ディティールに凝った地下壕
次の日早朝にオレは目が覚めた。一応本陣?になるからか夜番の人とか信長さんの陣の夜番の人達も居て早朝の割に起きてる人は大勢居た。
「お菊さん居る?」
「はっ。おはようございます」
「おはよう。皆はまだ寝てる感じ?大膳君は?」
「大膳は朝方、野田様とお戻りになり今は少し離れた地下壕で休憩しております」
はっ!?地下壕って!?何で地下壕なの!?普通に剛力君にオレ達みたいな陣作って貰ったので良いんじゃないの!?
「何故地下壕か?みたいに思っていますね?理由があります」
お菊さんが教えてくれたのはやはり本陣近くで、信長さんは面と向かっては言ってこないしどちらかと言えば能力有る者には身分問わず褒める傾向にあるし重宝するのだが周りの家臣の人達・・・。何回か同席した事あってもオレにすら自己紹介しない人達・・・。まぁプライドが高い人だな。古い考えの人は甲賀出身というだけで蔑む目で見られ、それはオレの織田家の格に関わる為、地下壕に居るらしい。でも案外快適とも言っていた。普通の飯とは明らかにオレ達の部隊は違うから『その飯を一杯くれ』とか言われないし、仲間だけだから気楽だとも。
「お菊さん達は口に出されなくてもその目で見られるのは耐えられない?」
「いえ。最近は気にならなくなりました」
「分かった。今回はもう2、3日で出陣になると思うからわざわざ新たな陣を作る事はしなくていいけど瑞龍寺山から攻めると聞いたから途中の野営の時は全員オレの横に堂々と居る事。もし誰かに馬鹿にされるような事言われたらすぐにオレに言いに来てくれる?」
「・・・・・・分かりました」
誰かは分からないけどオレ達を馬鹿にする奴が居るなら言ってこいよ。少なからず信長の腰巾着なんかよりこの甲賀の人達の方がよく働いて成果出してるよ。
その後、顔を洗い身体を拭い、朝飯を野田さんの一族の人が運んで来てくれた。
最近よくオレの飯を運んでくれる野田さん一族のこの人・・・。いつも黒頭巾、口元に布を巻いて目しか見えないし、ボソボソっと喋るだけだからどんな人か分からないけどこの前、蟹江でおでんを作ってもらった時オレは珍しく薄く感じたから醤油付けて食べてたらそれからこの人は見事にオレが丁度良いと思う味付けでご飯を持って来てくれる。どんな人か気になるな。
「おはようございます・・。おかかのおにぎりと卵焼きでございます・・」
「ありがとう。いただきます。オレのせいで地下壕に居るようになってごめんね。後、野田さんにも『いつも美味しいご飯ありがとう』って言っておいてくれる?」
「勿体ない言葉でございます。伝えておきます」
「それと食べ終わったら地下壕に行くから夜勤組は起こさなくていいから他の人は集めておいて」
「はっ」
うん。やはりあの人はいつも通りだ。もし漫画のように吹き出しがあるなら確実に語尾の方は消えかかっているな。
その後食べ終えて皆が居る地下壕に向かった。うん。オレが思ってた地下壕じゃない件。めっちゃ快適なんだが!?何で入り口に手すりが付いてるの!?下に向かう階段に関してはマカダム舗装ってやつか!?小石が均等に地面に埋まってるんだが!?しかもかなり広く部屋まで作ってあるんだが!?
「「「「おはようございます」」」」
「おはよう。剛力君はまた凄いの作ったね?」
「はっ。ありがとうございます。いつ剣城様が城持ちになってもいいようにマカダム舗装、⌀34統一、波型手すり、緊急時の避難経路、テーブルや椅子なんかも本来なら檜を使った物などを予定しております。まだ実践はしていませんがモルタルなんかも開発できますので練積みの石垣を想定しております」
剛力君・・・。やばいっす。どんな城を造る予定なんだ!?練積みの石垣とは何ぞ!?
「ははは!我が殿が城持ちとなればこの小川三左衛門を城の1番に配置下さい!いやなに、敵が来てもワシが殿の出番なく蹴散らしてみせましょうぞ!!」
いや城に攻められてる=押されてるって事だからな!?
「剛力君、ありがとう。精進しなさい。もうオレの及ばぬところまで究極に突き進みなさい」
「はっ!!分かりました!!」
「あと集まってもらったのは昨日の夜、信長様とお話したんだけど、オレ達が先陣と確定したみたいです。頑張りましょう!それと信長様の小荷駄隊と大膳君達輸送班を組み入れ一元化し、そこからまた木下さん、オレ達、信長様、柴田様と班分けするから」
「剣城様、大膳は現在寝ておりますが起こしましょうか?」
「いや寝かせてあげてて。オレ達の飯や装備は大膳君にかかってるから。だから起きたら大膳君に伝えて。後で小荷駄隊と合流して班分けや輸送方法など任すと伝えてくれる?」
「はっ」
例のお市さんの支払いをしていた時に面白いバナーがあり見つけたんだ。これを皆に紹介しよう。
【世界のミリタリー飯】
《軍用レーション小(米軍仕様編)》¥100
効能・・・・アメリカ合衆国陸軍採用軍用レーションを小分けにしたミリタリー飯。男なら一度は食べてみたい物。
即座に1250kcalを吸収できる戦闘食。味は・・・察しろ。
《軍用レーション小(陸上自衛隊編)》¥100
効能・・・・日本陸上自衛隊採用戦闘糧食I型を小分けにしたミリタリー飯。男なら一度は食べてみたい物。
米軍仕様とは異なり缶詰が特徴である。通称缶飯。食べ終わった缶に火薬を詰め簡易的な武器にも使用できる。
いや日本の陸自の缶飯って空き缶爆弾作れるの!?めっちゃすげーじゃん!?米軍のレーションの味は・・・察しろ。って・・ゴッドファーザーも食べたのか!?不味いって事か!?そうなのか!?もう効能じゃなく商品説明になってるだけじゃないのか!?
「とりあえずお試しで買っただけだから一口ずつ食べてくれますか?」
「では、ワシが食べてみよう」
そう言ってくれたのは小川さんだ。
「剣城様?某も宜しいでしょうか?」
もう一人声を上げたのはさっきの野田さんの一族の人だ。てか、声小っさ!!!
「この入れ物を開けるのだな・・・?どれ・・・うっ・・・」
「小川さんどうですか?」
「いや、甲賀に居るならこれも美味しく感じたであろうが・・・。ちとこれは・・・味が無い」
「こちらの、戦闘糧食I型は大変美味でございます。我らの飯と似ておりますね」
缶詰もタブが付いて開けやすいように出来てるのか。食べてるのは炊き込みご飯か。流石、未来の日本!オレでも美味そうに見えるぞ!小川さんの方は・・・乾燥パンみたいな・・・クラッカーかな?そりゃあれは味は無いよな。てか、横のジャムみたいなの付けてねーじゃん!?
「小川さん!その横の小さい袋のジャム付けて食べるんですよ!」
「おっ!?おう!そうであったか。ではどれ・・・。う〜ん・・・悪くはないが特別美味くはない・・・。いや、兵糧としては有りかとは思うがワシは米の方が好きじゃ」
まあクラッカーはおやつって感じがしないでもない。色々他にもあるから試してみよう。
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