


 「はっ!有り難き幸せ」


 「森殿!おめでとう!織田家家臣初の城持ちではないか!」


 「おめでとう」 「森殿では当然では」


 いいな。羨ましいな。


 「続いて第二功!木下藤吉郎!」


 「え!?ワシ!?」


 「サル!早うせい!」


 「はっ。すいません」


 「貴様は奇抜な作戦を立て実行する前に戦が終わったが、あの作戦はもし剣城が居なければ必殺の作戦だったであろう!それに清洲での奇妙の補佐及び、美濃三人衆の調略見事である!正式に位を侍大将とし、引き続き励むように」


 その後、第三功は柴田さん丹羽さん池田さん全員同じで、オレに欲しい物一つ頼む権利と、正式にトランシーバーを待てる権利だった。


 いやオレ何も聞いてないすよ!?だから先に宝物庫漁っていいとか言ったのか!?てか、木下さんって侍じゃなかったの?なんかかなり喜んでるけど!?それにやっぱ墨俣城の作戦は考えていたんだな。木下さん、申し訳ない。


 「続いて北伊勢及び中伊勢攻略に入る!第一功!滝川一益!明智を使い勝恵を使った見事な調略だ!剣城が作った野戦砲、トランシーバーを運用する事を認める!引き続き蟹江城番を務め北畠、六角の抑えを頼む。長島にも目を向けておけ!」


 「はっ」


 「続いて特別功!芝田剣城!貴様も北伊勢、中伊勢、ここ美濃の地の攻略によく功を出した!だが、ワシに内緒で美味い物を食った罰も必要じゃ!」


 え!?すき焼きの件でそんなに怒ってるの!?


 「それと、貴様の配下・・・。名を確か小川と申したか?彼奴から聞くと馬の事が何かあるらしいな?ワシは聞いておらぬぞ!?」


 いやノアの事!?あれはまだタイミングが合わなかっただけで、この後言おうとしたんだけど!?それに小川さん!?オレに何も言わなかった事ない!?


 「あれはこの後に言おうかと──」


 「言い訳か?見苦しいぞ?」


 いや佐久間さんは遅れて功が無かったから、オレに八つ当たりかよ!?


 「佐久間は黙っておれ。口を挟むな」


 いや、信長さんの方がキレてるんだが!?


 「とりあえず馬の方はこの後、皆さんに披露します。見てもらった方が分かりやすいと思います」


 「ふん。本来なら東側の城、那古野城を貴様に任せても良かったんだがな?だが無しだ!」


 え!?マジで!?城欲しかったのに・・・・。


 「貴様はここ稲葉山城・・・。いや、沢彦に名を変えた方が運気が上がると聞き、ここを岐阜に改める。ここ岐阜城の改修、義母殿の相伴役、引き続き料理ご意見番を務めよ!」


 「以上だ。各々!励め!」


 「「「「はっ」」」」


 「信長様、よろしいでしょうか?」


 「何だ?」


 「実はお願いがあります」


 オレは甲賀に一度向かいたいとお願いした。理由もちゃんと言った。


 「六角を刺激せずに出来るのか?」


 「織田と言わず見られたら皆殺しにします。関所の人は許せません。そもそも関所なんか取っ払った方がいいです。人の往来に邪魔なだけ。輸送費が上がり、民の元に入る頃には色々値段が跳ね上がります」


 「ワシと考えが同じか。楽市楽座、関所の撤廃を考えておる。この話は長くなる。貴様の部下の事だろう?ケリを付けてまいれ。それと・・・・義母殿の事、感謝する。お濃もこちらへ呼んである。貴様にも礼があるだろうよ」


 やっぱ、信長さんから言われるお礼の言葉は癖になるな。ただ一言『感謝する』の言葉だけど本当に嬉しいな。


 「では下に行きましょう。馬の事教えます」



 「我が君!!ずみばぜんです!!ワシはノア嬢と語らっていたら、後ろにワシが気付かぬ内に大殿が後ろに居て・・・・」


 「いや、もういいですよ」


 オレの中ではオレの城持ち計画が遅れたから、忘れないけどな!?


 "剣城っち♪こんなに沢山の人どうしたの?"


 "ノア?ごめんね。この人がオレが仕えてる殿様で、かなり偉い人なんだけどノアの力が見てみたいんだって?良ければ眷族増やせるやつ、またお願いできる?"


 "オッケー♪"


 オレは信長さんや森さん達に馬と話せる事を言った。佐久間さんが嘘つけとかホラ吐きとか言ってたけど、頭の会話でジャンプしてとか片足上げてとかお願いすると、ノアがしてくれたので木下さんなんかは奇声あげてビックリしていた。信長さんは・・・・子供のような目でノアを見ていた。


 「お館様、小雲雀(こひばり)を連れてまいりました」


 "あっ!剣城っち♪この子、頭良いね!私を見た瞬間に力が欲しい!この偉い人の力になりたいって言ってるよ"


 その事を信長さんに伝える。


 「小雲雀は賢いのか!そうか!そうか!お前はワシ以外は乗らさないからな!愛(う)い奴め!」


 "始めるよ♪"


 「おっ!?」「なんだなんだ!?」「白い霧!?」

 「お館様、無事ですか!?」


 オレは見慣れた光景だがやはり皆驚いているな。


 「小雲雀!!!お前、その姿・・・。ハイヤッ!!」


 慶次さんと同じだな!


 「剣城ッ!感謝する!これは凄いぞ!いつまでも駆けていそうだ!」


 "キャハッ♪実はこの時の為に内緒にしていたんだけど、あーしの眷族になった子は身体が大きくできるの"


 おい!?今凄い事言わなかったか!?ノアはできるの知ってるけどよ!?


 「信長様!小雲雀号は体高を大きくできるそうです!馬に伝えてみてくれと私のノアが言っています!」


 "私のノア♪キャハッ♪"


 なんかノアが凄く喜んでいるけど!?ノアさんや!?オレを認めてくれてるのはノア嬢だけですわ。


ガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジ。


 「痛っ!痛い!痛い!」


 「ははは!剣城はその馬と相思相愛じゃな!ははは!」


 くそ!木下さん笑いやがって!眷族にしてやらないぞ!?


 「おぉー!体が大きくなったぞ!?ハイヤッ!遠藤!遠駆けじゃ!着いてまいれ!」


 「おっ、お館様!お待ち下さい!」


 哀れ遠藤さん・・・。強化された馬の脚に追いつけないだろう・・・。頑張れ小姓!


 「剣城?ワシの武蔵号も構わないか?」


 「いいですよ!」


 "キャハッ♪剣城っち♪この子はもう歳で前みたいには動けないって言ってるよ?主人に謝ってほしいって言ってるよ"


 「森さん。この武蔵号は歳で前みたいな動きはしにくいらしいです。謝っていますよ」


 「・・・・武蔵号は、ワシが若い時にな・・・」


 おい!?森さんは馬の事で涙を流すのか!?いやこの雰囲気・・・。ノアに任せば若返れるって言いにくいんだが!?


 プシュ────────────ンッ。


 "キャハッ♪若返りさせたよ♪"


ガジガジガジガジガジガジガジガジガジガジ。


 いやいや毎回強噛みしなくていいから!!さっき涎拭いたばっかなんだけど!?ノア嬢の涎スッゴイ臭いんだよ!!!


 「武蔵!お前は武蔵か!?またワシと駆けてくれるか!?」


 ブォォォォォォォォォ────!!!!


 いやもう馬の鳴き声じゃないんだけど!?めっちゃ強そうなんだけど!?


 その後は、ワシもオレもと言われ全員眷族化してあげて、気付けば皆遠駆け?ってやつに出掛け静かになった。



 「この時間を利用しよう。慶次さん?なんかオレに会わせたい人が居たんでしょう?」


 「あっ!いけねぇ〜!忘れておったわ!こっちだ!こっち!」


 連れて行かれた場所は元々の斎藤の民の人が、とりあえず簡易的に寝泊まりしているプレハブだ。勿論剛力君、青木さんの力作だ。


 「塩屋何某!居るか?」


 「前田殿!?いつ来るか今か今かと待ち構えておりましたが、あっしの事忘れておいでではなかったですか!?」


 「わりぃ〜!わりぃ〜!後始末が忙しくてな?なぁ?殿?」


 嘘つけ!昨日の夜深酒してたの知ってるんだぞ!?


 「お初にお目にかかります。あっしは塩屋秋貞と申します」


 「はい。初めまして。私は前田さん達を率いる芝田剣城と申します」


 なんか普通の感じだけど、この人のどこが面白いんだ!?


 「あっしは斎藤家の御用商人でしたが、後ろ盾が無くなりました。それで前田殿が『俺の殿は商人を欲しがってる』と言っていましたので、是非に一度お話をと思いまして」


 へぇ〜。この人商人なんだ。


 「どんな物をどのように売っているのですか?」


 「名字の通り塩を売っております。本当は越後の上杉家に旧知の友がおりまして、そちらに参ろうかとも思いましたが、前田殿が『俺の殿の方が面白い奴だ!』と申しましたので、あちらを断りました」


 塩か!いいな!けどこの岐阜県は海が無いけど、どういう風に塩を集めてるんだ!?


 「あっしがどのように塩を売る程仕入れてるか?という顔ですね?これから仕えるに内緒にしておくのは立場を不利にする事なので申し上げます。実は、越前の敦賀の方に知り合いがおりましてな?そちらで塩を採取しておりました」


 「朝倉家に税を払ってる感じですか?」


 「詳しくは税だけではございませんが、そんな感じです」


 「雇いましょう。準備金を用意しましょう。家族は居ますか?」


 「妹が尾崎の方におります」


 妹とな!?この塩屋さん40歳くらいかな!?妹は・・・オレより年上だと思うけど、ワンチャン・・・。


 「御免!(バチンッ!!)」


 「痛っ!!お菊さん!?」


 「いつものやつです!気を付けて下さいませ」


 「だ、だ、大丈夫ですので!?」


 「塩屋さんは気にしないで下さい。オレの部下のお菊さんという人です。怒らせると大事(おおごと)になります」


 「き、気を付けておきます」


 「どうしましょう?尾崎って場所がどこかは分かりませんが、そのままそちらに住みます?もう少ししたら、ここ美濃が織田の本拠になりますので、こちらに引っ越してくるなら家とか用意しますが?」


 「本当ですか!?そこまで用意していただけるのですか!?」


 「それくらいはしますよ。その代わり忙しいですよ?やってもらいたい事がかなりありますので。とりあえず・・・お菊さん?塩屋さんに銭3貫渡してあげてくれる?」


 「畏まりました。塩屋様、これを」


 「え!?これ程も支度金を用意していただけるのでふか!?」


 いや興奮し過ぎて最後の方おかしくなってるぞ!?

オレも信長さんから給金として約一月5貫貰ってるけど、オレ・・・この時代の金使わねーんだ。それにたまに配下の商人兼武将の人達があの村に行き、色々買い込んでその売り上げ?なんかの銭も、入ってきてるみたいなんだ。オレはこの時代の金勘定が分からないから、スーパードケチのお菊さんに任せてるけど。早いとこ、国友さんに銭の再鍛造してもらおう。鐚銭を駆逐しないといけないな。


 「とりあえずこれだけあれば足りるでしょう?今私の配下が元の民の人達の家も大急ぎで建てています。場所は選べませんが用意しておきます。その後の事はまたその時に」


 「ありがとうございます。塩屋秋貞、芝田殿に一生付いて行きます!!」


 嬉しい事を言ってもらい、塩屋さんは山の方へ向かった。

ってか、マジで尾崎って何処なんだ!?

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