間話 サトウキビ
「八兵衛?この竹みたいなのはあの褌野郎は砂糖になるとか言ってたよな?」
「あぁ、権助か。確かに言ってたがどうすれば砂糖になるんだ?」
「そんなのワシが知っておる訳ないだろう?太助はどうだ?」
「あっしも竹と勘違いするだけですぜ?知ってる訳ないでしょうに」
「剣城の奴もあの脱穀、籾摺り、精米するやつを出してくれたのは助かるが砂糖も早く欲しいな」
「あっしも砂糖は欲しいでやんす」
「ワシらで試しにやってみるか!?」
「伝兵衛さん?さすがにそれは織田の殿様と剣城に怒られるとあっしは思いますがね」
「でも逆に考えてみろ!これを俺達が褌野郎に教えられる前に砂糖が作れたら織田の殿様から褒美が貰えるかもしれんぞ!?」
「太助が言う事も分かるが権助の言う事も分かる。そんなに多くは試せないが何本かくらい試してみるか!」
「八兵衛!?あっしはどうなっても知りやしませんぜ!?」
「責任はワシが負う。それに剣城もこれくらいで怒る奴じゃない。なんせ、最初スッポンポンであの小さいナニをぶら下げてさすがに酷い(むごい)んでワシの褌をくれてやったんだからな」
「ちげぇーねー!」
「「「はっはっはっはっはっ」」」
「おいっ!!何をあの剣城様の事を馬鹿にしてるんでぃ!」
「おっ、おう。伝兵衛か。馬鹿になんかしてねぇ〜よ!?ちょっとあの砂糖になる竹をワシらで砂糖にしてみねーかと話してたんだ」
「権助もお前は剣城様とそんなに話してなかっただろう?笑うとはどうかと思うぞ?」
「伝兵衛よ。ワシはあの褌野郎と喋らない訳でもないし喋ってない訳でもない。あいつを見るとだな・・・。笑ってしまいそうだからだ!あの褌一丁が・・・。ふっはっはっはっはっはっ」
「権助!!さすがに思い出すだけで笑うのは・・・はっはっはっはっ!」
「皆酷いぞ!!剣城様がこの村を良くしてくれようと頑張ってるじゃないか!」
「すまんすまん。村長の俺がこんなのじゃいかんな。伝兵衛もあの竹を砂糖にするの頑張ってみようぜ」
「ワシは八兵衛と権助が剣城様を馬鹿にしないか見張っておく!」
「おい?またこれ伸びたんじゃないか?」
「確かに伸びたな。太助、ノコギリ持ってこい!」
「とりあえず一本切ってみたがこれからどうするんだ?それにこれが何で砂糖になるんだ?」
「あっしに、聞かれやしても・・・」
「八兵衛?この皮を剥ぐのじゃないのか?」
「うむ。確かに中身は竹とは違うように見える。試しに舐めてみるか」
「・・・・・・・・・」
「八兵衛?どうなんだ?」
「ここから先の作業はワシ1人がしよう。権助、太助、伝兵衛は帰ってていいぞ?」
「どういう事だ!?まさかっ!!おい!八兵衛!その剥いだやつをワシに寄越せ!」
「何をする!!これはワシが!ワシが!!」
「伝兵衛さんどうぞ?」
「太助、済まぬ。・・・これは!?確かに甘いな!?」
「あっしは、正直この竹を舐めるだけでも満足なんですがね」
「確かにワシもこれはこれでいいと思うが・・・。八兵衛と権助は喧嘩になってるよ」
「あーあーあー。あれはほっといて構いやせんぜ。あっしらはもう少し甘い竹を舐めましょうや」
「そうだな。それにわざわざワシ達が開発しなくても剣城様に聞いたら一発だしな」
「ヘックション!誰か噂でもしてるのかな?」
「ふん。自意識過剰じゃ。誰も貴様の事なんぞ噂なんかしておらん。それより早う甘味を出せっ!!」
「はいはい、すいません。今日は一周回って普通のケーキです」
「うむ。やはりけーきは至高じゃのう。それとあの甘い竹は砂糖となると言って蔵に入れたままだがどうするのじゃ?」
「いえ、すいません。とりあえず煮詰めて濾すくらいしか思い付かないので伊右衛門さん達に任せてます」
「うん?あの台所衆の奴ら、この前ワシがかれーを改造しようと台所に行ったら童の如く舐めておったぞ?ワシはこのけーきが美味いから何も思わなかったが」
「まあ舐めても構わんのでそこから閃いてくれればいいんですが」
「うむ。ではこのまま変わらなかったらワシが喝を入れておいてやろう。それと今日はもう一つ所望する!次はちょこれーとけーきじゃ!」
本当この時代の人は甘い物好き過ぎだろ!今度村に行ったら、八兵衛村長達におやつ代わりにサトウキビ舐めさせてあげよう!
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