後の芝田10英傑の誕生である
新しく出来た家ってどこだ!?城の近くに家作ってたとこなんかあったか!?
「お菊さん居る?」
「はっ!ここに!」
「いや、やっぱいつ見ても分からないよ。新しく出来た家の場所教えてくれる?甲賀の人来たんだよね?挨拶しようと思ってるんだけど」
「はっ。着いて来て下さい」
森さんの家から10分程進んだ、城も少し小さく見えるくらいの所にあった。確かにこっち側には来た事なかったけど、本当にポツンと家があり、周りは草が生えてるだけの場所だった。ただ、家はかなり大きい昔ながらの日本家屋って感じだった。
「こちらでございます」
「ありがとう。てか、かなり大きくない!?」
「剣城様、おめでとうございます。こんなに大きい家は森様、佐久間様、丹羽様の次くらいに大きいですよ!」
いや4番目だから然程ビックリする事はないけど!?1番ならビックリするけどな。
「もし清洲が籠城戦になった場合、兵糧や武器などの保管場所としても使えそうです」
「この時代、攻められたら最後はやっぱ籠城戦になるかもだけど、そもそも籠城戦になるって事はかなり押されてる訳だから、その時点で詰み。籠城戦になる様な采配事態避けないといけないんだよね。お菊さん!籠城戦なんかしないくらいに頑張りましょう!」
「たまに剣城様は鋭い事言いますね。では入りましょうか」
家は勿論ガラスの窓なんか無くて木を重ねる様な窓しか無く、俺の安らぎトイレは・・・まだ許せるボットン便所モドキだった。いや許せねーよ!ウォシュレットが欲しいぞ!!!また農業神様にお願いするか!?いやさすがに何でもかんでもお願いするのは図々しいよな。
「「おかえりなさいませ、殿」」
「うん!?殿ってオレの事!?」
「そうでございます」
「剣城様、紹介致します。全員集合!!」
バシュンッ!!!!!!
「うをっ!ビックリした!!!!!」
「はっはっはっはっ!おう!剣城、久しぶりだな!各々も見たか!?これが今日から俺達が仕える殿だ!全然俺の剣も見えてない危なっかしい、いつ見ても優しい顔をしてる芝田剣城だ!だがそれが良い」
「慶次様・・・・・・・」
いやめっちゃ危なかったんだが!?いきなり斬りつけるとはどういう事だよ!?それに何勝手にオレを紹介してくれてるんだよ!?カッコ悪いじゃん!!もっと威厳がある様な言葉も考えてたのに・・・。
それに・・・お菊さんの目がとろけそうになってる件。慶次許すまじ!!今日は慶次には酒無しだ!!
「そんな殿だがお前達は仕えられるか?この中で甲賀の暮らしが嫌だからと着いて来た者は今すぐ去れ!殿は優しい方だ。見た事ない食い物、飲み物、道具、俺でも使いこなせない武器なんかを開発している。これから他家からの間者も増えよう。お前らに殿が守れるかッ!!!!?」
いや慶次さんの圧が凄いんだけど!?何かこう滾ってくる様な・・・。これが本物なのか!?
「殿!一言我らにお声をお願い致しまする」
いや慶次さんにそんな綺麗な言葉似合わんよ!?よし。ここは一発かましてやるか!
「え〜。紹介に与りました芝田剣城と申します。皆さん宜しくチョンマゲ!!」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」
ヤバイ・・・。この空気・・・かつて小学生だった頃に授業中に先生に名指しで呼ばれ、その問題が分からなくて誤魔化すために『分かりま千円!』と言った時と同じ空気だ・・・。
「かぁーっ!!!たくっ!殿も何言ってるんだよ!!こんな他人が言わなそうな事を平気で言うのが殿だ!お前達は知ってるだろうが、俺は人に縛られて生きるのが嫌いだ。だが殿を見ると面白い毎日が送れそうだから、俺は芝田剣城に仕える事にした。これから芝田家を柴田家に負けなくらい盛り立てて行こうぞッ!!!!」
「「「「おぉーーーーーーっ!!!!」」」」
なんか勝手に話が纏まったんだが!?オレのこの恥ずかしい気持ちどうすりゃいいの!?
「慶次さん・・・。カッコイイ・・・」
お菊さんは完全に目がハートになってるよ・・・。告白もしてないのにオレの恋は完全にオワタ・・・。
「いや、見苦しいところ見せてすいません。良かったら皆さんの名前教えてくれますか?」
「はっ。我々は元々口減らしで捨てられた者です。以前までの名前に何も愛着を感じておりません。良ければ殿が名付けて頂けませんか!?」
「口減らし・・・」
オレはそう呟いて、何て声を掛けていいか分からなくなり、気付けば涙が流れていた。
「おーい!殿は疲れてるようだ!お前達の名付けは後でしてもらおう!少し楽にしておけ。剣城?ちょっと歩こうや」
表に出てきたら慶次さんは何も言わずオレの肩を軽く叩いた。言葉は言ってないが『お前が気にするな』とか『お前のせいじゃない』って言われてる気がした。しばらくすると落ち着いてきたのでオレから話し掛けた。
「慶次さん、すいません。オレが居た時代では口減らしとか居なくてその・・・感情的になってしまいました」
「ここでは他の村でも普通に行われている事だ。剣城が気にすることはない。これから口減らしをしなくてもいいようにしていけばいいさ」
「ありがとうございます。では部屋に戻りましょうか」
「いや、度々変なところ見せてごめんね。それで名付けだったよね?とりあえず、上から歳を教えてくれる?」
甲賀からオレの家に来てくれた4人は全員15歳、現代なら14歳かな?だった。男2人女2人で、また正月明けに残りの5人が来ると言っていた。とりあえず名付けだが、この時代のカッコイイ名前とか分からないから相当な時間悩んだ。
「おい?殿?早く付けてやれよ?」
「剣城様!慶次様の言う通りです!もうかなり時間掛かってますよ?」
「分かってる!分かってるって!カッコイイ名前を考えてるんだよ!中々思い浮かばないんだよ!」
もう直感を信じて見た感じ思い付いた名前を付けてあげよう!
「よし!1番身長が高くて強そうだから君は金剛だ!君は筋肉質だから剛力だ!女の子2人は結婚とかするかもしれないから可愛らしい名前にしないとな。身長が小さい君は琴だ!最後の君は奏だ!」
「素晴らしい名前ありがとうございます。みんなを代表して金剛がお礼申し上げます」
「もっと良い名前があったかもしれないけど直感を信じたんだ。もし嫌なら好きな名前にしていいから!それとオレの事は知ってるかもしれないけどこの時代の人間ではありません」
「はぃ!菊ちゃんに聞きました!未来から来られたとか!?」
琴ちゃんは何かキャピキャピ系か!?学生時代のトラウマが・・・。
「うん。その通りだよ。それでオレには技が使えるんだ。こうやってね」
《醤油10kg》
《砂糖30kg》
《コーラ2ℓ30本》
《塩10kg》
《胡椒10kg》
効能・・・・厳選された実を擦って作り上げた胡椒。またの名をスパイスの王様とも言う。肉や魚などの臭みがほぼ消える。
《カップラーメン100個》
効能・・・・職人が考えて考えて作り上げたラーメンを特殊技術で乾燥し、お湯を注ぐだけで出来立ての美味しさを堪能できる。お湯を入れて3分はもう遅い。お湯を注いで30秒で食べられる。
《お菓子詰め合わせ30種類》
効能・・・・いつかあの頃の夢のお菓子を詰め合わせした商品。古い記憶を呼び覚ます事がある。
《色々な雑誌各種》
《神様印の小学生が学ぶ参考書、ノート、鉛筆セット》
効能・・・・見て書いて覚える3種の神器とも言われている。習熟度が大幅upする。
《歯磨きセット20セット》
《布団10セット》
《ジャージ上下10セット》
もうね。色々とツッコミどころ満載だな。お湯を入れて3分は遅いの!?別にそのくらい待つよ!?それに古い記憶を呼び覚ますってどんな記憶だよ!?
100万程使ってしまったが必要投資だな。森様に感謝しないといけないな。特に参考書は興味本位で調べたけど正解だ!これで四則演算、小学生くらいの文字は書けるだろう!
「殿・・・。これは・・・?」
「いきなり物が現れたよ!?」
「うっ・・・幽霊!?」
「え!?これまさか塩!?」
色々言ってるが何で幽霊になるのかな!?
「かっかっかっかっ!お前らの殿はこういう感じだ!まだまだこんなもんじゃねーんだぞ!?」
いや何で慶次さんが勝ち誇ってるんですか?まだ他にも出せって事ですか!?もう閉店しましたよ!?
「殿!?遠慮しなくてもいいんだぜ!?どうもこの中に俺の好きな飲み物が無い気がするんだが!?」
いや何も遠慮してないすよ!?酒か!?酒は出してやらねーよ!!
「酒でしょ?酒はわざと出してません!」
「殿!そりゃないぜ・・・」
「もうむず痒いから剣城って呼んで下さい!皆さんも名前で呼んでくれていいので!むしろ殿とか言われたら嫌いになります。酒はまた今度!とりあえず城に保管してる米とか貰ってくるので」
それからオレはラーメンの食べ方やら調味料の使い方、ジャージの着方、歯磨きの重要性、布団で寝る事の幸せ度合い、雑誌や参考書は1日少しでもいいからみんなで勉強する事を伝えたが・・・慶次さん全く聞く気なし。酒が無いから捻くれてるのか!?
「とりあえずは必要最低限かもしれませんが、これで過ごして下さい!何か足りない物とかあればお菊さんに言ってくれれば、オレが家に戻り出しますので遠慮なく言って下さい!こんなオレですが宜しくお願い致します」
「剣城さま!!?そんな我らに頭なんか下げるなんて・・・」
「そうです!剣城さまは私達の殿です!私達の方が頭を下げるのが普通で・・・」
「こんな綺麗な塩見たの初めてだし見た事ない不思議な物やこんな上質な紙まで・・・」
「(チッ!)酒は無いけどなっ!」
くそ!慶次が!!そんなに酒が欲しいんか!?少しくらい我慢しろや!おまつさんに言うぞ!?
「色々聞きたい事あると思いますが、まずはここでの生活に慣れて下さい。まずは読み書き、計算がそこそこ出来るまで、勉学をお願いします。暇を見つけたら私の先生と言える人を連れてきますので。それと慶次さん?正月に上等な酒を飲むのと今、安酒飲むのどっちがいいです?あまり我が儘言うと、おまつさんに言ってもいいんですけど?」
「いや、ちょ!そんな俺は我が儘なんか言ってないだろう!?分かったよ!正月には約束だぞ!?」
ふん。他愛ない!これから何かあればおまつさんだな!
「正月には一度戻ります。というか城はすぐそこなので戻れるんですけど、信長様の息子さんの面倒を見る事になりましたので、暫くは往復になると思います。とりあえずこの家を纏めるのは慶次さん、お願いします」
「しゃーねーな!酒100合で手を打ってやろう」
いや100合でどのくらいだよ!?とんでもない量くらいは分かるけどよ!
「酒はまた追々!じゃあ皆さん頑張って下さい!」
そう言って俺は城に戻り奇妙君に、金剛君達に渡した参考書を渡して、正月明けから一緒に勉強する事を伝え、3日程何も無く過ごした。その次の日、例のイージスの事を信長さんに伝えると色々狂喜乱舞してたが、やはり結局は20台程都合してくれと言われ、残りはオレに任す、有用的な実践でも使える部隊を作れと言われた。
お菊さんの日々の報告で家の皆はとにかく飯が美味いと。仕事をしなくて勉強も出来、飯も食え、あの布団で寝れる事の幸せを感じている。オレに物凄く感謝していると言っていた。そして迎えた正月・・・。
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