刺し網漁の成果
次の日。早速大膳を呼び北伊勢に居る九鬼さんに、船を造る事を伝えに行ってもらうようにお願いした。
「一応、滝川様の与力らしいから、ちゃんと滝川さんにも言伝するんだぞ?はいこれ。こっちのチョコが滝川様のお土産で、こっちの米とシャンプートリートメント、砂糖が九鬼さんのお土産ね」
「九鬼様の方が土産が多いと思いますが?」
「うん?だって九鬼さんに家族が居るかは分からないけど、初めて一緒に仕事するだろ?これくらいはいいんじゃない?なんなら滝川様に渡すチョコの方が、値段高かったんだぞ?このチョコで1万円もしたんだぞ?」
「はっ。失礼致しました。では直ちに渡して参ります」
「気を付けてな!」
さすがに来るのは明後日くらいかな?年内にはできそうにないな。気付けば毎日魚が商店に並ぶのが当たり前になってるし、あの吉蔵さんに正月用の酒なんか持って行ってあげようかな?やっぱ鯛なんかも正月には食べたいしな。
そのまま家に戻り、小見さんや小雪に出る事を伝える。
「那古屋に出掛けます。今日の夜飯は一緒に食べますか?」
「ほんに、そこまで気を遣わなくてよろしいですよ?」
「いやいや、どうせ海に行くし私も魚が食べたくなったのですよ」
「ふむふむ。では一緒に食べましょうかね?どうせなら剣城殿の配下の方も、ご一緒には如何かしら?」
「ありがとうございます。では、近くに居る者だけ呼ばせていただきます。ゆきさん?戻れば料理手伝ってくれる?」
「はい!!」
この日は皆で食べる事となり、ノア嬢に乗り那古屋に向かう。共はいつもの金剛君と、いつの間にか現れた小川さんだ。
「ということで夜飯一緒にどうかな?剛力君も呼びたいし、慶次さんなんかも警備隊を頑張ってくれてるから、労いたいんだよ」
「では某が慶次殿と剛力に伝えておきましょう」
「うん。よろしくね!」
正月は皆、帰ったりするのかな?帰るならお土産いっぱい、皆に渡してあげないといけないな。オレなんかより皆の方がよっぽど頑張ってくれているからな。
「我が君!本日のメニューは!?」
「え!?普通に海鮮バーベキューを庭でしようかなって思ってるけど・・・何か食べたい料理ありました?」
「海鮮バーベキュー!!楽しみにしておりますぞ!!!」
いや小川さんは何なんだよ!?リクエストでもあるのかと思っただろ!
海に着くと塩屋さん、芥川さん、八田さん、吉蔵さん達が網から魚を選別していた。
「こんにちわ!頑張っていますね!?」
「あっ!剣城様、こんにちわ!どうかされましたか!?」
「いや、謹賀の祝いの品として吉蔵さんに酒でも、と思いましてね?はい。これ吉蔵さんに。どうぞ!後は、料理用の味醂、砂糖、お餅、岐阜で使えるお金・・・とりあえず20万円分・・・単位は分からないと思いますが、岐阜で贅の限りを尽くして、14日くらいは過ごせるお金です!」
「これが銭?従来の銭では駄目なのか?酒や砂糖は助かる。餅なんか久しぶりだ!」
「色々政策があるのですよ。よければ今度岐阜に来て下さい!温泉でも入ってゆっくりすりゃいいですよ?」
「うむ。それで謹賀の折の魚なんだが何を用意すりゃいい?鯛でいいのか?」
「え!?何で魚が欲しいと分かるのですか!?」
「いや、そりゃだって謹賀と言えば鯛であろう?若殿でも魚は食うだろう?」
そりゃ信長さんも魚は食べるけど、用意するのが普通なんだ?なら話が早いな。
「エラと臓物を取り省いて塩水氷に漬けて運べば、そこそこ日持ちするので鯛を相当数・・・う〜ん・・・70匹くらいかな?それくらいお願いできます?多分そのくらい人が集まると思います」
「70匹・・・・たったそのくらいでいいのか?他には?」
いや鯛を70匹ってまあまあ凄いと思うよ!?
「ここからは個人的に今日の夜、皆で海産物を食べるので貝類とか余った魚、あります?」
「今丁度、網から外してるところだから選んでくれるか?いやぁ〜、この刺し網ってのは凄いな?流せば何回でも獲れるぞ!?それに塩屋の脚が速くて三河の方や信濃まで運び、全部売って帰ってくるのだ!なぁ?塩屋?」
「ははは。たまたまですよ?なんでも鮮度が良いとの事で、信濃の豪族から贔屓にしてもらってるのですよ」
「へぇ〜!信濃の豪族から!?信濃ってかなり遠くないですか?」
「え?近いですよ?早歩きで3刻半もあれば・・・失礼しました。8時間程で到着しますよ?」
いやおかしいだろ!?8時間早歩きってどんだけだよ!?本当に健脚すぎるだろ!?
「いやまぁ・・・気を付けてお願いします」
「はい!それでですね?年明けまでにもう一度信濃に向かうのですが、先方がお礼に渡したい物があるとかなんか言ってましたので、貰えば剣城様にお渡ししますね?」
「いや別に、それは塩屋さんが貰えばよくないですか?オレは関係ないと思いますが?」
「いや、某は織田家家臣 芝田剣城の御用商人、という事ですのでそういう訳には・・・。それに相手も『お前の主人に』と申しておりましたので・・・」
「ふぅ〜ん。まあ分かったよ。塩屋さんにはまた別にオレからお礼渡すから、その貰い物はお願いね?そもそも誰ですか?」
「矢沢頼綱様って方です。ご存知で?」
矢沢・・・知らんな〜。
「すいません。分かりません。とにかくお願いします」
それから小川さん達と獲物を探した。アジやサバ、海老、太刀魚、アコウ、メバルなど他にも様々な魚が取れている。しかもどれもこれも丸々と太っていて美味しそうだ!
「メバルに太刀魚に鯛・・・石鯛も居るの!?え!?これって伊勢海老じゃない!?何でも入ってるの!?」
「あんた中々に詳しいな?生で食べるなら石鯛が1番だ!炊いて食べるならアコウが美味いぞ!」
「剣城様!!!そこの浜辺にて貝類を捕獲してきました!!」
「金剛君!さすが!仕事が早い!ってかそれハマグリじゃない!?バター醤油焼きで最高じゃん!!ありがとう!」
結局はハマグリ、メバル、石鯛、アコウ、カツオを貰った。八田さんが荷車にて運んでくれるそうなのでお願いする事にし、年明け前日に鯛は持って来てくれる事となった。
「じゃあオレ達は帰るけど、悪天候なら無理しないで構わないので、お願いしますね!!」
「あぁ!今度珍しい食い方とかも教えてくれよ!!じゃあ若殿にもよろしく伝えてくれ!!」
そのままオレ達は岐阜に戻り、気付けば夕方になっていた。
「金剛君?岩室さんに言って、カツオの藁焼きとアコウの醤油鍋の作り方を、紙に書いてもらうように言ってくれる?それを八田さんから吉蔵さんに渡すように」
「御意」
運んでくれた八田さんにスポーツ飲料を渡し、最近増えて来た小麦菓子のクッキーやサーターアンダギー、めちゃくちゃ甘いパンなんかをゆきさんに言って町で買ってもらい、それも土産として八田さんに渡した。
「こんなによろしいので?」
「どうぞ!どうぞ!最近町の人達が商いをする人が増えて、レシピはオレが教えていますが色々増えていますので、帰って皆で食べて下さい!」
「はっ。ありがとうございます!では滞りなく魚は毎日運びますので!」
そう言ったところで金剛君が帰って来て、八田さんは那古屋に戻った。
「さて・・・準備しようか!」
「はっ!」
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