この時代の一員になる!

1561年12月  国友善兵衛無双

※侮辱的な呼び方が少し続きますが、後の話で変わります。



 「おう、待たせたな。して、村の方は中々に拡張できておるそうだな。今度ワシも視察に行こう。それとにわとりも順調そうだな。今朝卵焼きを食べたが美味かったぞ」


 「それは何よりです。ニワトリも想像以上に繁殖でき、肉の方ももう間もなく量産できそうです」


 あれから村の人達と神様パワーの乾燥さくらんぼを食べさせたら数羽だったニワトリがどんどん増えていき、当初3人しか付けてなかった人手が足りないと言われ10人にした。

 それからオスのニワトリは衰える事なく猛ってどんどん有精卵を産ませてくれて、それはそれはもう大切に育てました。まぁ6日程で雛から大人になってるんですが。


 「重畳重畳!畜産は其方に任す!牛の肉の増産も急げよ?後、まずは試しにじゃが一益配下を使い蔵に入っておった野菜果物を城下で格安にて販売したらすぐ売り切れになったそうじゃ。

 その後もどこで作ってるのかと聞かれたそうじゃ」


 「出だしとしては良いですね。斎藤との戦はいつくらいに考えてますか?」


 「うむ。貴様があんな大量の米を収めたんで斎藤の間者が何を勘違いしたかワシがすぐに攻めてくると思っておるようじゃ。

 確かに攻める予定ではあるが通年なら正月に戦はしないからな。正月2日前までワシは動かぬ。2日!2日で稲葉山を落とすぞ」



「分かりました。それまでに国友さんに急いで鉄砲を作ってもらうように言っておきます」


 「木下さん、おはようございます!今日もよろしくお願いします」


 「いい加減、剣城も馬くらい乗れるようにならんか!ワシの愛馬が可哀想じゃ」


 「それはすいません!国友さんの作業はどうですかね?それによく木下さんが国友さんの事知ってましたね?」


 「ワシを馬鹿にしておるのか!?善兵衛が若い時、ワシがまだ今川の草だった頃に行き倒れておるところを助けてやったのが最初じゃ。

 ワシも余裕ある者じゃなかったが、話せば中々に面白い事言うておったのと『どうしてもこれだけは手放せん』と、鉄砲だけは肌身離さず持っておってな。その時ワシはまだ鉄砲を知らなんでな」


 「そうだったんですね。私も未来で何をした人か詳しい事は知らなかったのですが国友銃ってのは未来の学び舎で習った覚えがありまして」


 「なら、あの金色の実を食わせたのも正解じゃったな。っておいっ!剣城ぃぃ!!村が燃えておるぞ!?!?」


 「あぁ。あれは高炉特有の煙なので大丈夫ですよ。まぁ正直私も詳しくは分からないのですが」


 「おうっ!藤吉郎、来たか!!それに剣城も!」


 オレはついでかよ!


 「おはようございます!朝から稼働が凄いですね」


 「そうだろ!?俺は藤吉郎の出会いと剣城の出会いに感謝しておるのだ!それに剣城がくれた金色の実を食べてから何て言うか、こう、頭が冴えるんだ」


 少し前に木下さんにこの国友善兵衛さんを紹介してもらって、この人が木下さんの信用できる奴って人だった。

 鍛治師ではないが、銃を作るのに秀でてるって言ったので木下さんの言葉を信じて実を食べてもらったのだが正解だった。

 実を食べると何やらブツブツブツブツ言いだして、『高炉を作り不純物が少ない鉄を取り出し』とか、『高炉の上から金属原料、いやコークスか?石炭を早くに』とかもうオレが聞いてもチンプンカンプンな事を言い出したので何が必要かを聞いてGarden of Eden の力技で色々国友さんに託した。

 燃えない石、風を出せる物、燃える木より良い燃料、



 《耐熱レンガ》


 効能・・・・職人が一つ一つ作ったレンガ。摩耗しにくい。



 《足踏み式空気入れ》


 効能・・・・浮き輪などを膨らますのに便利。疲れにくい。



 《石炭100kg》


 効能・・・・黒いダイヤモンド。燃焼率が100%。



 《大きい金槌》


 効能・・・・巨匠が作りし金槌。英語名ハンマー。疲れにくい。


 オレは他にもっと要るのかと思ったが国友さんに聞けばこれだけでいいそうだった。

 正直拍子抜けした。だってお金も¥150000程だったからだ。てっきり100万単位で掛かるもんかと思ってた。


 それに・・・・・・、


 たまにGarden of Edenで見る職人って誰だよ!?レンガ一つ一つ手作りなの!?それに金槌の英語名の表記っているのか!?


 オレが耐熱レンガ見たらね。うん。関連商品に高炉が売ってたんだよ。オレは現代で生きてた時、よくラノベなんかでコークス高炉とか作ってる作品を見てて、そういう作品はレンガを段々畑みたいに積み上げてどんどん熱効率を上げていく風に書いてる作品が多かったから、そんなもんだと思ってたら違うのね。

 Garden of Edenのレベルが上がったからか欲しい商品見たら説明が出てくる様になったんだが、長々色々書いてるが転炉ってのも必要だったみたいで、それは人力でさっき渡した金槌で叩くらしい。それで不純物を除けると言っていた。


 色々説明見ても聞いても頭に入ってこないので、後はやはり国友さんに任せた。


 「オレの説明を聞いても分からんのは、さてはお前は頭が悪いのか?藤吉郎ですらオレの説明を聞いて分かってるのだぞ?」


 いや。多分現代の人達でも分かる人少ないんじゃないのか?それに木下さん!分かった風な顔してるけど全然分かってないだろ!?


 「ともかく!これを量産して純度の良い鉄で鉄砲を作り火薬を日の本で作ったら織田様は戦で負け無しですぞ!」


 「それはどうかな?鉄砲は正直当たらん事の方が多い。その当たらん鉄砲も数撃ちゃ当たる。その数を揃えるのは銭が要る。善兵衛よ。どうにかならんのか?」


 「本体はいずれ量産できよう。だが火薬だけは明に頼らんとどうにもできん。この出来の悪い男に実を貰って食ったから分かるが、硝石が日の本には無いのじゃ。

 雨に弱い性質をしとるもんでな。天然の硝酸カリウムは、土壌中の有機物や、動物の排泄物に含まれる尿素、またそれが分解することによって生じたアンモ・・・」


 「善兵衛っ!!!!もう良い。済まぬ!ワシも何を言うておるか分からぬ」


 おいおい!金色の実食べてから国友さんヤバ過ぎだろ!?現代の科学者みたいな事言ってたぞ!?ん!?待てよ!?硝酸カリウム売ってないのか!?・・・・あるじゃん!!!


 「国友さん?硝酸カリウムありますよ。私の技で購入できます」


 「何!?本当か!?今すぐ出せっ!!!他にも木炭、硫黄が要るがそれらは我らでもどうにかできるが少量出せるか!?」


 《硝酸カリウム100kg》


 効能・・・・黒色火薬の原料。単体では燃えない。



 《木炭10kg》


 効能・・・・上質な木炭。上級職人に作られし木炭。汚れが付きにくい。



 《硫黄10kg》


 効能・・・・硫黄の結晶を職人が一つ一つ手作業で粉末化した。臭いが付きにくい。



 いや、だから職人って誰だよ!?Garden of Edenのあの倉庫兼事務所の中に居る見えない下級の神様か!?


 「おう!!これじゃ!能無し!よくやった!これで火薬も作れるぞ!!」


 オレこと芝田剣城、30歳。独身。未だ素人魔法使い。

 褌やらカエルやら色々言われたが、人生で初めて能無しと言われた。マジで凹む。


 「何が何やらよく分からんが善兵衛、よろしく頼む」


 「おう!藤吉郎、任せな!まっ、日の本でも火薬作れない事もないんだがな?」


 「うん!?お主は日の本では作れんと言わなんだか!?」


 「まあ普通はそうだな。だがこの日の本でも家畜、畜生、人間の糞や、ションベン、それに藁や落ち葉なんかを混ぜ、濡れない様に屋根でも作って尿をたまに掛けて有機物と"土壌微生物"での分解を促し1年程すればまだ作業はあるがだいたい完成だ。分かるか?」


 「ああ。分かる。所々分からんところはあるがだいたい分かる。が、1年も掛かるのか!?」


 「ほら能無し!藤吉郎は分かっておるぞ!?お主には分かるまい!?」


 いや、それくらいならオレにも分かるが!?なんでドヤ顔してるんだよ!?それに土壌微生物?微生物は何を食べて増殖してるんだ?あの乾燥さくらんぼ混ぜるとどうなるんだ?


 「国友さん、試したい事があるのでその1年掛かる方法をしてみてもらえませんか?そしてそれらを混ぜる時にこれを磨り潰して一緒に混ぜてもらえませんか?」


 「何だこれは?」


 「私も物は試しと言いますか。成功はしないと思いますが思い付きなのでお願いします。正直私はなんとなくでしか理解できてないので国友さんに任せます」


 「おう!この能無しの技から出たもんで火薬が作れたら試してやる!じゃ、俺は作業があるのでな!藤吉郎!またな!」


 「何がなんやらこの村は凄い事になってきおったな。それはそうと剣城も護衛が付いたのじゃったな。それも女子(おなご)の護衛がな!?ぷっ」


 笑えば良いさ、笑えば!女の忍者でも凄い子なんだぞ!?ただオレとは全然話してくれないけど。呼べばいきなりどこからか現れるが・・・。リアルくのいちだな。


 「おーい?お菊さん、居る?」


 「はっ。何用でしょうか?」


 「いや、木下さんがお菊さんの事馬鹿にするから優秀な事を伝えたくて呼んだだけだからごめん!」


 「はっ。元々私は草の者。優秀な者とは違います。それに木下殿にどう思われようが私は何も思いません。ただ、剣城様は用も無いのに呼ぶ事は謹んで頂きたい」


 「ごめんごめん!とりあえず村は安心だからお菊さんは休憩でもしてていいよ!」


 「我らに休憩、休み、気遣いは不要」


 いつ見ても、どうやって消えてどこで待機してるのか分からないんだけど!?信長さん濃姫さんの小姓や側女さんなんかも、この時代の人、凄過ぎだろ!?お菊さんとか多分まだ10代の半ばくらいの歳だろう!?

 オレとは全然会話してくれないんだが!?まさか!?加齢臭でもしてるのか!?確かに風呂はまだ入ってないがたまに井戸や川でシャンプー、石鹸で洗っているぞ!?なんなら香水までつけてるんだぞ!?全く効果が無いんだが!?


 「プッ。用も無いのに護衛を呼ぶ奴なんざ初めて見たぞ!さすが剣城!」


 糞が!馬鹿にしやがって!もうチョコレートもケーキもカレーも酒も出してやらんぞ!?


 その後、八兵衛村長達と合流して他の村に行く人を20人程選抜して、種、種籾、苗と例の金色のニワトリの鶏糞の肥料を渡して注意事項、特に間者とか賊には気を付ける事と、被害が起きそうなら迷わず逃げて怪我とかしないように伝えた。

 柴田さんと滝川さんの護衛も付くから大丈夫だとは思うけど。それに選抜組に勘助さんがいるから何かあったら拡声器になってくれるだろう。



 《大容量清酒4ℓ×10》


 《チョコレート×100》


 《飴玉×100袋》


 《防犯ブザー×20》


 効能・・・・Garden of Edenの企画課長が考案した防犯ブザー。警報音から徐々に不快音に変わっていく。危機管理能力が少し上がる。



 《リヤカー×4》


 効能・・・・見た目以上に軽い。ノーパンクタイヤ。疲れにくい。



 これを購入してプレゼントした。正直酒がかなり重たくなって運ぶの大変そうだが選抜組の人達はそれを苦とも思ってなく喜んでいた。

 そして防犯ブザーのやり方はボタンを押すだけの簡単な物だったので皆すぐ覚えた。

 試しに鳴らしてみたんだが確かに最初は警報音で少ししたら猫が黒板を引っ掻く様な音に変わり、おじさんがカーッペと痰を吐くような音や金属が擦れ合う鳥肌が出そうな音になってオレはギブアップした。


 「するってーと何かい!?これは褌野郎がくれるってーのかい?」


 「はい。たまに他の村の人達と食べて頑張って下さい。それに体も気を付けて、まだバーベキューあれからできてませんがしましょう!」


 「おう!正月に帰れるか分からんけど褌野郎と織田の殿様を驚かせてやるぜ!じゃあ行ってくるな!達者でな!」


 勘助さんに褌野郎と言われたら前まではムカついたけど今は懐かしく感じた。

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